

パレスチナ自治区、ガザ市:ガザ南部の埋立地では廃棄されたバッテリーの山が積まれ、劣化する電池がガザ地区に住むパレスチナ人の健康をますます脅かしている。
イスラム原理主義組織ハマスがガザを実効支配し、イスラエルによる封鎖が始まった2007年以来、インフラが老朽化し、公共の電力供給が貧弱なガザでバッテリーは不可欠な電力源となっている。
ハン・ユニスにある2000平方メートル(0・5エーカー)の埋立地で働くイブラヒム・バラカ氏は、「バッテリーは15年も前から積み上げられている」と話した。この埋立地周囲の住民は、毎日積み上げられる廃棄された鉛や水銀の山を覗き込むことができる。
230万人のパレスチナ人が暮らすガザにある発電所はたった1つで、ディーゼルで稼働している。主にイスラエルによる封鎖の影響で、燃料の供給は安定していない。
この発電所はまた、2006年にハマスとイスラエルの間で発生した紛争でイスラエルの戦闘機による空爆を受けた。
ガザ環境省のモハメド・マスレ資源部長は、リサイクルが必要な使用済みバッテリーがガザには2万5000トンあると推定している。
バッテリーの多くは危険物の保管に適さない場所に保管されている。
ガザ地区では失業率が50%前後で推移しており、バッテリーの回収は貧困に陥った同地区に住む人々の収入源でもある。
爽やかな朝、ザカリア・アブ・スルタン氏はガザ市の街角で荷馬車を走らせながら、拡声器を使って商売のための呼びかけを行っていた。
アブ・スルタン氏は、「壊れたバッテリーを売ってくれる人はいませんか」と叫んだ。
アブ・スルタン氏はAFP通信に対し、「夜明けからずっと壊れたバッテリーを買うために歩き回っている。せいぜい50シェケル(15ドル)で買って、スクラップ屋に70シェケルで売る」と語った。
通常、壊れた電池はバラカ氏が働くハン・ユニスの施設のような埋立地に運ばれる。電池は埋立地で解体されてプラスチックなどの材料となり、材料は工場に売られる。
ガザの国立環境開発研究所のアハメド・ヒリス所長は、廃棄されたバッテリーに利益があることは理解しているが、バッテリーの売買は非常に危険だと述べた。
ヒリス氏は、「何トンものバッテリーがゴミ捨て場に積み上がっており、中には高さが40メートルや50メートルを超えるものもある」と述べた。
ヒリス氏はAFP通信に対し、「人々がバッテリーを持ち歩いており、動物が引く荷車の中からも見つかる。子どもが持ち歩いていることもある」と語った。
ヒリス氏は加えて、「ドライバーでバッテリーを開けようとする親子を見かけることもある。これは茶番で無茶苦茶だ」と述べた。
イスラエルはかつて、ガザから出る有害物質を管理する役割を担っていた。しかし、2007年にハマスがガザを実効支配したことを受けて有害物質の管理をやめた。
ハマスは西側諸国の大半からテロ組織とみなされており、イスラエルとの直接的な接触はない。
イスラエル国防省に属する機関で、パレスチナの民政問題を担当するCOGATは先月、イスラエルとガザを結ぶケレムシャロム検問所で2台目の鉄破砕機が稼働を開始したと発表した。
COGATは、破砕能力が強化されたことで「ガザ地区からの鉄スクラップの輸出が大幅に増加するだろう」と述べた。
バラカ氏は、「現状は持続可能ではないと大多数の人々は考えており、破砕能力の強化でバッテリー廃棄物に対する解決策への期待が高まっている」と述べた。
ヒリス氏は一方、有害物質の取り扱いについて明確な規則を設けるようハマスに促した。
ヒリス氏は、バッテリー廃棄物は現在、「いかなる規則も守らず、有害物質回収の経験もない」人々によって管理されていると述べた。
AFP通信