
エファレム・コッセイフィ
ニューヨーク:この有罪判決は、場所や、地位に関わらず、拷問やその他の深刻な人権侵害を行えば、遅かれ早かれ、国内外で責任を問われることになる、と国家当局に知らしめた。
警告は、ドイツの裁判所がシリア政権の情報機関の元高官に対し、13日、人道に対する罪で終身刑を言い渡した「歴史的」判決を受けて、ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官が出したものだ。
アンワル・ラスラン氏58歳は、殺人、拷問、強姦、性的暴行、人質拘束の罪により、コブレンツで裁判にかけられていた。同氏は、昨年2月に同じくコブレンツで、シリアでの人道に対する罪の幇助および教唆により、禁固4年半の判決を受けた政権の下級将校、エイアド・アル・ガリブ氏の監督官だった。
アル・ガリブ氏は、平和的な反政府デモ隊を一斉検挙し、これから行われることを認識した上で、拷問が行われる拘置所に彼らを連行した罪に問われた。この判決は、シリア国外の裁判所がアサド政権の一員による国家主導の拷問に関わる事案について判決を下した初の事例となった。
アル・ガリブ氏が有罪判決を受けた時にドイツの国連常駐代表を務めていたクリストフ・ホイスゲン氏は当時、この判決はアサド大統領に対し、「このような犯罪を行う者はどこにいようとも安全ではない」という明確なメッセージを送ったと語った。同氏は次のように付け加えた。「アサド政権は、文明発祥の地を拷問室に変えてしまった」
13日、バチェレ氏は他の国々にもドイツにならい、確立されている普遍的・域外管轄権の原則を用いて国際犯罪を捜査・訴追するよう促した。
バチェレ氏は、ラスラン氏の裁判が、「数え切れないほどのシリア人が拘置施設で受けた、卑劣な性的暴力を含む、種々の吐き気のするような拷問や、残酷で本当に非人間的な取り扱いに対して、待望の新たな光を当てた」と述べた。
彼女はさらに、バチェレ氏は次のように付け加えた。「これは、10年以上にわたってシリアで行われてきた深刻な人権侵害に対して、真実、正義、償いを追求する上で、画期的な飛躍だ」
この判決は強力な抑止力として機能し、将来の残虐行為を防ぐのに役立つことになるとバチェレ氏は述べ、シリア紛争中に罪を犯した人々の「責任追及の網を広げる」取り組みを強化するよう、他の国々に促した。
「これは、犯罪が行われた場所を問わず、国際人権法と基準に沿って行われる公正で独立した調査と裁判を通じて、各国の裁判所がいかにこのような犯罪の責任追及が行われていない空白を埋めることができるか、またそうすべきかを示す明確な例だ」と、同氏は付け加えた。
バチェレ氏はまた、シリアの犠牲者とその家族、そして粘り強く正義を求める中で「とてつもなく大きな障壁」に勇敢にも立ち向かってきた市民社会団体に敬意を表した。
他にも、シリアの元政府当局者や他の武装集団のメンバーが関与した12件の刑事・民事事件が、ドイツや、オーストリア、フランス、ハンガリー、スウェーデン、スイス、オランダなどの他の国々で進められている。
安全保障理事会は長年にわたり、シリア内戦中に罪を犯した人たちの責任を問うよう求めてきたが、シリアは国際刑事裁判所に関するローマ規程の締約国ではないため、この問題を国際刑事裁判所には持ち込んでいない。