
カイロ:著名な人道団体によると、超満員のボートに乗っていた90人以上の移民が地中海で溺死した。よりよい人生を求めて北アフリカから欧州へ渡ろうとする移民の悲劇が再度繰り返された。
「国境なき医師団」が2日遅くに発表したところによると、移民たちは先週リビアを出発した船に乗っていた。同団体の活動責任者ジュアン・マティアス・ジル氏は、船に問題が発生した正確なタイミングは不明だと述べている。
フランス語の「MSF」という頭文字でも知られている同団体は、石油タンカーが2日未明に公海上で4人の移民を救助したと述べている。
救助された移民の話ではボートには100人ほどが乗っていた、とMSFは述べている。
MSFはリビアに移民を送り返さないようにタンカーに要請したが、聞き入れられなかったという。リビアに行けば「ほぼ間違いなく拘束され、暴力や虐待が待っている」のだという。
MSFは「手遅れになる前に生存者が安全に過ごせる場所を用意」するよう、イタリアとマルタに促した。また、国境沿岸警備隊(Frontex)をはじめとするEU機関に対し、事件の詳細を明らかにするように求めた。
地中海では、北アフリカから欧州へ必死に逃れようとする移民が絶えない 。リビアは近年、北アフリカや中東の戦火・貧困を逃れる移民の一大中継地となっている。
最近はリビアでの混乱に乗じて人身売買が活発化しており、この石油が豊富な国が6つの国と接している長い国境から移民を募っている。ほとんどの場合、移民は簡素なゴムボートに大量に乗せられ、危険な海の航海に送り出される。
国際移住機関(IOM)によると、「中央地中海ルート」においては、1月1日~3月28日におよそ300人の移民が亡くなるか、亡くなったと推定されている。3100人ほどが途中でつかまり、リビアに送還された。
リビアに戻った移民はほとんどの場合、政府管轄の収容施設へ送られるが、そこには暴力や虐待がはびこっている。
2021年は、少なくとも3万2425人の移民が捕らえられてリビアへ送り返された。IOMは、昨年少なくとも1553人が溺死したと推定している。
国連トップの人権機関であるIOMの委託を受けた調査官は、リビアで収容された移民に対して非人道的な犯罪が行われた痕跡を発見している。
AP