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イスラム協力機構、アフガニスタンの「混乱」を防ぐための基金設立を約束

2021年12月19日(日)、パキスタンのイスラマバードで開催されたイスラム協力機構臨時外相会議で発言するパキスタンのイムラン・カーン首相。(AP)
2021年12月19日(日)、パキスタンのイスラマバードで開催されたイスラム協力機構臨時外相会議で発言するパキスタンのイムラン・カーン首相。(AP)
2021年12月19日、パキスタンのイスラマバードで開催されたOIC外相理事会で演説するパキスタンのイムラン・カーン首相。(ロイター)
2021年12月19日、パキスタンのイスラマバードで開催されたOIC外相理事会で演説するパキスタンのイムラン・カーン首相。(ロイター)
2021年12月19日(日)、パキスタンのイスラマバードで開催された第17回イスラム協力機構臨時外相会議で演説するパキスタンのイムラン・カーン首相。(AP)
2021年12月19日(日)、パキスタンのイスラマバードで開催された第17回イスラム協力機構臨時外相会議で演説するパキスタンのイムラン・カーン首相。(AP)
2021年12月19日、イスラマバードで開催された、57カ国が加盟するイスラム協力機構の特別会議の開会式で演説するパキスタンのシャー・マフムード・クレシ外相。(AFP)
2021年12月19日、イスラマバードで開催された、57カ国が加盟するイスラム協力機構の特別会議の開会式で演説するパキスタンのシャー・マフムード・クレシ外相。(AFP)
2021年12月19日(日)、パキスタンのイスラマバードで、イスラム協力機構(OIC)臨時外相会議の来賓を歓迎するパキスタンのシャー・マフムード・クレシ外相(中央)。(AP)
2021年12月19日(日)、パキスタンのイスラマバードで、イスラム協力機構(OIC)臨時外相会議の来賓を歓迎するパキスタンのシャー・マフムード・クレシ外相(中央)。(AP)
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20 Dec 2021 06:12:02 GMT9
20 Dec 2021 06:12:02 GMT9
  • 基金はイスラム開発銀行の運用を前提として設立予定
  • パキスタンのイムラン・カーン首相はOICの会議で「直ちに行動を起こさない限り、アフガニスタンは混乱に向かうでしょう」と述べた

サイマ・シャビール

イスラマバード:イスラム諸国は日曜日、アフガニスタンに差し迫った経済的崩壊を回避するための基金を設立することを宣言した。彼らは、同国の崩壊は世界的に「恐ろしい」影響を与えると述べた。

パキスタンで開催された、57カ国が加盟するイスラム協力機構(OIC)の特別会議では、代表者たちは国連と協力して、アフガニスタンにおける凍結資産数億ドルの解除を目指すことも決議した。

設立が約束された基金は、イスラム開発銀行(IDB)を通じて人道支援を行うもので、各国がアフガニスタンのタリバン支配者と直接取引することなく寄付を行うための措置となる。

会合後に発表されたOICの決議では、基金は来年の第1四半期までに稼働予定であり、IDBがその計画をリードするとしている。

今回の会議は、米国が支援する政府が8月に崩壊、タリバンが政権に復帰して以来、アフガニスタンに関する最大の規模となった。

パキスタンのイムラン・カーン首相はまず、悪化した緊急事態に早急に対処しなければ、同国は混乱に陥ると警告した。

「早急に手を打たなければ、アフガニスタンは混乱状態に陥るでしょう」と、首相はイスラマバードで開催されたOICの外相会議で述べている。

危機的状況はますます深刻化しているが、8月に政権を奪取したタリバン政権への支援に消極的な欧米諸国の影響で、国際的な反応は鈍いものとなっている。

国際社会は同国への数十億ドルの援助と資産を凍結しており、国は厳しい冬を迎えている。カーン氏は米国に向けた発言で、切実に必要とされている資金の放出とアフガニスタンの銀行システム再開のために、米国がその前提条件を捨てるよう求めた。

「米国に対しては、アフガニスタン政府と4,000万人のアフガン市民の問題は切り離すべきだと具体的に話しました」と述べた。「たとえ、彼らが20年間タリバンと対立していても、です」

また、新政府の承認と欧米の人権理念を結びつけることには注意が必要だとした。

「すべての国は異なっており、同様に人権に対する社会の考え方も異なっています」

タリバンへの働きかけ

OICはまた、国際的なイスラム学者のチームを手配し「イスラム教における寛容と節度、教育への平等なアクセス、イスラム教における女性の権利など(ただし、これらに限定されない)」の問題についてタリバンに働きかけることを日曜に決議した。

タリバン政権を正式に承認している国はまだなく、外交官は、イスラム教強硬派を支援することなしに、荒廃したアフガニスタン経済を支援する、というデリケートな課題に直面している。

また、アフガニスタンの統治者に対しては「国際人権規約の下での義務、特に女性、子ども、若者、高齢者、特別な支援が必要な人々の権利に関する義務」を遵守するよう求めた。

