

レベッカ・アン・プロクター
ドバイ:テクノロジー部門は世界で最も急速に成長している業界の一つで、アラブ湾岸地域はますますその世界的震源地の一つとみなされるようになっている。同地域のテック界の中心に位置するドバイは「アラブ世界のテックハブ」と呼ばれる。
アラブ首長国連邦(UAE)の商業の都であるドバイはCOVID-19のパンデミック期間中も成長を続けた。その理由の一端は、世界の大半が長引くロックダウンに突入している時にも国境の開放を続けるという決定にあった。
しかし、この継続的な成長は、ますます多くのテック系スタートアップたちがUAEに集まってきていること、起業家たちに対するドバイの魅力、そして国際的ベンチャーキャピタル企業たちを惹きつけるドバイの能力の結実でもある。
ドバイに本拠地を置くリサーチプラットフォームWamdaによると、中東のテック企業への投資は、イスラエルを除き、昨年は4倍の28.7億ドルに達しており、UAE への資本流入の約半分を占めている。
ドバイは現在企業価値10億ドル以上のスタートアップ数社の拠点となっており、ビジネスコミュニティではその統計的希少性から「ユニコーン」と呼ばれている。
これらの中には民間航空プラットフォームのVista Global 、クラウドキッチンプラットフォームのKitopi、そしてエジプト、UAE 、その他で案内広告のウェブサイトを管理するEmerging Markets Property Groupが含まれる。
ところが、中東におけるテック系スタートアップらの急成長にもかかわらず、アラブ女性たちは今なお同業界で日の目を見ずにいる。
エミレーツ火星計画には女性たちも関わっており、2021年2月には火星周回軌道への探査機投入に成功しているにもかかわらず、「テック業界における中東女性たちの存在は明らかに不足している」とNASA パーカー・ソーラー・ミッションのプロジェクト・サイエンティストDr.ヌア・E.・ラウーフィ博士がアラブニュースに語った。
「私が携わっている宇宙をはじめ、いくつかの領域を見てみれば、女性の参加率が本来あるべきレベルに達していないことがわかる」とラウーフィ博士は5月17日にドバイで開催されたアラブ女性フォーラムにパネリストとして出席するに先立ってそう述べた。
Endeavor Insight によれば、サウジアラビアと米国は、科学・テクノロジー・エンジニアリング・数学(STEM)の各分野で共に28%の女性参加率を誇っており、この割合は英国の22%を上回っている。
それにもかかわらず、専門家たちはアラブ世界および世界規模でより多くの女性たちにSTEM分野における学位やキャリアの追求を促すよう、今一層の努力が必要だと考える。
「管理職以下全てのレベルで男女平等に向けて努力していく必要があり、そのための最善策は学校や大学などの草の根レベルから始めることで、奨学金や褒賞を提供して若い女性たちが宇宙やその他のテック分野で仕事をすることを奨励することだ」とラウーフィ博士は言う。
有望な期待を抱く根拠はある。湾岸諸国のビジネス環境の向上と、職場での性別に基づく差別排斥を目指す対応策がすでに順調に動き出している。
「現在若きプロたちが男性も女性も中東へ集まって来、欧米に拠点を置くテクノロジー企業に勤務している」とFuturousの創業者フィリップ・ブランチャード氏がアラブニュースに語った。
「IT業界をサポートし、効率的な教育制度を設置し、さらにUAE、サウジアラビア、バーレーンなどにおける男女間の給与格差に取り組むため、湾岸協力会議の首脳陣が具体的なアクションを起こしている」
しかし、社会的認識が相変わらず障害となっている。「テクノロジーは今でも男社会という認識はあるが、 そうした捉え方を変えていく機会はある」とブランチャード氏はいう。
例えば、「親、学校教員、大学教授らは、若い女性なら看護士、若い男性ならエンジニアという具合に、性別に基づいて特定のカリキュラムを押し付けるようなことをしないことだ」