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未来鉱物 — エネルギー移行の構成要素

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13 Jan 2022 09:01:03 GMT9
13 Jan 2022 09:01:03 GMT9

「未来鉱物」をテーマとしたフォーラムは、サウジアラビアのビジョン2030と完全調和する地域に向けた見識ある決定的な選択だ。これが化石燃料に基づくエネルギーの世界的リーダーを、再生可能資源に基づくエネルギーの世界的リーダーへと変えるからだ。

再生可能資源への移行のためには、エネルギー貯蔵用の金属や鉱物を相当量増加させることも必要となる。電力供給方法は原材料の新規供給に大きく依存している。その原材料とはクリーンなエネルギーの未来のための鉱物である。

リチウム、ニッケル、マンガン、コバルト、銅、プラチナ金属、レアアース元素。こうしたものが電力供給の移行の原動力となる。その中には需要の増加で既に供給不足に陥っているものもあり、ベンチマークミネラルインテリジェンス社(Benchmark Mineral Intelligence)によれば、2025年から構造的な不足が起き始めるという。

従って、透明性のある価格設定と調和する回復力のある新たなサプライチェーンを確立することが脱炭素への道には不可欠だ。現在のところ、そうした重要な鉱物の多くは供給元が一握りの国に集中している。しかし豊富な供給能力を潜在的に有している国が他にも多く存在しており、責任ある方法で、高品質規格に準拠した形で、そのような重要な鉱物や金属を供給するための探査が可能なのである。

現在サウジアラビアは世界トップの石油サプライヤーの1つだが、7年前サウジアラビアは野心的な改革の道へと乗り出した。化石燃料から離れて経済の多様化を模索する「ビジョン2030」を発表したのである。

この取り組みの一環として、サウジ王国は鉱物資源を第3の経済の柱として開発することを優先事項とした。鉱物産業の探査段階の側面だけではなく、金属と鉱物のサプライチェーンの全工程を成長させることに焦点を当てている。

このアジェンダはすぐにサウジアラビアを魅力的な対象地へと変えた。そして同国で真っ先に行動を起こした企業の1つがEVメタルグループ(EVM:EV Metals Group)だ。両者の戦略的優先事項の調整の賜物である。EVMの第一優先事項は高品質なバッテリーケミカルを透明性を備えた責任ある方法で生産することである。

サウジアラビアの優先事項は、長期的な経済成長に寄与するサプライチェーンを構築することである。金属や鉱物について言えば、サウジ王国が考えているサプライチェーンとは、採掘や加工を大きく超えるものである。王国内のリーダー的な団体と緊密に協力し、EVMは12ヶ月後にバッテリーケミカル複合施設(Battery Chemicals Complex)の第一段階の建設を開始する。

サウジアラビアで電気自動車用電池工場への投資計画が進められていることは当方も存じている。電気自動車の製造能力はサウジ王国が未来鉱物という物語における世界的なサクセス・ストーリーを体現するために大きく前進していることを示している。

しかし、この地域には成長中の電気自動車や電気貯蔵産業に供給する金属や鉱物を有する国が他にも多く存在しており、そうした資源の中には、まだ手つかずのものもある。

今週サウジアラビアが立ち上げた未来鉱物フォーラムの目的は、このような国々を集めて、この道を進んでいくための最良の方法について議論し、そうした資源の探査や開発に関連する経験やノウハウを活用することである。

エネルギーの移行はペースを速めており、明日の世界は大量の未来鉱物を必要としている。こうした鉱物を確保することは簡単な仕事ではない。採掘プロジェクトの立ち上げには長い時間がかかるからだ。だからこそEVMは西オーストラリアから中間産物を持ち込み、国内でサプライチェーンが確立されるまで、バッテリーケミカル総合施設へ供給しようとしているのである。

未来鉱物フォーラムは自らを重要なイベントとして樹立していることが分かる。こうした主要な鉱物や金属の重要性を強調するだけにとどまらず、現場で採れる資源とグローバルな化学企業や電池メーカーとのサプライチェーンのギャップを解消するためのイベントである。そうしたことは現在のところ未対処なのである。

  • マイケル・ネイラー氏はEVメタルグループ(EVM:EV Metals Group)の常務取締役・最高経営責任者(CEO)である。氏の基調講演は1月13日木曜日の15時50分に未来鉱物フォーラムで放送される。
  • この記事のオリジナル版はアラブニュースのインサイトセクションで初掲載された
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