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イスラエルのカトリック総大司教が警官隊の葬儀襲撃を非難

ピエルバッティスタ・ピザバラ・ラテン総大司教は、警官隊の襲撃は「国際的な規範や法規に著しく違反している」と述べた。(AFP)
ピエルバッティスタ・ピザバラ・ラテン総大司教は、警官隊の襲撃は「国際的な規範や法規に著しく違反している」と述べた。(AFP)
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17 May 2022 04:05:19 GMT9
17 May 2022 04:05:19 GMT9
  • 13日の事件は、パレスチナ国旗を振る群衆への「行き過ぎた力の行使」だった
  • イスラエルとパレスチナは、シリーン・アブアクラ記者の殺害をめぐる「ナラティブ戦争」に陥っている

エルサレム:聖地エルサレムのカトリック総大司教が16日、アルジャジーラ放送の記者シリーン・アブアクラ氏の棺を運ぶ葬儀参列者を警察が殴打した事件について、当局による人権侵害とカトリック教会への非礼であるとして非難した。

ピエルバッティスタ・ピザバラ・ラテン総大司教は、エルサレムの聖ヨゼフ病院で記者団に対し、世界中に放送された13日の事件について語り、エルサレム旧市街で病院から近隣のカトリック教会へ向かっていたパレスチナ国旗を振る数千人の群衆に対する「行き過ぎた力の行使」であったと述べた。この襲撃は世界中の非難を集め、占領下のヨルダン川西岸地区で銃撃戦を取材していたアブアクラ記者を殺害したことに対する衝撃と憤りに、さらに油を注ぐ形となった。

警察隊の襲撃は、「信教の自由という基本的人権を含む国際的な規範や法規に著しく違反しており、こうした権利は公共の場であっても守られなければならない」とピザバラ総大司教は記者団に語った。

これに対し、イスラエルはまだ反応を返していない。

イスラエルとパレスチナは現在、アブアクラ記者の殺害をめぐるナラティブ戦争に陥っている。衛星放送局アルジャジーラに25年務めるベテラン記者のパレスチナ系アメリカ人であるアブアクラ氏は、11日、ジェニン難民キャンプでイスラエル軍の襲撃を取材していた際に殺害された。イスラエル統治下の苦境にあるパレスチナ人たちの生活を記録することで知られる彼女は、アラブ世界では有名人だった。

パレスチナ政府関係者や一緒にいた記者などの目撃者らは、イスラエル軍の発砲による殺害だと述べている。イスラエル軍は、当初はパレスチナ民兵の発砲によるものだと述べていたが、その後に撤回し、現在は誰の発砲によるものかは不明としている。

葬儀での暴力に対して国際的な非難が沸き起こり、襲撃した警官隊の行為について、イスラエル警察は捜査を開始した。襲撃された際に参列者らは担いでいた棺を落としそうになっていた。

イスラエルは、確固たる結論を得るには弾道学専門家による弾丸の分析が必要であるとして、パレスチナに共同捜査を求めている。パレスチナ政府はこれに対し、イスラエルを信用していないとして拒否している。人権団体によると、イスラエルは自国治安部隊の不正行為対して捜査が不十分になるとの実績があるという。

当初、外部の協力者を受け入れるとしていたパレスチナは15日夜、捜査は自分たちのみで実施し、結果を早急に発表すると述べた。

「我々は治安機関としての能力に自信をもっており、国際捜査についても同じく拒否した」とモハメド・シュタイエ首相は発表した。「我々はこうした人々が事実を改竄できることを知っているため、誰に対しても、いかなる証拠も渡さない」。首相は、アブアクラ記者の兄弟であるアントン氏とアルジャジーラ地方局長のワリド・アルオマリ氏と共に発表に臨んだ。

こうした騒ぎの中で、複数の調査団体や人権団体が独自調査を開始した。
オランダに本拠を置く国際的な研究者コンソーシアムであるベリングキャットは、SNS上で集めた動画や音声証拠を分析して発表した。証拠素材はパレスチナ民兵とイスラエル軍の双方から集め、タイムスタンプ、動画の撮影場所、影、銃声の犯罪科学的音声分析などのファクターでそれらを検討した。

その結果、パレスチナ民兵もイスラエル兵も現場にいた中で、ある証拠がイスラエル兵の発砲でアルアクラ記者が死亡したとする目撃者証言を裏付けていることがわかった。

「確認できたものから判断すると、イスラエル国防軍(IDF)が最も近い位置にいて、アブアクラ記者までの視界も明瞭だった」と今回の分析チームのリーダーを務めたジャンカルロ・フィオレッラ氏は述べた。

弾丸、イスラエル軍が使用していた武器、イスラエル軍のGPS位置情報などの証拠がない限り、この分析が100%正しいとは言えないことをフィオレッラ氏は認めた。しかし、さらなる証拠が出ればこの予備的結論が補強される可能性が高く、ほぼ覆ることはないだろうと彼は述べた。

AP

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