
アル・ムッカラー: イエメンの女性たちが、沿岸の海水が溜まったところから白い結晶を一握りずつすくい上げている。塩を収穫しているのだ。この伝統産業は、7年間戦争が続くイエメンの生命線となっている。
ザキヤ・オベイド氏は、イエメン南部沿岸のアデン湾を臨む村で塩づくりを行う500人近い女性の一人だ。
「私たちは協力し合い、シフトを組んでいる。姉妹のようなものだし、お互いの大変な状況をわかっているから」と、オベイド氏は語る。
雇用の機会はわずかで、女性たちはより多くの人数が収入を得られるよう交代で働いている。
オベイド氏によれば、女性たちは2つのグループに分けられ、1つのグループが15日間働く間、もう1つは休むという形で稼働しているという。
裸足で、泥の飛び散ったアバヤを身にまとった女性たちは、干潮の時に海盆を掘り、海水が蒸発した頃に戻ってきて塩を浚い、梱包して販売する。
この昔ながらの生業は、世代を超えて受け継がれてきた。
今では多くの家族の唯一の収入源として、生存手段となっている。
塩を収穫し、プラスチックの容器に梱包する仕事で女性たちが得るのは月に100ドルほどだ。
2020年にアル・ハッシ海塩生産協会が設立されて以来、女性たちは塩を輸送し、粉砕、梱包してイエメン全土で販売することができるようになった。
「それ以前も同じ作業をしていたが、未加工でしか塩を販売できなかった」と、オベイド氏は話す。
「でも、今は違う。協会が袋と輸送手段を提供してくれている」
アル・ハッシ協会のカミス・バートルシュ氏は、女性たちは3ヶ月ごとに20~30トンの塩を生産しており、この産業に収入を頼るようになっていると語る。
「冬は夏よりも生産量が落ちる」と、バートルシュ氏。
「塩は一袋3000イエメン・リアル(12ドル)ほどで売られる。だが、私たちはインフレに悩まされており、昇給するだけの流動資金がないのだ」
「彼女たちの収入源は塩づくりだけだ。他には何もない。畑も、家畜も持っていない」
国連人口基金は、内戦による稼ぎ手の男性の不在が女性たちが直面している困難に拍車をかけていると指摘した。
「突然、家族を養わなければいけない責任を負わされるプレッシャーは、女性や若い少女たちにとってはよりいっそう重いものだ。彼女たち自身が基本的な教育や職業訓練の機会を与えられてきていないのだから」
AFP