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米国とイランの核交渉、カタールが調停役に

2022年2月8日、オーストリアのウィーンにて、非公開での核交渉が行われるコーブルク宮殿に到着する、イランの核交渉代表を務めるアリー・バーゲリー・カニ氏。 (AP Photo)
2022年2月8日、オーストリアのウィーンにて、非公開での核交渉が行われるコーブルク宮殿に到着する、イランの核交渉代表を務めるアリー・バーゲリー・カニ氏。 (AP Photo)
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09 Mar 2022 04:03:39 GMT9
09 Mar 2022 04:03:39 GMT9

アラブニュース

  • カタール政府関係者が、ウィーンで行われている交渉において両国の伝言役を務めている
  • 米国およびイラン政府と良好な関係を築いてきたカタール政府にとっては、「運命的に好条件が揃った」形となった

ロンドン:米国とイランによるイラン核合意に関する交渉で、カタールが調停役を担っている。

EUが仲介役となり、1年近くに渡ってオーストリアで交渉が行われてきたが、合意に至るまでに掛けられる時間は少なくなってきていると関係者らは述べた。

イランおよび米国政府の要請を受け、カタールはオーストリアで行われている交渉における伝言役を務めると共に、米国が今後交渉を打ち切るのではないかというイラン側の懸念緩和に動いている。

イラン側のこうした懸念は、2015年の包括的共同行動計画、通称「イラン核合意」から、2018年にトランプ政権が突如離脱したことから生まれている。イラン核合意は、イランと米国、ロシア、中国、英国、フランス、ドイツ、EU代表らによる長く緊迫した外交努力の結果によるものだった。

ある外交官が交渉について『フィナンシャル・タイムズ』紙に語ったところによると、カタール政府関係者は、仮に合意に至った場合、捕虜の交換や追加制裁の緩和といった未解決の問題に今後対応していけるよう、米国およびイラン政府による直接交渉の円滑化にも取り組んでいるという。

「両国共に合意の実現を強く必要としており双方にその意志もありますが、信頼が最大の問題となっています」。前出の外交官はそう語った。「お互いに相手方が合意を望んでいないと考えていますが、それは筋の通らない話です」

あるイラン政府関係者は、交渉におけるカタール政府の役割について語ることを拒んだが、カタールと「その他1、2カ国が、一部のケースで(米国からの)伝言役を務めている」と述べた。

欧米側の関係者は数日中に合意するようイランに迫っており、イラン政府が核計画を進めている中で、合意に至らなければ既に難航している交渉が破綻する可能性があると警告した。イランは2015年の合意が破綻して以降、この数年間でかつてないほどウラン濃縮を強化しており、その他の面でも核兵器生産を進めてきた。

2月の『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の報道によると、イランはブレイクアウトタイム(核爆弾1個を製造するのに必要なウラン生産に必要な時間)を1年間から大幅に短縮しており、本来の合意内容の中心原則を脅かしているという。

双方共に合意に近づいているとされているが、未解決の問題は残っている。『フィナンシャル・タイムズ』紙は、ウラジミール・プーチン大統領の命令によって発生したロシアによるウクライナ侵攻を受けて米国が課した対露制裁に関し、週末になってロシア側がイランとの貿易に影響を与えないよう保証することを求めたことで交渉複雑化の懸念が高まり、事態の緊急性は高まったと報じている。

だが米国とイランは共に、「合意を目指して」交渉を続けていくと述べている。

前出の外交官は次のように述べている。「2015年の合意における最大の過ちは、締結後に話し合いを止めてしまったことです。当初は双方共に相手を信用しておらず、信頼醸成に向けた良い兆しが必要とされていました。しかし現在は、前向きな動きもいくつか出てきています。今のイランは、バイデン大統領を交渉可能な相手と見ています」

昨年、サウジアラビアをはじめとする複数の湾岸諸国との外交問題を解決したことで、カタール政府は地域の調停役、外交における対話相手としての地位を築くことができた。米軍のアフガニスタン撤退後にタリバンが同国を奪取する以前の段階では、両者の和平交渉にカタールが貢献しており、今年1月には米国政府から「重要な非NATO同盟国」のひとつに指定されている。

ウクライナ危機の勃発以来、欧米諸国にとってのカタールの重要性は再び大きく高まっている。カタールは世界最大の液化天然ガスのひとつであり、ロシアから欧州および北米へのガス供給が減少しつつある中で、代替供給源としての可能性を秘めている。

国際シンクタンクであるクライシス・グループのイラン専門家、アリ・ヴァエズ氏は『フィナンシャル・タイムズ』紙の取材に対し、ウィーンでの交渉における調停国の大きな問題は、両国にとって「難しい問題を共有できる」、全幅の信頼をおける国がひとつもなかったことだと述べている。

だが、米国の交渉役トップを務めるロブ・マリー氏は、カタールのシェイク・モハンマド・ビン・アブドゥルラフマン・アル=サーニー外務大臣と長きにわたって「非常に良い関係」を築いてきたとヴァエズ氏は語る。

「同地域における禁輸措置解除後、カタールとイランの関係性は変化しました。そのため、カタールとしては調停役を務めるにあたっての好条件が運命的に重なる形となったのです」ヴァエズ氏はそう付け加えた。

「両国とこれだけ近しい関係を築き上げ、現時点において戦略地政学的にこの役割を担うのにこれほど適した国は他にありません」

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