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米国が億万長者の略奪遺物をヨルダンに返還

米国からヨルダンに引き渡された遺物は、アンマンの米国大使館の協力のもと当局が開催した式典で展示された。(ロイター)
米国からヨルダンに引き渡された遺物は、アンマンの米国大使館の協力のもと当局が開催した式典で展示された。(ロイター)
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03 Mar 2022 04:03:58 GMT9
03 Mar 2022 04:03:58 GMT9

エルサレム:米国当局は、12月に発表された画期的な取引の一環として、米国の億万長者である収集家から押収した9点の略奪された遺物をヨルダンに返還した。

これらの美術品は、マンハッタン地方検事局が、不正に取得された遺物を引き渡し、起訴を免れるという収集家のマイケル・スタインハート氏との合意の一環として押収した180点の一部だ。この取引は、スタインハートが略奪された遺物を所有していたことに対する4年にわたる捜査の締めくくりとなった。

ヨルダン遺跡省と在ヨルダン米国大使館は火曜日、ヨルダンの首都アンマンで式典を開き、大使館が声明で「ヨルダンから違法に密輸され、米国の古美術品収集家が入手した」と述べた品々が展示された。

「これは、ヨルダンの文化遺産を保護するための米国が努力していることの証です。今日のヨルダンの古美術品の本国返還により、我々はこの約束を守っています」とヘンリー・T・ウースター大使は述べた。

米国とヨルダン当局の報道声明では、スタインハート氏の名前には触れていないが、同省が公表した写真に写っていた遺物のうち7点は、裁判文書にあるヨルダンの遺物の記述と一致した。

ヨルダンから略奪され、スタインハート氏がイスラエルの古物商から購入した古代ユダヤ人の墓石2基は、記者会見の写真には写っていなかった。ヨルダン遺跡省の長官は、コメントの要請に応じなかった。

マンハッタン地方検事局が12月に合意を発表して以来、米国当局はスタインハート氏が所有していた略奪品をトルコ、ギリシャ、ブルガリア、リビア、イラク、そして今回のヨルダンに返還している。スタインハート氏自身は略奪の罪に問われておらず、いかなる犯罪も行っていないと述べている。しかし、検事局は、古美術品が盗品であることを彼が「知っていたか、合理的な調査によって把握していたはずだ」としている。

イスラエルと占領下のヨルダン川西岸地区で略奪された20数点の遺物は、今月末にイスラエル当局に返還される見込みであると、イスラエル考古学庁は発表した。

裁判文書によると、取引の一環としてイスラエルに送還される40の遺物のうち、少なくとも22はヨルダン川西岸地区の遺跡から略奪されたとみられている。スタインハート氏はそのうち9点を「見つけることができなかった」といい、別の3点はエルサレムのイスラエル博物館に展示されている。

同博物館は最近、彼が貸与していた新石器時代のマスク2点の展示ラベルからスタインハート氏の名前を削除した。

検事局によると、占領下のヨルダン川西岸地区の遺物は「オスロ合意(1995年のイスラエルとパレスチナ人の間の暫定合意)に従って」イスラエル政府に返還されるという。この合意では、西岸地区の遺物のパレスチナ人への返還については、今もなお締結困難な最終和平協定で解決すべきこととしている。

パレスチナ観光・遺跡庁のジハード・ヤシン氏は、西岸から送られた資料はパレスチナ人に返還されるべきであり、同庁はこの問題についてユネスコに報告書を提出する準備を進めていると述べた。

スタインハート氏(81歳)は、ヘッジファンドの創業者で、ユダヤ人のためのスタインハート財団の理事長を務める慈善家でもある。また、ユダヤ系の若者をイスラエルへの無料の旅行に招待する団体「バースライト・イスラエル」の共同設立者でもあり、イスラエル博物館など同国の施設の著名なパトロンでもある。

AP

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