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ヒズボラに立ち向かうレバノンの女性候補者たちが家族から絶縁される

2022年4月13日、レバノンの首都ベイルート中心部の殉教者広場に掲げられた次期議会選挙の巨大看板の下に座る若者。「5月15日のあなたの一票は、5月7日を塗り替える」とアラビア語で書かれている。(AFP)
2022年4月13日、レバノンの首都ベイルート中心部の殉教者広場に掲げられた次期議会選挙の巨大看板の下に座る若者。「5月15日のあなたの一票は、5月7日を塗り替える」とアラビア語で書かれている。(AFP)
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17 Apr 2022 12:04:19 GMT9
17 Apr 2022 12:04:19 GMT9
  • 競合する選挙人名簿の中には、ヒズボラのライバルである「レバノン軍団」が支持する「ザーレ主権派」名簿も含まれている。その公約には、「主権の回復、意思決定の解放、ヒズボラとの直接対決」というスローガンが掲げられている

ナジャ・フーサリ

ベイルート:5月15日に予定されているレバノン議会選挙には、さまざまな党・宗派から合計155名の女性候補者が立候補している。

ヒズボラとアマル運動の名簿に載っているシーア派の女性候補は、イナヤ・エゼディーン議員のみである。残りのシーア派女性候補は、このシーア派両党が多くを占めている議席を争奪しようと試みている。

2018年に行われた4年前の議会選挙において、ナビ・ベリ国会議長とアマル運動の代表にエゼディーン氏が選出されたのは、当時ベリ氏が述べたように、「公務における、女性の役割の重要性に対する運動の開放性」を確立するための、意図的な動きであった。

しかし、ヒズボラのハッサン・ナスラッラー事務総長は次のように明言している。「レバノンでは国会議員が弔問し、結婚式に参加し、様々な奉仕活動を行う。ヒズボラは、女性がそうした職務を遂行することを受け入れない」

ヒズボラの側近であるシーア派の女性たちが党に立ち向かったのは、今年が初めてかもしれない。

北部ベッカー県のバールベク・ヘルメル選挙区では、6つの選挙人名簿が10議席の獲得を目指して競い合っており、そのうち6つはシーア派が占めている。

ある名簿にはヒズボラやアマル運動の党員が含まれ、別の名簿には地元の氏族のメンバーが含まれている。他の候補者は、「市民社会運動」から候補者を集めている。彼らの公約にはヒズボラの武力行使に関連する要求がないため、同組織に対して敵対的には見えない。

しかし、バールベク・ヘルメル選挙区からカドリーン党の名簿の下で立候補したシーア派のサラ・マンスール・ゼアイター氏は数日前、彼女自身の家族から暴言と中傷を受けている。

ゼアイター一族は声明を出し、その中で、彼女は一族を代表しておらず、一族は現議員で次期選挙候補者のガジ・ゼアイター氏に忠実であると説明した。

声明は、ガジ・ゼアイター氏がベイルート港爆発事件の調査における被告であることには触れていない。

ベッカー県中部のザーレ選挙区では、シーア派の1議席を含む7議席の獲得を目指し、8つの名簿が競い合っている。

その中には、ヒズボラのライバルである「レバノン軍団」が支持する「ザーレ主権派」名簿も含まれている。その公約には、「主権の回復、意思決定の解放、ヒズボラとの直接対決」というスローガンが掲げられている。

この名簿に載っているシーア派候補は、誰もが不利な立場に立たされる。数日前に出された声明でアボウ・ダーヤ一族から絶縁された、ディマ・アボウ・ダーヤ博士がその一例だ。

41歳のアボウ・ダーヤ博士は、法律とビジネスを専門とする大学教授である。汚職防止とマネーロンダリングに関する研修を行い、レバノンの女性の地位向上活動にも携わっている。

人々の声が奪われているレバノンにおいて、国会議員選挙への出馬は大胆な決断だったと彼女は語る。

「選挙に出馬することは、憲法が保障している権利です。私には、憲法と世界人権宣言が保障する、意見の自由を行使する覚悟があります」と彼女はアラブニュースに述べた。

「ヒズボラとアマル運動はシーア派の議席を常に独占してしました。この2つの政党以外でシーア派の女性候補者がこの議席に立候補するのは初めてのことです。特に私が主権と愛国心を訴えていることから、彼らにとって私は望ましい存在ではありません」

「“絶縁”声明は、一族の総意ではありません。一族に属さない、いずれかの政党に所属する人物が主導しました。声明文の半分は事前に準備されていたものです。署名は後から追加され、ソーシャルメディアに公開され、結果として私は膨大な数の誹謗中傷に晒されました。ヒズボラ傘下のアル・マナル・チャンネルでも取り上げられ、ザーレ県の多くの団体にも掲載されました」

「このことは、私にあきらめや恐れをもたらすことはありませんでした。自分が始めたことを続けていこうと、さらに私を勇気づけたのです。私は、自分の信念をより強くしました。家族から絶縁されるような事とはなんでしょうか。私たちの社会では、犯罪や不倫をすると絶縁されます。では、私は何の罪を犯したのでしょうか」

「彼らが私と戦っている論理は、彼らが語る民主主義についての話と矛盾しています。彼らは自分の主張を実践していません。声明は、確かに家族の間に亀裂を生じさせました。しかし、私は乗っ取られた声よりも、自由な声を頼りにしています」

「レバノン軍団が支持する名簿に独立候補として出馬したのは、私の個人的信念に基づくものです。さらに、その公約は私の意見を反映しています」

ヒズボラに反対するウェブメディア「ジャノービア」のオーナーで、前回の議会選挙に出馬したことのあるアリ・アル・アミン氏は、言葉や暴力による虐待を受けたことがある。

「ヒズボラに反対する選挙運動は、彼らにとって面倒な問題です。彼らは、自分たちに反対する男女の無所属候補を、その思想的権威や治安的権威を押し付け、孤立させることでそれを示しています」と、彼はアラブニュースに語っている。

「ヒズボラは家父長制を推進する閉鎖的な宗派政党です。この党は、以前に自分たちがこうした一族や家族を軽視して解体し、自分たちの利益のために利用してきたことを知りながらも、女性候補を排除するために、その家族や一族に頼ることにしたのです」

「最初、彼らは私に対する多くのオンライン中傷キャンペーンを始め、その後私を脅しました。彼らは私を殴りました。彼らは、標的にした人間が自分たちのコミュニティから立ち去るように強要することもあります。研究者のロクマン・スリム氏のように、殺されることも。彼らは全宗派を人質にし、社会が従順で意味を持たず、不幸に苦しむまで殺し続け、窒息させるのです」

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