• 国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）は、国連の主要機関の中で唯一、単一の紛争と民族に特化して設置された機関だ。パレスチナ難民のための援助機関としての重要性に見合う、象徴的な役割を担っていると専門家は説明する。

ラマッラ：国連パレスチナ難民救済機関が業務の一部を他の国連機関に委任するという提案について、同機関を「解体」しようとする狙いがあると、パレスチナ人の怒りが爆発した。

イスラエル建国の翌年となる1949年に設立されたUNRWAは、国連の主要機関の中で唯一、単一の紛争と民族に特化して設置された機関だ。パレスチナ難民のための援助機関としての重要性に見合う、象徴的な役割を担っていると専門家は説明する。

学校教育で反ユダヤ主義のメッセージを教え、紛争を煽ってきたとイスラエルにより非難され、UNRWAは長い間イスラエルの批判の的となっていた。

スイスに本部を置く欧州地中海人権監視団のモハメド・シェハダ氏は、UNRWAは「単にサービスを提供するだけの組織ではない」と指摘する。

「UNRWAが存在する限り、国際社会にはパレスチナ難民の問題を解決する責任があることを認識し続ける」とシェハダ氏は言う。

イスラエル建国をめぐる戦争で故郷を追われたパレスチナ人とその子孫を支援するという役割を担うUNRWAは、何年も資金難に直面しており、資金が必要額を数千万ドル下回ることも頻繁にある。

先月フィリップ・ラザリーニ国連事務局長が他の国連機関にUNRWAの事業支援を要請したことは、一見すると何の変哲もない、官僚的な費用分担計画のように見えたかもしれない。

声明の中で事務局長は今後「ドナーからの篤志の資金を主に当てにすることは合理的ではない」と述べた。「現在検討中の選択肢のひとつは、幅広い国連という仕組みの中でのパートナーシップを最大限に活用することである。」

パレスチナ人はこの発言について、UNRWAが持つ長期的なミッションに壊滅的な打撃を与えてしまう可能性があると見ている。

パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は、この計画はUNRWAを設立した国連決議に「違反」すると述べ、またパレスチナ解放機構は、難民が激怒するだろうと述べた。

ガザ地区を支配するハマスの高官、モハマッド・アルマドフーン氏は、国連の提案について「UNRWAの事業を終わらせる前段階として、UNRWAを解体しようとするものだ」と評した。

3万人以上の職員を擁し、今年度約16億ドルの予算規模であるUNRWAは、ガザ地区と占領下のヨルダン川西岸、さらにレバノン、シリア、ヨルダンに広がる約570万人のパレスチナ難民に最前線で医療、教育、その他のサービスを提供する機関である。

ドナルド・トランプ前米大統領は、イスラエル側に立ち公にUNRWAを非難し、UNRWAに対する事業資金を打ち切った。

ラザリーニ事務局長は昨年EUの議員に対し、問題となっている件については「対処している」と述べたが、同機関は親イスラエルの批判に対して学校教育のカリキュラムを断固として擁護してきた。

ジョー・バイデン大統領政権はその後、UNRWAに対する資金提供を再開したが、ラザリーニ事務局長は11月、UNRWAが資金不足による「存続の危機」に直面していると公表した。

UNRWA広報担当のタマラ・アリファイ氏によれば、今年も1億ドルの資金不足が見込まれ、「進行中のウクライナ危機による日用品や食料のコスト上昇」を考慮すれば、財政状況は悪化する可能性がある。

AFP