
ハーグ:国際刑事裁判所の検察官は金曜日、パレスチナ占領地で行われた疑いのある戦争犯罪の調査を開始するために大きな一歩を踏み出し、裁判官に対し将来の調査の対象となる領土の範囲について尋ねた。
この発表により、イスラエル軍とパレスチナ人の双方による犯罪容疑に対する長年の予備調査は終了し、ファトゥ・ベンソウダ検察官が正式な調査を開始する準備をしていることが明らかとなった。
これは即座にイスラエルからの非難を招くこととなり、ネタニヤフ首相はそれを「真実と正義にとって暗黒の日」と呼んでいる。
パレスチナ外務省は、これは「5年近くに及ぶ長く困難な予備審査を経て、調査に向けたプロセスを進めるための長い間待ち望んでいたステップ」であるとして歓迎した。
イスラエルは裁判所に加盟しておらず、その管轄権を認めていないが、パレスチナは加盟国として認められており、調査を要請していた。イスラエルは裁判所の加盟国ではないとはいえ、ICCの調査で戦争犯罪で起訴された場合には、イスラエル国民に対し国際的な逮捕令状が発行される可能性がある。
声明の中でベンソウダは、「私は、パレスチナの状況について調査を進める合理的な根拠があることに満足しています」と述べている。
彼女は、「東エルサレムやガザ地区を含むヨルダン川西岸地区で戦争犯罪が行われてきた、あるいは現在も行われている…と自信をもって言えます」と述べた。
ベンソウダは、現在、裁判官に調査の地理的範囲を示すよう求めている。
彼女は、「具体的には、裁判所が管轄権を行使し、調査の対象となる可能性のある「領土」に、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区およびガザ地区が含まれることの確認を求めている」と言う。
ネタニヤフは、ベンソーダの決定が「国際刑事裁判所をイスラエル国家を非合法化するための政治的道具に変えた。検察官は、私たちが彼女に提示した法的議論を完全に無視している」と語った。
パレスチナの要求に応じ、ベンソーダは、2014年のガザ地区でのイスラエルとパレスチナ過激派の間の戦争の後、2015年に国際法違反の疑いについて予備調査を開始した。
和平プロセスが10年以上に渡って停滞する中、パレスチナは近年、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムにおけるユダヤ人入植地の建設や拡大を含め、国際法違反の疑いについてイスラエルの責任を追及してきた。
イスラエルは、1967年の中東戦争でガザ地区とともにこれらの領土を占領した。パレスチナ人はこれら3つすべての地区が、将来、自分たちの国の一部となることを望んでいる。
イスラエルの司法長官アヴィチャイ・マンデルブリットは、金曜日に公表された法律上の見解の中で、パレスチナ人は定められた国境に対する主権を持っていないので、国家としての基準を満たしていないと述べている。また、過去の和平協定を引用し、イスラエルは、双方が交渉により領土紛争を解決することに同意していると述べている。
「ICCに近づくことで、パレスチナ人は、当事者により合意された枠組みを破棄し、刑事訴訟ではなく交渉によって解決されるべき政治的問題について、裁判所の決定に委ねようとしている」と法律上の見解は言っている。
パレスチナは、彼らは国際刑事裁判所の正式な加盟国であり、裁判所が管轄権を持っていると主張している。
AP通信