
ウバイ・シャーバンダル
ワシントンD.C.:イスラエルによるシリア国内のイラン人とヒズボラを標的とした空爆は、ここ数カ月でその規模と頻度を増している。これは、テヘランがシリアにおける海港、空港、陸路の密輸ルートへの圧力を強化しようとしているためである。
イスラエルにとって、イランが精密誘導ミサイル技術をこれらのルートを経由してシリア領内に送り込む能力は、深刻な戦略的脅威となっている。もし地域紛争が発生した場合、イランとそのヒズボラのプロキシ(代理勢力)は、予告なしに近距離から攻撃を行うことが可能になる。
イスラエルは、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が管理するシリアの機密施設を攻撃しても、その責任を必ずしも主張せず、紛争やシリアの報復を避けるために、もっともらしい言い逃れをしている。
とはいえ、シリアの首都ダマスカスや北西部の沿岸部ラタキア県から東部のデイル・アル・ズールまで、シリア政権領内で最近行われた数多くの攻撃には、イスラエルが関与していると考えられている。
ラタキアは、IRGCが精密誘導兵器の運搬に同地域の港を利用している疑いがあるため、12月に2度の空爆を受けた。その際に発生した爆炎は、イランがいかに多くの危険物を地域のテロネットワークに持ち込もうとしているかを明らかにした。
イスラエルのベニー・ガンツ国防相は、ラタキアの攻撃後、イランに対して「ゲームチェンジャー」と呼ばれる兵器はレッドラインであり、イスラエルはその拡散を許さないと厳しい警告を発した。
しかし、今回の空爆はイランを抑止するには至っていないようだ。
イスラエルのアルマ研究教育センターの研究部長タル・ベーリ氏は、アラブニュースの取材に対し、次のように述べている。「イランのシリアへの定着を完全に防ぐのはおそらく不可能でしょう。問題は、その速度と量、そして質です」
「イスラエルは、地域を戦争に突入させることなく、軍備のみを攻撃し、指揮官への攻撃を避けることでその対策を行っています。攻撃は、正確な情報に基づいて、明らかに巻き添え被害が出ない、あるいは軽微な巻き添え被害で済むターゲットにのみ行われます」
ベリ氏によると、イスラエルは主に、防空システム、巡航ミサイル、長距離ミサイル、ドローン、電子戦闘システムに関連し、輸送される部品を標的にしている。
「イスラエルの活動により、空・海・陸の武器密輸ルートの約70%が閉鎖されていると言われています」
「しかし、武器の密輸は2020年に比べて減少しているものの、何がイスラエルの諜報活動を回避してシリアやレバノンに到達したのかはわかりません」
イスラエル政府は、IRGCとその密輸ルートに一定の圧力をかけることが、自国の玄関口にイランの軍事力が増強されるのを防ぐ、あるいは少なくとも遅らせるための最良の手段であると考えている。
「このような観点から、シリア国内での空爆の量が増加しているのを目の当たりにしていますが、これは以前から行われていることです。これこそが、『草刈り』戦略が成功するための、唯一の方法なのです」とベーリ氏は言う。
「戦略の成功から得られる利益は、イスラエルだけが享受するものではありません。イランに脅かされている、中東におけるすべての関連プレイヤーの利益であり、国際社会の利益、特にアメリカ、ロシア、ヨーロッパの利益でもあるのです」
ベーリ氏は、シリアやレバノンの地にある弾道ミサイルは、容易にヨーロッパに向けられる可能性があると警告している。
「現在、サウジアラビアは、イエメンにおける戦闘や、イランの支援を受けた、地理的戦線から直接もたらされる物理的な脅威にさらされ、このことをよく理解しています」
実際、ヒズボラのリーダーであるハッサン・ナスラッラー師は直近の演説で、イランの地域覇権主義的な目的に沿わないサウジアラビアや、より広いアラブの利益を標的にするというグループの意図を長々と語っている。
非営利団体、「イラン核兵器抵抗連合(UANI)」のポリシーディレクターであるジェイソン・ブロツキー氏は、イスラエルによるシリアへの攻撃はすでに効果を上げていると述べている。
