
ガザ地区/ヨルダン川西岸地区、ラマッラー:パレスチナ当局は、ヨルダン川西岸地区とガザ地区で新型コロナの検査とワクチン接種を強化した。また、当局によるマスク着用と社会的距離確保の要請に対する人々の無関心が、感染拡大と戦う努力を阻害していると警告した。
パレスチナ自治政府の保健省は、感染力の強いオミクロン株による感染が拡大しており、ヨルダン川西岸地区とガザ地区で治療中の新型コロナ患者数が9日時点で6万4000人に達したと発表した。
ラマッラーの医療制度の責任者を務めるマハディ・ラシェド氏は、「3週間前に記録されていた1日あたりの新規感染者数は最大で300人だったが、ここ数日で1万1000人を超えた」と述べ、「これは明らかにオミクロン株が拡散した結果だ」と続けた。
ラシェド氏は、多くの人が検査を受けていないため、実際の感染者数はもっと多いだろうと警告し、感染防止規則を守らない人々の「無謀さと無関心」が感染拡大の原因だと非難した。
パレスチナのマイ・アル・カイラ保健相は、ヨルダン川西岸地区にある政府系病院の病床が5日時点で満床となっていると警告した。この1週間だけで、重病者数はガザ地区で2倍以上に増え、ヨルダン川西岸地区でほぼ2倍に増えた。
当局者によると、ガザ地区とヨルダン川西岸地区の官公庁内ではマスク着用が義務付けられ、政府職員にはワクチン接種が義務付けられている。
しかし、ヨルダン川西岸地区の都市ヘブロンに住み、洋服店を営むアハメド・アル・アトラッシュ氏(28)は、人々の無関心が定着してしまったと話した。
アル・アトラッシュ氏は、「誰も新型コロナなんて気にしていない」と述べ、「誰も新型コロナのストレスに悩んでいない。誰も関心がないし、パレスチナ人の間ではこれが普通になってしまった」と続けた
ヨルダン川西岸地区とガザ地区のパレスチナ当局は、より多くの検査場を開設し、短時間で結果が得られる検査方法を承認した。また、ワクチン接種を受けるよう人々に促している。
保健当局によると、ヨルダン川西岸地区に住む310万人のパレスチナ人のうち、2回のワクチン接種を終えた人の割合が60%となった一方、ガザ地区に住む230万人のうち、2回のワクチン接種を終えた人の割合は43%にとどまっている。ヨルダン川西岸地区とガザ地区では、新型コロナで死亡した人の合計が約5000人に達している。
ロイター