ここ数カ月イランのタンカーがアメリカ政府に拿捕されているが、経済制裁を受けるイランの石油輸出量は増加している、とのイラン石油相の発言が12日に報道された。
「アメリカはここ数ヶ月にわたり複数回、石油輸出を阻止するためイランのタンカーを拿捕している」とジャバド・オウジ石油がイランのメディアによる取材を受け述べた。
「敵はイランの石油輸出契約の阻止が不能と気づくと、イランのタンカーを追い回すようになった」とオウジ石油相は述べた。
石油相の発言は、最近バハマでイランの石油タンカーが拿捕されたとの報道を受けたものだ。しかしウィーンでは2015年のイラン核合意を再建するためイランとアメリカによる間接協議が行われており、イランの核開発抑制と引き換えにアメリカが経済制裁を解除する可能性について協議中だ。
イランの友好国ロシアによる土壇場の要求により、世界主要国によるオーストリアの首都ウィーンで開催されていた協議は、文案がほぼ完成しているにもかかわらず、無期限中断を余儀なくされている。
3月5日になって突然、ロシア政府はウクライナ侵攻によりロシアが課された経済制裁の対象からイランとの貿易を外すと確約するよう要求した。西側諸国はこの要求を受け入れず、アメリカ政府は断固拒否すると発表した。
「最大規模の経済制裁にもかかわらず、イラン産石油の輸出は伸びており、ウィーン協議の結果を待つまでもない」とオウジ石油相は述べた。
石油輸出が伸びたのは「契約を獲得するために様々な手段を駆使し、売り先を広げたのが功を奏したから」とオウジ石油相は述べた。
石油輸出が伸びたことで「ウィーン協議での友好国の発言力は強まった」と石油相は述べたが、詳しい説明は控えた。
2018年に当時のドナルド・トランプ米大統領が2015年のイラン核合意から離脱し経済制裁を再開して以来、イランの石油輸出は制限を受けている。
イラン政府はアメリカの経済制裁を国際法違反と見なしており、制裁を回避するためあらゆる対策を打つと述べている。
石油輸出入の流れを追跡する各企業の推定によると、イランの石油輸出量は約3年ぶりに1日当たり100万バレルを超えるまでに増加したという。中国向け輸出の伸びが原因だ。
石油業界のコンサルタントやアナリストの推定によると、制裁にもかかわらず2021年のイランの石油輸出量は増加したという。しかし、経済制裁の再開以前の1日当たり250万バレルと比べると大幅に減少した状態が続いている。
ロイター