
テヘラン:オミクロン株の蔓延でワクチン接種が遅れ、感染が急増する中、イランは、パンデミックの不安とトラウマから、束の間ではあっても、貴重な休息を得ている。
2年近くもの間繰り返し襲ったウイルス感染の波を経て、強硬派の新大統領のもとで遅れた集団ワクチン接種が行われ、パンデミックに見舞われたイランは束の間、見たところ安心感に包まれた。
現在、オミクロン株感染拡大の影が大きく迫っている。病院は数ヶ月間小康状態であった感染が増加していることから、最悪の事態に備えている。しかし、これまでのところイランは、1年前に大多数の成人がワクチン接種を受けた多くの欧米諸国のように、変異株に襲われてはいない。
米国からロシアまで被接種者の間で感染が急増し、重症化や死亡の予防効果は依然として高いものの、感染に対するワクチンの防御力が低下していることが明らかになった。一方、イランの人々はより最近に接種を受け、免疫力がまだ強固であるため、危機を抜け出た気分になっている。
イランの手一杯の医療システムへの負担を軽減した感染の急減の説明として、保健当局のモアイド・アラビアン氏は「多くの人々がすでにウイルスに感染しており、ここ数ヶ月で大規模なワクチン接種が行われました」と述べた。
このウイルスにより、イランの公式発表では、中東で最多となる13万2000人以上が死亡している。
イランで最近選出された大統領である保守派のイブラヒム・ライシ師は、外国製新型コロナウイルスワクチンの輸入を促進することを任務としている。ハッサン・ローハニ前大統領の任期中に権力闘争で難航した任務を、強硬派が政府の全権を握っている新政権は迅速に遂行している。
この差異は、一般のイラン人にも理解されている。
「何が起こったのか分かりません」とテヘランのタクシー運転手、レザ・ガセミ氏は言った。「ライシ氏が大統領になった後、突然、ワクチン接種が広く、素早く行われました」
「ちなみに」と彼は付け加えた。「私はありがたいと思っています」
しかし、懐疑的な人々は、大統領らのパンデミックへの対応の違いを疑問視し、国内の派閥対立による人的犠牲を批判している。
「政治的な問題でワクチン接種を遅らせました」と改革派議員のマスード・ぺゼシキアン氏は昨年9月、はっきりと述べた。
現在、ライシ氏の下、イランは新型コロナに対する成功に沸いている。感染者は数カ月前の1日約4万人から、約7000人にまで減少した。死者数はピーク時の1日700人以上から、今月は20人にまで激減した。8月の政権発足以来、1億8000万回分のワクチンが供給されている。
ワクチン接種対象者のうち88%以上が、接種完了している。イランは人口の20パーセントにブースター接種を実施した。先週、政府は18歳以下の子どもにもワクチンを接種できるようにすると発表した。
AP