
アラブニュース
ニューヨーク:最近ニューヨークで開かれたウクライナ戦争に関する国連安全保障理事会の議場で、代表者たちは異変に気づいた。会議テーブルの上には、各国大使が喉の渇きを癒すためのペットボトルの水が用意されていたのだ。
これは、国連が2019年にプラスチックフリー化を決定していなければ、注目されるようなことではなかっただろう。当時、国連本部の入り口に立てられたバナーは、「使い捨てプラスチックの廃止へ」という極めて明確な方針を示していた。
安全保障理事会の議場にプラスチックが戻ってきたことは、気候変動に敏感な外交官や訪問者を憤慨させた。ウクライナ戦争が中心になって、環境が後回しにされたことを示すように思えたからだ。
近年の気候危機への取り組みに関する大胆な発言は戦争が始まった瞬間に消え去り、環境問題は平時にのみ議論されるべき贅沢な問題であるという、明確な印象が残されたのだ。
エクアドルの外交官で元総会議長のマリア・フェルナンダ・エスピノサ・ガルセス氏は、国連本部での使い捨てプラスチック廃止を主導してきた。
環境問題が明らかに隅に追いやられていることについて尋ねられたエスピノサ・ガルセス氏は、危機の時代は環境の優先順位を放棄する言い訳にはならない、と述べた。
「気候危機は人類の安全保障に対する実存的な脅威である。人類が種として生き残るためには、地球と和解する責任がある」と彼女はアラブニュースに語った。「気候変動対策は、たとえ戦時中であっても、後回しにすべきではない」
「気候変動は、何百万人もの命を奪い、居住地を奪っている。気候変動は、どんな戦争よりも地球規模で破壊的な影響を及ぼしている。私たちは、その両方に同時に取り組まなければならない」
既成概念への逆行は、国連のプラスチック政策に限ったことではない。ウクライナ戦争は、化石燃料の採掘と使用を促進し、環境に壊滅的な影響を及ぼしている。
石油やガスの価格が高騰しているため、米国や欧州などの政府は生産量を増やしている。まさに世界は化石燃料から脱却し、クリーンで再生可能なエネルギー源を選択すべき時に、である。
特にアメリカの一部の批評家は、供給拡大の努力は環境保護政策における大きな後退、あるいは「裏切り」であり、二酸化炭素排出量の削減という世界の気候変動目標を失敗に終わらせるものだと考えている。
11月の中間選挙を前に世論調査の評価が下がっているジョー・バイデン米大統領は、国内におけるガソリン価格の引き下げを迫られている。
ウクライナ危機が始まった時期に、彼は戦略的石油備蓄から記録的な量の石油を放出し、石油・ガス会社に掘削作業を加速させるよう促した。また、初期の選挙公約を破り、公有地をより多く掘削に開放することも発表した。
実際、米国は2050年までに温室効果ガスの排出量を半減させると公約を掲げている。しかし、3月1日の一般教書演説では気候変動についてはほとんど言及されなかった。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告書の主執筆者であるヘレン・デ・コーニンク氏が、世界は産業革命以前の水準から気温上昇を「1.5℃に抑えるには、今しかないポイントに到達した」と述べているにもかかわらず、である。
4月4日に発表されたIPCCの最新報告書に対し、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、裕福な経済圏や企業は「見て見ぬふりをしているだけでない。火に油を注いでいるのだ」と非難した。
「彼らは既得権益と化石燃料への歴史的な投資に基づいて、私たちの地球を窒息させている」とグテーレス氏は付け加えた。
毎年4月22日のアースデイには、活動家たちが全米で抗議行動を行い、米国政府が気候変動に対して協調行動をとることを要求している。その中には、約半兆ドル相当のクリーンエネルギー投資を含む新しい気候変動法案の可決が含まれている。
活動家たちは、11月の中間選挙で民主党が下院の支配権を失えば、この法案が議会を通過できなくなることを恐れ、停滞している同法案を一刻も早く上院で可決するよう求めている。
しかし、議会では共和党が、石炭産業が盛んなウェストバージニア州のジョー・マンチン民主党上院議員とともに、気候変動対策に関する大統領の提案に水を差し、さらには阻止し続けている。このため、バイデン氏の打つ手は限られているようである。
その代わりに優先されているのは、ヨーロッパがロシアの石油やガスへの依存から解放されるよう支援し、国内の生産量を増やし、備蓄を放出することで米国市民のための燃料価格を引き下げることだ。
EUは2019年、天然ガスの約40%、石油の4分の1以上、石炭の約半分をロシアから輸入している。
バイデン氏は3月24日の欧州委員会との共同声明で、2つの相反する目標を掲げているように見えた。欧州がロシアのエネルギーから離脱するのを助けると同時に、1.5℃の温暖化抑制の目標を「手の届く範囲」に維持することだ。
また、ヨーロッパにエネルギーを供給するために、「国内のあらゆる種類のエネルギー生産を加速させる」ことを望み、「彼らのためにインフラの資金調達も行う」という議員もいる。こうした努力と世界の温暖化防止目標を両立させることは、おそらく不可能であろう。
しかし、もしヨーロッパがロシアのエネルギーへの依存を解消することに成功すれば、それは不幸中の幸いで、長期的にはヨーロッパが化石燃料に依存しないようになるための絶好の機会を提供することになるという考え方もある。
この戦争は、クリーンエネルギー技術の導入を加速させる好機であるという意見もある。もし、そうだとすれば、この戦争はヨーロッパが気候変動に関する目標を達成するのに役立つかもしれない。
予想されていた通り、2月22日、ドイツがロシアからの新規ガスパイプラインの建設認可を取り消したことで、環境保護主義者たちは胸をなで下ろした。ドイツは今後、カタールと米国から液化天然ガスを輸入する予定だ。
一方、ベルギーは原子力発電に否定的で、イタリア、オランダ、イギリスは風力発電の導入を加速している。
しかし、石油やガスへの依存を減らす努力は、石炭――安価で生産も容易だが、より環境への汚染が激しい代替物――の利用を段階的に減らしていく過程にあった場所において、その新たな需要を生み出している。
3月21日、グラスゴーでのCOP26サミット以来となる気候・エネルギーに関する主要な演説で、グテーレス氏は、ウクライナ戦争が原因で化石燃料の使用を急ぐことは「狂気」であり、世界の気候目標を脅かすものだと述べた。
石炭は、富裕国では2030年までに、中国を含む他のすべての国は2040年までに、完全に廃止されなければならない、と彼は言った。
逆説的だが、ウクライナでの戦争は、長期的にはヨーロッパの化石燃料からの脱却を加速させるかもしれないが、石炭が復活すれば、世界の他の地域ではクリーンエネルギーへの移行を遅らせ、それによって温室効果ガスの排出を増加させるかもしれない。
「各国は目先の化石燃料の供給不足を恐れるあまり、化石燃料の使用を削減するための政策を怠ったり、骨抜きにしたりする恐れがある」とグレーテス氏は述べた。「これは狂気の沙汰だ。化石燃料への依存は、『相互確証破壊』である」
「各国は、石炭とすべての化石燃料の段階的な廃止を加速させ、迅速かつ持続可能なエネルギー転換を実施しなければならない」
それが、エネルギー安全保障への唯一の真の道筋であると同氏は述べた。