
「プーチンはロシア軍が確実に迅速に勝利を収められると過大評価していた」とも語る
シドニー、オーストラリア:英国一の情報機関のトップは木曜、「ウラジーミル・プーチン大統領の側近は、ウクライナ戦争戦略の失敗について真実を話すことを恐れている」と語った。
英国の情報機関GCHQのトップであるジェレミー・フレミング氏は、キャンベラのオーストラリア国立大学での講演で「プーチンは侵攻を大きく見誤った」と述べた。
事前に発表された同氏の発言は、前日のアメリカ政府の発表でプーチンが側近からロシアの作戦進捗状況に関する「誤った」情報を受けていることを示唆したアメリカの情報機関に呼応するものだった。
西側の情報筋は、この戦争におけるロシアの失敗を誇張し、プーチン側近の分裂を強調することに注力している。
フレミング氏は、「プーチンは、ウクライナの抵抗勢力や、プーチンに対抗する国際連携力の強さ、経済制裁の影響などを過小評価していた」と語った。
同氏は更に、「プーチンは自国軍が確実に迅速に勝利を収められると過大評価していた」と付け加えた。
フレミング氏は、「武器も士気もないロシア兵が命令を拒否し、自分たちの装備を破壊し、誤って自軍の飛行機を撃墜してしまうことさえある」と述べた。
「プーチンの側近が彼に真実を伝えることを恐れているとしても、政権は現在何が起こっているか、こういった誤判断の程度はどれぐらいか、極めて明確に把握していなければならない」
ロシアが今週、首都キエフと北部のチェルニゴフ周辺での戦闘作戦を「根本的に」縮小すると発表したことは、「おそらく大幅な再考を迫られたことを示している」とフレミングは述べた。
同氏は、「ロシアからのサイバー攻撃は依然として脅威だ」と警告した。
ロシア政府が壊滅的なサイバー攻撃をしなかったことに驚く人々もいたが、フレミング氏は「ロシアの侵攻においてサイバー攻撃が重視されていたと考える者は誰もいない」と述べた。
しかし同氏は、「英国の情報機関は、ロシアがウクライナの政府と軍のシステムを混乱させ続けようとする意図を察していた」と語った。
「我々は、ロシアのサイバーアクターが彼らの行動に反対する国で攻撃対象を探していたことを示唆する指標を確かに見てきた」
フレミング氏は、「ロシア政府は、ウクライナの戦場で自国軍を支援するために傭兵や外国人戦闘員を投入していた」と語った。
その中には、2014年のロシアのクリミア併合以来、同国で活動してきたワーグナーグループも含まれており、「ギアを上げて」いるところだった。
「ワーグナーグループは、ロシア軍のために暗躍する陰の組織であり、よりリスクの高い作戦のため、一見もっともらしい反証を並べている」と同氏は語った。
フレミング氏は、「中国の習近平国家主席は、ロシアの侵略を非難することを拒否し、ロシアにある程度の外交的・経済的支援をおこなってきた」と指摘した。
同氏は、「中国は台湾の再奪取を視野に入れており、将来的にその能力を制限するようなことはしたくない」と述べたが、「中露関係は中国の軍事力と経済力が高まるにつれて悪化する可能性がある」と予測した。
AFP