
ベイルート:レバノンの情報機関トップが、米国人記者の安否についてシリア指導部と協議するために同国を訪れる予定だと語った。記者は10年前にシリアで行方不明になっている。
アッバース・イブラーヒーム氏(少将・総合保安総局トップ)は、シリア国内で行方不明になっているオースティン・タイス氏などの米国人帰還への取り組みを再開するよう、米当局から求められていると語った。フリージャーナリストで元海兵隊員のタイス氏は2012年にシリア取材中に行方を絶った。
イブラーヒーム氏は総局の公式誌『総合保安』とのインタビューで次のように述べた。タイス氏に関してシリア政府と過去におこなった協議では、シリア側からは米軍の撤退、外交関係の復活、米国による一部制裁の解除について要求を受けた。
米国のドナルド・トランプ前大統領の任期末の時点で「交渉が立ち消えとなっていたところから、再び開始するよう努力しているところだ」と同氏は言う。
同氏はシリア訪問をいつおこなう方針かは語らなかった。
5月には、米国のジョー・バイデン大統領がタイス氏の両親に対し、政権は同氏の帰還を確実なものにするまで「不断の」努力をするつもりだと告げている。
「米当局は当問題の解決に向け私が取り組みを再開するよう求めている。米側は米国民を取り戻したい意向だ。彼らの目標はそこだ」とイブラーヒーム氏は語る。
このほど訪米した際にタイス氏の母親と会ったというイブラーヒーム氏は、タイス氏の健康状態や拘束の状況についてシリア側から「はっきりとした回答」は得られていないと述べた。
シリア政府から確証が得られていない以上はタイス氏の生死について確実なことは言えない、と同氏は語った。
米国は、シリアが内戦にもつれこんだことを理由に2012年に外交官の駐在を一時的に停止した。国連によればシリア内戦では少なくとも35万人の死者が出ている。
昨年米政府は、「シリア国民に加えられた残虐行為の数々」を挙げ、シリアとの外交関係の正常化や改善をおこなうつもりはないと発表している。
在レバノン米国大使館側からのコメントは得られなかった。
ロイター