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パレスチナ人のアル・ムサハラティ、ガザ地区で古くからの伝統を守り続ける

ラマダン期間の毎朝午前2時、ニザール・アルダバス氏は太鼓を叩きながらガザの街を歩き、民謡を歌い、詩を唱える。(AN photo)
ラマダン期間の毎朝午前2時、ニザール・アルダバス氏は太鼓を叩きながらガザの街を歩き、民謡を歌い、詩を唱える。(AN photo)
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01 May 2022 07:05:54 GMT9
01 May 2022 07:05:54 GMT9

ハゼム・バロウシャ

ガザ地区:ニザール・アルダバス氏(51)は、22年前から住むガザ地区南部のカーン・ユニスで、アル・ムサハラティ役として名を馳せている。

アル・ムサハラティとは、ラマダン期間中の夜中に、サフールのためにイスラム教徒を起こすボランティアである。

アルダバス氏は、パレスチナの伝統的なガラビヤ(有名な白と黒のクーフィーヤ)を身に付け、男性の気品の象徴の一つである赤いターブッシュを頭に巻いて出かける。

ラマダン期間中、毎朝午前2時になると、アルダバス氏は太鼓を叩きながらガザの街を歩き、子供の頃にシリアで習った民謡を歌い、詩を唱え続ける。

彼にとって、アル・ムサハラティなくしてラマダンの喜びは無い。「これは、古代アラブ・イスラムの遺産に由来する仕事であり、ボランティア活動なんです」

ランタンを持った子供たちが、自分たちの家の前やアルダバス氏が毎日歩き回る通りや路地で彼を待ち、彼の行進に同行して一緒に歌を歌ってくれることを嬉しく思っている。

近年、携帯電話や目覚まし時計に頼る人が増えており、技術の進歩がアル・ムサハラティ衰退の大きな原因となっている。アルダバス氏は、将来この仕事がなくなってしまうかもしれないと感じている。

しかし、人々に応援され、子供たちが太鼓や笛を持って一緒に参加してくれると、毎年自発的にアル・ムサハラティの役を担おうという気になるのだという。

アルダバス氏いわく「美しく、そしてこの役を担う者に神からの偉大な報いが与えられる」というこの仕事を大変気に入っているという。

子供たちが加わると、アルダバス氏はシリアでの子供時代を懐かしく思う。「私が同じ年頃だった頃、毎日シリア人のアル・ムサハラティを待って、彼の行進に同行していました…それ以来、私は1年で最も美しい月にまつわるこの美しいボランティア活動への愛を受け継いでいるのです 」

アルダバス氏はシリアで生まれ、約29年間、家族とともにシリアに住んでいた。そこで育つ中、兄弟の一人と一緒にラマダンの間、アル・ムサハラティとして一緒に活動することに決めたという。

アルダバス氏は2000年、家族10人でガザ地区を訪れ、シリア最大のパレスチナ難民キャンプであるヤルムーク難民キャンプで数年間過ごした後、カーン・ユニスのカイザン・アル・ナジャール地区に定住することにした。

彼はガザに来る前に15年間シリアでアル・ムサハラティとして活動していたが、今でも以前と同じ服を着て同じ楽器を使用している。

アルダバス氏はシリアの友人からアル・ムサハラティの作法を学び、多くのフレーズや歌を彼から学んだ。

歴史的な資料では、この職業の起源は、カリフ・アル・ムンタシール・ビッラの時代のアッバース朝国家の時代にまでさかのぼるとされている。

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