
アラブニュース
ジェッダ:米国は、新たな制裁実施の一環として、ギリシャ沖のタンカーから、密輸されたイラン産原油60万バレル以上を押収した。
貨物の石油は、26日にタンカーから別の船に汲み上げられ、現在米国に輸送中だ。
石油タンカーのペガス号は、ロシア船籍であること、また、イラン産石油を運んでいたことから、ロシアとイランに対する2つの制裁の対象となった。
ペガス号は、ロシアのウクライナ侵攻の2日前の2月22日水曜日に、ロシアの国防部門にとって重要な役割を果たしていると見られる銀行、プロムスビャジバンク銀行に対する制裁において、米国政府が指定した5隻の船舶のうちの1隻となっていた。このタンカーは3月1日にラナと改名され、5月1日からイラン国旗を掲げている。
19人のロシア人乗組員を乗せたこの船は当初、ギリシャ南部のエヴィア島沖で先月、ギリシャ当局によって差し押さえられた。
ギリシャは、船がウクライナ侵攻を理由にしたEUの対露制裁の一環として拿捕されたと発表したが、その後船は解放された。
しかし、米国は今週、ロシアが支援するイスラム革命防衛隊の対外作戦部隊であるコドス部隊のための石油密輸とマネーロンダリングのネットワークに対して、新たな制裁を科した。その結果、この石油タンカーは再び拿捕された。
イランのイラン港湾海事局は、タンカーは技術的な問題と悪天候に見舞われた後、ギリシャの沿岸に避難していたのであって、その貨物の押収は「明らかな海賊行為の例だ」と述べた。
イラン外務省は、貨物の押収を受けて、在テヘラン・ギリシャ大使館の臨時代理大使を呼び出した。
この船は「ギリシャ海域では、イラン・イスラム共和国の旗を掲げており、大使にはイラン政府の強い異議を伝えた」と、同省は述べた。
2020年、米国政府はベネズエラに向かっていたイラン産燃料を積む外国の貨物船4隻を拿捕し、非公表の外国のパートナーの協力を得て、別の船2隻に燃料を積み替え、その後これらの船は米国に向けて航行した。
イラン産石油の密輸を阻止する作戦は、石油輸出を対象にすることを含めた制裁措置の解除と引き換えにイランの核開発プログラムを制限するための合意である包括的共同行動計画の復活が期待される中で、最近は次第に行われなくなっていた。
しかし、同合意の復活に関する協議は行き詰っており、新たな石油貨物の押収は、米国が再び制裁を実施することを示唆している。
米国政府のイラン特使は今週、核合意復活の可能性は現在、お世辞にも高いとは言えず、米国にはイランに対する制裁を強化する用意があると述べた。