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レバノン政府がカルロス・ゴーン氏をフランス当局へ引渡す可能性は低い

カルロス・ゴーン氏。(ロイター)
カルロス・ゴーン氏。(ロイター)
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21 May 2022 03:05:08 GMT9
21 May 2022 03:05:08 GMT9
  • 検察が数百万ドルの授受に関する疑惑を捜査するなか大物実業家に対する「赤手配書」を受け取った

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノン政府はフランス政府が要請した実業家カルロス・ゴーン氏の逮捕に関する国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)の「赤手配書」を受領したが、レバノン政府が同氏を引渡す可能性は低い、と司法情報筋が明かした。

フランス・レバノン・ブラジル各国の市民権を所持する自動車業界の大物ゴーン氏(68)は日本で公判開始を待っていた2019年12月にレバノンに逃亡した。同氏は2018年に保釈されていた。

レバノン司法当局は19日に手配書を受領した。手配書はおよそ1ヶ月前にフランス当局によって発布された国際逮捕状に基づくものだ。

司法情報筋がアラブニュースに対して語ったところによると、2021年6月に初めてレバノンを訪問したフランスの判事団による聴取をもとに発布された逮捕状をレバノンの検事総長ガッサン・ウエダート判事が受領した。判事団はパリで告発された事件についてゴーン氏を4日間に渡って聴取した。

ゴーン氏は日産自動車ならびに三菱自動車工業の会長とルノーの最高経営責任者(CEO)を務めていた2018年に「実際の報酬額を申告せず、また会社の資金を私的流用した」として逮捕された。

フランス当局は「経営するルノー・日産アライアンスにおける1,500万ユーロ(1,580万ドル)以上の金銭授受および絢爛なベルサイユ宮殿における行事などの活動において知りながら会社の資金をパーティーなどの個人的な目的に流用した疑いがある」としている。

ウエダート判事は司法長官として識別力がありフランスの判事団によるゴーン氏の聴取に同席していたイマード・カバラン判事にインターポールの手配書を委ねるとみられる、と前述の情報筋は付け加える。

手配書に基づいてカバラン判事はゴーン氏を聴取し逮捕がふさわしいかどうか決定することができる、と情報筋は語った。

「ゴーン氏が罪を犯したとカバラン判事が判断すれば、判事は同氏の事件に関するすべての資料の送付をフランス当局に要請し、レバノンにおいてレバノンの刑事法に基づいて裁判にかけることができる」とこの情報筋は付け加えた。

「ゴーン氏が告発されている罪状に等しい罪の記載が(レバノンの)刑事法に無い場合、またはそれらがレバノンの刑事法において処罰対象の犯罪とみなされない場合には同判事はゴーン氏を逮捕しない」という。

「レバノンとフランスの間には犯罪者引渡協定が結ばれているが、レバノン国籍を持つゴーン氏はレバノンにおいて裁かれる」とこの情報筋は述べ「レバノン政府はゴーン氏の出国を禁じている」と付け加えた。

レバノン政府は2020年にゴーン氏の旅券を没収した。同氏はその返還要請を未だ提出していない。

ゴーン氏は関西国際空港を出発したプライベートジェットの荷物に隠れて日本から逃亡した。以来同氏はレバノンに滞在しており、無罪の主張を繰り返してきた。

アメリカ人の男性親子がゴーン氏の日本逃亡を手助けした。親子はアメリカ政府によって日本に引渡され、東京で開かれた公判で親子は報酬として130万ドルを受け取ったと陳述した。親子は最長3年の懲役刑を受ける可能性がある(訳注:2021年7月、父親に懲役2年、息子に懲役1年8ヶ月の実刑判決が下され確定している)。

一方レバノン司法当局は19日、詐欺および公文書偽造の疑いでパリの裁判所に告訴されたフランスのニコラス・サルコジ元大統領に関連する人物として名前が上がっていた72歳のズィヤード・タキ=アル=ディーン氏を釈放した。

レバノンとフランスの二重国籍を所持するタキ=アル=ディーン氏はインターポールが発布した国際逮捕状に基づいて2020年にベイルートで逮捕された。同氏はのちに保釈保証金を支払って保釈されたが、海外渡航を禁じられ旅券を没収されていた。

レバノン司法当局はベイルートにおける裁判に向けてパリ当局から同氏の事件に関する資料の送付を要請し、フランス司法当局に同氏を引渡すことを拒んでいた。

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