
イフレン:モロッコで7日、井戸にはまり、世界の注目を集めた数日間の救助活動の甲斐なく死亡した5歳の「ラヤンちゃん」の埋葬の準備が行われた。
1日、32メートル(100フィート)の狭い枯れ井戸に子どもが転落し、その子の運命には世界の注目が集まり、ネット上では同情の声が沸き起こった。
葬儀は、悲劇が起きたモロッコ北部の貧しいリーフ山地にある彼の故郷のイフレン村で行われる予定だと、地元当局者と親族がAFP通信に語った。
5日夜、救助隊員らが24時間体制で掘削活動を行い、最後の最後の土を取り除いてラヤンちゃんのところへたどり着くと、群衆は喜びで歓声を上げた。
しかし、救助が間に合わず、ラヤンちゃんが死亡したニュースが伝わると、希望は悲しみに変わった。
「今朝、村は静まり返っていた」と、ある親戚は語った。
このニュースは、モハメッド6世が両親に電話で弔意を伝えた後、北アフリカの同国の王立内閣によって発表された。
「国王陛下、当局、そして私たちを助けてくれた全ての人々に感謝します」と、ラヤンちゃんの父ハーリド・オラム氏が5日夕方に語った。「神様、死者に慈悲を」
従兄弟によると、ラヤンちゃんの遺体はラバトの軍の病院に運ばれたが、検死に関する報告書は出ていないという。
一刻を争うように行われたラヤンちゃんの救出劇は世界中で生中継され、悲劇的な結末が発表されるとすぐに、お悔みの言葉が数多く寄せられた。
フランシスコ教皇は、男の子の死を悼みながらも、「あらゆる人々が一緒になって」子どもを救おうとした「美しい」側面を賞賛した。
オラム氏は、男の子の転落時、自宅近くの井戸を修理していたと語った。
井戸の穴は、幅が直径45センチ(18インチ)と、ラヤンちゃんのところまで直接近づくには狭すぎ、また、幅を広げるのは危険すぎると判断されたため、重機で丘に広い斜面を掘った。
救助隊員らはブルドーザーとホイールローダーを使って、男の子が閉じ込められている深さまで周囲の赤土を掘り下げ、その後、掘削チームが地滑りを起こさないように、横から男の子のところへと至る水平のトンネルを作った。
大勢の人が支援に駆けつけ、歌ったり祈ったりしながら、24時間体制で働く救助隊員らを励ました。
男の子の死亡のニュースを受けて、モロッコの人々はショックを受けた。
首都ラバトのムーラド・ファズーイ氏は、「最悪だ」と述べた。「彼の魂が安らかに眠り、神が彼に天国の扉を開いてくれますように」と、セールスマンの同氏は語った。
インターネット上は、地域のライバル国であるアルジェリアからフランスや米国に至るまでの様々な国々のSNSユーザーの支援や悲しみのメッセージや、救助隊員を称える声で溢れた。
「彼は人々を結集させた」と、あるツイッターユーザーは語った。
しかし、中には違う状況の受け止め方をする人もおり、あるインターネットユーザーは、イエメンやシリアの飢餓や紛争で命を落とす人がいる一方で、「アラブ諸国がモロッコの子ども1人の救出に感動している」「ディストピアのような世界」を嘆いた。
男の子のこのつらい出来事は、2019年初めにスペインで2歳の子どもが深さ70メートル以上の廃井に転落して死亡した悲劇の繰り返しとなった。
フレン・ロセヨちゃんの遺体は、13日間続いた捜索・救助活動の末に回収された。
AFP