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イエメンへの支援が飢餓を防いだが、さらなる支援が必要―国連人道問題責任者

イエメンに対する約140億ドルの支援は、飢餓を防ぎ、罹患率と死亡率を安定させるのに役立っていると、国連の人道問題責任者が述べた(資料/AFP)
イエメンに対する約140億ドルの支援は、飢餓を防ぎ、罹患率と死亡率を安定させるのに役立っていると、国連の人道問題責任者が述べた(資料/AFP)
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16 Mar 2022 12:03:58 GMT9
16 Mar 2022 12:03:58 GMT9
  • 直近のプレッジング会合に先立って、グリフィス氏はこれまでの対応がなければ「イエメンでもっと多くの人々が病気になり、命を落としていただろう」と述べた
  • 国連イエメン担当特使は、加盟各国にラマダンをひかえたイエメンに希望と救済をもたらす取り組みへの賛同を呼びかけた

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:国連の人道問題責任者マーティン・グリフィス氏は、過去数年間のイエメンに対する約140億ドルの国際支援は同国の人々に「極めて大きな違い」をもたらしたという。

支援は大規模飢餓の回避や戦争で荒廃した同国における罹患率と死亡率の安定に役立ったと、同氏は述べた。

しかし「例外的で桁外れの惜しみない」支援全体の75%は米国・サウジアラビア・UAE・英国・ドイツ・EUの6つの提供者によるものだと、火曜の安全保障理事会で同氏は述べた。同氏は全ての支援国に感謝を述べ、各国の協力によって成し遂げられたイエメンへの貢献と人道的利益を評価することの重要性を強調した。

「何よりもまず…イエメンにおいて我々がしばしば懸念したような大規模飢餓は起こっていない」と、食料不安が高まる中での飢餓および食糧不足を防ぐ継続的努力の呼びかけに際して、グリフィス氏は述べた。

「同国は昨年初めなどに何度か飢餓への暗い道へと向かい始めたものの、時宜にかなった潤沢な資金による人道的活動がそれを阻止した。これは大きな成功だ」

また、支援の取り組みは紛争期間中に罹患率と死亡率の安定を保つのに役立ったと述べた。

「これはつまり、この規模の対応策がなかったなら、イエメンではもっと多くの人々が病気になり、多くが命を落としたということだ」と同氏は述べた。「これはもうひとつの重要な成果だ。これらもその他の達成も共同での取り組みによるものであり、単独での取り組みによるものではない」

水曜にスウェーデンとスイスが共催するイエメンに関するハイレベル・プレッジング会合に先立って、安全保障理事会の会合でイエメンの状況について話し合うために同氏が発言した。イエメン全土の1,700万人以上への支援を継続するために、支援機関は約43億ドルの資金を求めている。

「明日の会合は資金だけについてのものではないが、それは極めて重要である」とグリフィス氏は述べた。「何年かかっても、新たな危機が発生する中でも、国際社会はイエメンを見捨てないということを示す機会でもあり、これは非常に重要なメッセージだ」

同氏は、イエメン国内の状況は引き続き「慢性的な緊急事態」そのものであり、支援機関の対応が間に合わないスピードで飢えと病気と「その他の苦難」が拡大しているとした。

「2,340万人が何らかの支援を必要としている」とグリフィス氏は述べた。「4人に3人の割合であり、これは深刻な懸念をよぶ驚くべき数字だ」

「そのうちの1,900万人は飢えることになり、昨年から20%増加している。そして、慎重に言葉を選ぶが、我々はその中の16万人以上が飢饉に近い状況に直面すると確信している」

イエメン国内の紛争解決を目指す停戦と和平交渉に向けた多くの国際的呼びかけにもかかわらず、フーシ派が2年にわたって攻撃を続けているマアリブをはじめとする約50の戦線で交戦が続いていると、グリフィス氏は述べた。

「昨年、交戦によって2,500人以上の民間人が死傷し、30万人近くが避難を強いられた」と同氏は述べ、イエメンでは2015年以来、430万人が避難していると付け加えた。

イエメンは小麦供給の3分の1をウクライナから輸入している。先月のロシアの侵攻によりウクライナで勃発した戦争のため、輸入が制限され、この1年で既にほぼ2倍となっている食品価格がさらに上昇する可能性があると、グリフィス氏は述べた。燃料不足も食品価格高騰の一因となっているという。

アントニオ・グテーレス国連事務総長イエメン担当特使のハンス・グルンドベルグ氏は安全保障理事会において、イエメンの人々はあまりに長い間平和に生きるチャンスを奪われてきており、「この終わりなき暴力の連鎖」を断ち切り、「持続的な平和の基礎を築く」ために国際社会が協調しての共同努力が必要だと述べた。

理事会メンバーへの最新の治安情勢に関する説明の中でグルンドベルグ氏は、多くの戦線で交戦が衰えることなく継続していると述べた。とりわけ2年にわたって「民間人に甚大な被害をもたらしている」フーシ派によるマアリブでの継続的攻勢を強調した。

「暴力は周辺地域にも波及し続けている」と同氏は述べた。「2月21日にはジーザーンにあるキング・アブドゥラー空港上空で迎撃されたドローンの破片により民間人16人が負傷した」

この紛争に持続可能な軍事的解決はあり得ないという事実に変わりはなく、「いつものごとく、一般市民が自らはなんの影響力も持たない選択に対して受け入れがたい代償を払う状況にある」と特使は述べた。

国連児童基金ユニセフは今月、イエメンでは今年最初の2カ月だけで少なくとも47人の子どもが殺害されるか、障害を負わされたと報告した。過去7年間で1万200人以上の子どもが死傷したことが確認されているが、実際の数はおそらくこれよりはるかに多いという。

グルンドベルグ氏は、経済危機が深刻化し続けており、今後も悪化しそうだと警告した。イエメンの通貨価値はアデンとその周囲の県においてドルに対して20%下落していて、さらなる為替レートの急落、物価上昇、国家経済の分裂の深刻化に対する懸念が高まっている。同氏は通貨を安定させるための具体的方策を求めた。

燃料不足はフーシ派の支配地域で特に深刻だと、グルンドベルグ氏は指摘した。これは通貨価値の下落と相まって、家庭でラマダンの準備が始まる中で市民にいっそう大きな影響を与えるだろう。同氏は、イエメンの人々は移動の自由も厳しく制限された中で生活を続けているとも述べた。

「サヌア空港の閉鎖により北部の多くのイエメン人は外国への渡航ができなくなった」と同氏は述べた。「継続する戦闘、検問所の急増、交通の要所の閉鎖により特にタイズにおいてイエメンの人々の国内移動が妨げられている」

グルンドベルグ氏は、暴力を減らし、燃料危機を緩和し、移動の自由を拡大することを可能にする即時の緊張緩和策に向けた選択肢を各勢力と模索するつもりだと述べた。

「ラマダンが近づく中で、イエメンの人々が大いに必要としている希望と救済をもたらす私の提案に、各関係者が迅速かつ建設的に関与してくれることを望んでいる」と同氏は加えて述べた。

「これに関連して、私はサヌアのアンサール・アッラー(フーシ派の正式名称)の指導者とこの問題や政治的プロセスを進める方法について話し合う機会を心待ちにしている」

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