パキスタンのシャー・マフムード・クレシ外相は、深刻化する危機は、大量の飢餓、難民の氾濫、過激派の台頭をもたらす可能性があると述べた。

タリバンのアミール・カーン・ムタキ外相をはじめ、米国、中国、ロシア、EU、国連の代表者が参加したこの会合で「完全な経済破綻が招く危険性を無視することはできない」と述べた。

タリバンは、1996年から2001年までの第一次政権時に特徴的だった強硬な支配を緩和することを約束しているが、女性は政府の雇用からほとんど除外されており、女子のための中等学校はほとんど閉鎖されたままである。

OICがタリバンに対して、女性の権利などの問題でより積極的に取り組むための圧力になっているかどうかを尋ねられたクレシ外相は「タリバンは明らかにそう感じているでしょう」と答えた。

「そして彼らは『その時期は、自分たちで決めよう』と言っています」と付け加えた。

今回のOIC会議では、タリバン新政権が切望していた国際的な正式承認は得られず、新政権のアミール・カーン・ムタキ外相は会議中に撮影された公式写真から除外されたという。

しかし、ムタキ外相は記者団に対し、同政権は「公式に承認される権利がある」と述べた。

パキスタン、サウジアラビア、UAEの3カ国は、タリバンの旧政権を承認していた唯一の国である。

31項目からなるOICの決議は具体的な内容に乏しく、資金援助の額も示されていない。

「寄付をしたいと思っても、現行政権に対し直接的な寄付をしたくない人がたくさんいます。彼らは、自分たちが納得できる何らかの仕組みを求めているのです」とクレシ外相は言う。

「これらの具体的な仕組みが考案された後に、誓約がなされることになります。もちろん、彼らは時間の重要性は認識しています」

イスラマバードでは、有刺鉄線で囲まれたフェンスや輸送用コンテナで囲まれた道路封鎖など、警察や兵士配備による厳重な警備体制のもとで会議が行われた。

「寄付金だけでは不十分」との声も

国連の人道問題担当国連事務次長兼緊急援助調整官マーティン・グリフィス氏は、アフガニスタンは寄付金だけでは生き残れないと警告した。グリフィス氏はドナー国に対して柔軟性を示すことを望んでいる。彼らの資金援助により、アフガニスタンの公共部門の給与が支払われ、保健、教育、電気、生活などの基本的なサービスを支援し、人々がこの冬を乗り切るチャンスを得て、家族と一緒に家にいられるようにすることを求めた。

さらに同氏は「事実上の政府当局との建設的な関わりを持ち、お互いに何を望んでいるのかを明確にする必要があります」と述べた。

また、経済的に不安定なアフガニスタンには、思いやりのある決断と行動が必要であり、そうでなければ「この経済危機が国民全体を引きずり下ろすことになるのではないかと恐れています」と述べた。

グリフィス氏によると、物価の高騰により、一般家庭は食料や燃料などの日常的な買い物をするための現金が不足しているという。燃料費は約40%上昇しており、ほとんどの家庭では食料を買うためだけに80%のお金を使っているという。

彼は、いくつかの厳しい統計データを提示した。

「普遍的な貧困はアフガニスタンの人口の97%に達するかもしれません。それが次の重大なマイルストーンになる可能性があります」と警告した。「1年以内に、アフガニスタンのGDPの30%が完全に失われ、男性の失業率は29%に倍増するかもしれません」

来年、国連はアフガニスタンのために45億ドルの援助を要請することになるが、これは国連の人道的援助要請としては最大のものだという。

タリバンの代表団へのメッセージと思われるように、クレシ氏やOIC事務総長タハ氏を含む後続の講演者は、人権の保護、特に女性と少女の人権保護を強調した。

タリバンのムタキ氏は先週のAP通信のインタビューで、アフガニスタンの新統治者は女子の教育や女性の労働力確保に力を入れていると語っていた。

しかし、タリバン支配から4カ月が経過した現在、ほとんどの州で女子は高校に通うことができず、医療分野の多くでは女性が仕事に復帰しているものの、多くの女性公務員は出勤を禁止されている。

サミットの締めくくりとしてクレシ外相は、OICがアフガニスタンに関する特別代表を任命することに合意したと述べた。また、出席した20人の外務大臣と10人の副外務大臣は、絶望的な状況にあるアフガニスタンの人々を支援するために、国連とのパートナーシップを強化することに合意した。

また、8月15日のタリバンによる占領以来、ほとんど閉鎖されているアフガニスタンの銀行施設を開放することが非常に重要である点も強調された。タリバンは、国内の銀行からの引き出しを月200ドルに制限している。

「銀行サービスがなければ経済は機能せず、人々の生活も成り立ちません。私たちは一丸となって金融、銀行機能を開放しなければなりません」と同氏は語った。

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