
モスタファ・アデル
カイロ:「スタートアップロードショー」は、2018年、レバノン、イラク、トルコ、ヨルダンの4か国のシリア難民および国外居住者を支援するために創設された。
同プログラムは、世界中の若者のプロジェクトを支援するオランダの団体「スパーク」が「Jusoor」に協力の手を差し伸べてすぐに設立された。
「私たちは起業家精神育成プログラムを5年間運営しており、シリアのスタートアップを対象としたトレーニングブートキャンプやコンテストを運営しています」とJusoorの起業家精神育成プログラムの役員兼ディレクターのデニア・イスマイル氏は語った。
「私たちは専有トレーニングカリキュラムも独自開発しました。地域中および世界中のシリアの起業家に合わせて作られたカリキュラムです」
スパークはJusoorを尋ねあて、上記4か国のシリアの起業家を支援するプロジェクトを立ち上げ、後にコンテストのアウトリーチ、マーケティング、PRを担当してもらえるよう「Startups Without Borders(国境なきスタートアップ)」も引き入れた。
「トレーナー、ファシリテーター、メンターのチームが都市間を移動するというアイデアを思いついたのです。シリアの若者にとって移動は難しいからです。それで、私たちの方が移動することに決めました」とイスマイル氏は言った。イスマイル氏自身もシリア人であり生まれた時からの国外居住者だ。
コンテストは、ベイルート、アルビール、アンマン、ガジアンテプ、イスタンブールの5つの都市を回る。
ブートキャンプは各都市で5日間行われ、ロードショー全期間を通じて100人の起業家が広範なトレーニングや1対1のメンターシップを受け、ビジネスの世界に入るためのスキルや洞察を養っていく。
「モジュールが5つあり、参加者は各モジュールを別々の日に習います。その後でピッチを作り、実践し、プレゼンします」とイスマイル氏(39)は言った。
「各都市で上位2人の勝者を選びます。合わせて各都市から上位10人の勝者が選ばれます」
選ばれた上位10チームは、11月4日にアンマンで開催された「Demo Day 2019」の第2回目で、自分たちのアイデアを審査員団の前でライブピッチングした。
シリア主導スタートアップの上位3位は、それぞれ15,000ドル、10,000ドル、7,000ドルの賞金を獲得した。
アムステルダムでのスパーク主催IGNITE年次カンフェレンスでビジネスアイデアをピッチングする機会もあった。同コンテストは、シリアの若者にビジネスの世界で足場を確保するための貴重な機会を与えることを目指している。
「私たちは、起業家やテクノロジー分野に興味のあるシリアの若者に力を与えようとしているのです。こうした若者たちに、知識やスキルや自信を得てもらい、自分のアイデアを立ち上げてもらいたいのです」とイスマイル氏は語った。
期間が限られ財政援助が不足しているにもかかわらず、ロードショーを支えるスタッフは応募者の一人ひとりを支援しようと最善を尽くしている。
「私たちは専門家や起業家の大変大きなネットワークを持っており、これを通じたメンターシップ、助言、人脈で参加者の旅路をできるだけ支援できるよう努力しています」と彼女は言いました。
シリアの若者を支援するJusoorの取り組みはロードショーに留まらない。この実りあるコラボレーションには多くの未来が待ち構えている。
「現在この起業家精神育成プログラムを拡大しているところです。次のプロジェクトはアクセラレータープログラムです。スタートアップロードショーから有望なチームが数多く生まれたので、これらのチームと今後も協力を重ねていくためのプログラムです」とイスマイル氏は語った。
「私たちが提供してあげたい構成要素は、一部オンライン、一部は現地のもので、これに投資の要素も提供してあげられればと思います。プログラム出身企業が助成金や賞品だけでなく投資としての資金を受け取れるようにしたいのです」イスマイル氏は2020年に開始する起業家精神プログラムの第2期に関連して語った。
イスマイル氏は次のように述べた。「ロードショーは、シリアの若者が現実を変える機会を得て、終わりなき戦争の犠牲者を越えた存在となれるように、という思いから生まれたプログラムです。
「このコンテストは、こうした若者たちがどこにいようとも社会の一員として活躍し、それぞれの国の経済に貢献できるよう、ツールを提供します」
「この世代を築きあげ、この世代の若者たちにこうしたスキルや専門知識を与えてあげれば、いったんシリアの情勢が十分に安定すれば、帰還して国の経済を再建してくれる世代となってくれると思うのです」
「スタートアップロードショーで活躍したこれらの若い起業家の多くが、シリア国内の中小企業経済を鼓舞し、訓練や支援を提供し、将来の基盤となってくれることを願っています」