「イスラエルは、イランの代理勢力やパートナーに最新兵器が届くのを防ぐために、シリアでの軍事行動で目覚ましい成果を上げています」とブロツキー氏はアラブニュースに語った。
「最近のイスラエルの推計によると、イランは空路、陸路、海路など、この地域を経由したルートの約70%が利用できなくなったと言われます。イスラエルの狙いは、シリア国内でイランの違法行為を見過ごしている、バッシャール・アサド大統領の負担を増やすことにあります」
しかし、ブロツキー氏は、イランが兵器を移動させるための別のルート、方法を見つけるのは時間の問題ではないか、と考えている。
「イランは、将来的にレバノンやシリアを利用してイスラエルを攻撃する算段を立てており、それを諦めることはないでしょう。そして、一連のイスラエルの攻撃によって、むしろイランは密輸ルートを改良することになるでしょう」と述べている。
「シリアの情報源を引用した公の報道によると、イランはシリア東部におけるイスラエルの攻撃を避けるために、海路での武器輸送を活発化させています。そのため、イスラエルによるラタキア港への攻撃が増加し、12月には2回の攻撃が行われました」
イランの活動を封じ込めようとするイスラエルの速いペースのアプローチは、2015年の「包括的共同行動計画(JCPOA)」つまりイラン核合意の復活を目指してオーストリアの首都ウィーンで行われている国際交渉と重なっている。
ドナルド・トランプ前米国大統領は、2018年にこの協定から離脱している。バラク・オバマ政権によって合意された協定は、イランの弾道ミサイルプログラムや、中東全域の民兵の代理勢力を武装させて資金を提供する政策を削減するのに十分な効果はないと主張したのである。
イスラエルの防衛当局者は、ジョー・バイデン米大統領チームが、トランプ大統領が挙げた問題に対処できない新たな核取引に署名すれば、歴史は繰り返されるかもしれないと懸念している。このように、米国とイスラエルの間で戦略的な違いが広がれば、イスラエルの一方的な行動が増える可能性がある。
ブロツキー氏は、イスラエルによるシリアのIRGC標的への攻撃は、米国がウィーンで何を決めようとも、イスラエルは本気だということをイランに示す目的もあるのではないかと考えている。
「このような攻撃のタイミングは、その時々の作戦上の必要性に基づいて行われますが、イスラエルにとっては、ウィーンで核協議が行われている間に、テヘランに対し、軍事的な責任を負わせる用意があることを示すという、二次的なメリットがあります」と述べている。
キリスト教系NGO団体フィロス・プロジェクトのファハド・レザイ上級研究員も、イスラエルはテヘランに明確なメッセージを送っていると考えており、特にイランの核開発を軍事的手段でしか阻止できないと結論づけた場合、いかなるシナリオにも対応できる準備があることを示しているという。
「私の理解では、イスラエルはイランの核施設を爆撃しなければならない場合に備えて、ヒズボラのミサイル攻撃を最小限に抑えておこうと考えています。そのため、シリア経由で精密誘導ミサイルをレバノンに運んでくる輸送船団や、精密誘導ミサイルやロケット弾を製造しているシリアの工場や貯蔵施設を爆撃しているのです」とレザイ氏はアラブニュースに語っている。
「イスラエルの新聞では、パイロットの訓練、空中給油機の入手、作戦開始後のヒズボラの弾幕による潜在的な被害を抑えるための努力など、攻撃に備えるための複数の領域にわたる作戦について報じられています」
多くの専門家によれば、当面の間、イスラエルもイランも紛争を起こすことには関心がないように見える。しかし、イランの高度なミサイル技術がヒズボラの手に渡り、孤立したシリアの政権がイランへの依存度を高めていることから、地域の緊張はますます高まりつつある。
もしウィーンで、IRGCの活動やイランのミサイル拡散に対する追加的な規制を伴わない新たな核取引が締結されれば、軍事的エスカレーションが起こる可能性は飛躍的に高まるだろう。