アラブニュース
ロンドン:金曜、占領下のヨルダン川西岸地区における最近の暴力激化と、アル・アクサモスクでのパレスチナ人とイスラエル警察の衝突について、国際社会が深い懸念を表明した。
金曜に東エルサレムのアル・アクサモスク敷地内で、イスラエルの機動隊との衝突により少なくとも152人のパレスチナ人が負傷し、400人の信徒が逮捕された。これはより大規模な紛争再開の恐れをもたらしている最近の暴力激化に続く新たな事件となった。
国連は「この聖なる日々の間に悪化するエルサレムの治安情勢を深く懸念」しているとし、挑発行為は止めるべきだと述べた。
「各方面の政治、宗教、共同体の指導者らにこの状況の鎮静化に向けて協力するよう求める。これ以上の緊張の高まりを許せば、再び対立が激化する恐れがある」と中東和平プロセス特別調整官トル・ウェネスランド氏は声明で述べた。
同氏によると、国連はこの危機を鎮静化するために地域の重要パートナーと密接に連絡を取り合うともに、イスラエルとパレスチナの当局にも「直ちに状況を緩和し、過激派によるさらなる挑発を防ぐ」よう要請したという。
今回の衝突は特にセンシティブな時期に発生した。今年のラマダンは、金曜の日没に始まり1週間続くユダヤ教の主要な祭日である過越祭、キリスト教の復活祭に向けての聖週間と重なる。これらの祭日には3つの宗教の重要な聖地があるエルサレムの旧市街に数万人の信徒が集まることが予想される。
欧州連合(EU)も深い懸念を持って状況を注視していると述べ、直ちに暴力行為をやめるよう呼びかけた。
EUの外交担当広報官のピーター・スタノ氏は「何よりもまず、これ以上の市民の犠牲を防がなくてはならない」として、「聖地の現状は十分に尊重されるべきであり、パレスチナとイスラエルが治安維持のために協力することが不可欠だ」と述べた。
スタノ氏は、全ての関係者に緊張緩和に向けた取り組みに協力するよう求めるEUの呼びかけを繰り返し、全ての指導者に過激派に対して行動する責任があると述べた。
ドイツ・フランス・イタリア・スペインの外務省は共同声明で、金曜の東エルサレムでの暴力を非難した。
「最大限に自制し、暴力やあらゆる形の挑発を控えるよう全関係者に要請する」と各国外務省の広報官は声明で述べた
聖地の管理を担う隣国ヨルダンとパレスチナ自治政府は、イスラエルの「状況を劇的に悪化させる恐れのある危険で非難すべき過激化」を非難する共同声明を出した。
パレスチナ外務省は「この犯罪行為とその結果について直接の全責任をイスラエルに帰する」と述べた。
パレスチナのマフムード・アッバース大統領の広報官ナビル・アブ・ルデイネ氏は、国際社会は「イスラエルによるアル・アクサモスクに対する攻撃を止め、事態が制御不能になるのを防ぐ」ため、直ちに介入すべきだと述べた。
アラブ連盟を率いるアフマド・アブルゲイト氏は、アル・アクサモスクでの事態に火をつける行為を諫め、イスラエルの占領軍を非難し、同軍はパレスチナ人と、彼らがイスラム教の聖月ラマダンの期間にアル・アクサモスク内で儀式を行う権利に対して深刻な攻撃を加えていると述べた。
「イスラエルによる信徒への攻撃は、アル・アクサモスクを空間的・時間的に分割することを目的とした一連のイスラエルによる犯罪および挑発行為の継続を象徴するものだ」と同氏は述べ、エルサレムとパレスチナの人々への連帯を表明した。
湾岸協力理事会の事務局長は、イスラエル警察および特殊部隊がモスクを襲撃したことを非難し、イスラエルに対し占領下のエルサレムの歴史的で正当な現状とその神聖さを尊重し、あらゆる不当な措置を停止するよう要請した。
ナーイフ・アル・ハジュラフ事務局長はまた、国際社会に対しアル・アクサモスクと信徒の安全を保護する責任を担い、イスラエルが国際人道法に則って占領国としての義務に従う必要性を保障するよう求めた。
イスラム協力機構は、この危険な過激化は全イスラム教徒の聖地に対する攻撃であり、国際決議に対する目に余る違反だとして、イスラエルに「全責任」があると述べた。
また、国際社会、特に国連安全保障理事会に対し、こうした度重なる違反行為に終止符を打ち、パレスチナの人々と聖地を保護するよう求めた。
エジプトもイスラエルによる襲撃を非難した。
(ロイター、AP通信と共同)