
ベイルート:レバノンのナジーブ・ミカティ首相は14日、5月15日に予定されている総選挙に出馬しないと表明した。
テレビ演説で首相が不出馬を表明したことで、レバノンのイスラム教スンニ派政治勢力の間ではこれまでに増して混乱が生じている。投票日まで2カ月を迎えた今回の総選挙は、経済危機突入から3年目となるレバノンの国民生活を再び活性化させるための重要な契機になるとみられている。
1月の時点でサアド・ハリーリ元首相が政界引退を表明し、ハリーリ元首相が党首を務め現在国会で約20名の議員を擁する政党「未来運動」は候補者を立てないと発表していた。
ハリーリ元首相はスンニ派の最有力政治家だ。レバノンでは宗派ごとの権力分担協定があり、首相は必ずスンニ派、大統領はキリスト教マロン派、国会議長はイスラム教シーア派から選ばれると規定されている。
レバノン国会の定数128議席も宗派ごとに配分され、スンニ派には27議席が割り当てられているが、今やそのほとんどから有力候補が抜けた状態となっている。
ミカティ首相は不出馬を表明したが、レバノン国民に対しては投票するよう呼びかけ、自らの不出馬は「後進に道を譲る」のが目的だと述べた。
ハリーリ元首相の政界引退表明により、スンニ派が総選挙をボイコットし選挙の正統性が損なわれるのではとの懸念の声が上がっていた。しかし未来ブロック以外の数多くのスンニ派候補が立候補を表明している。
ロイター