
ニューヨーク:シリア政府の承諾を必要とせずにシリア北西部の反体制派支配地域への支援を認める国連の承認が近々失効を迎える中、国連事務総長は14日、シリアへの越境人道支援は依然として不可欠であると、内部報告書において述べた。
今年7月、米国とロシアによる稀な協力によって、バブアルハワでの活動承認が6ヶ月延長された。バブアルハワ検問所は、イドリブ県の反体制派の拠点地域を支援する際の唯一の通過点だが、その使用承認が来年の1月10日に失効する予定なのだ。
「越境支援は依然として、シリア北西部で困窮にあえぐ何百万ものシリア人の命を救っています」。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、AFP通信が入手した極秘文書の中でそう述べた。また事務総長は、シリア全土で400万人以上の人々が死活的な支援を必要としていることも付け加えた。
米国と複数の欧州諸国は、国連によるシリア・トルコ間の越境承認は新たな投票を必要とせずに、自動的に6ヶ月間延長されるべきだと考えている。
しかし、現シリア政権の重要同盟国であるロシアはそうした動きに以前反対し、シリアの主権を尊重するよう主張したことがある。
ロシア政府は内部報告書で言及された使用期限の延長や、新たな投票に関係する当事国だ。
バブアルハワ検問所を利用した越境支援体制は、2019年にシリアへ入国する他の3ヵ所の検問所がロシアの意向により使用不可となった後、2020年から実施されている。
14日に明らかになった内部報告書で、事務総長は人道支援作戦の別の手法にも言及した。国境線を突破してイドリブへと向かう計画だ。
「仮にこの計画が実行されれば、国境線を介した支援活動がより予測可能で効果的なものになるでしょう」と、グテーレス氏は述べた。
ただ一方で、事務総長はバブアルハワによる越境の重要性を強調した。
「現段階では、そうした国境線を突破する支援物資輸送は、定期的に展開されたとしても検問所を利用した活動の規模と範囲を再現することはできないでしょう」と事務総長は記した。
グテーレス氏によると、今年の冬、シリアでは約450万人の人々が支援を必要としており、経済危機と感染症による世界的なパンデミックのため、昨年と比べて12%多い数字となっているという。
シリアにおいて2回のワクチン接種を終えたのは人口の2.9%しかいないと、同報告書は記している。
300万人以上がイドリブ県に居住しており、その多くは聖戦主義勢力やそれと協力する反体制派により支配されている。
6月、国連はイドリブ県の約240万人が人道支援を必要としていると発表した。
AFP通信