チュニス: 10の人権団体が金曜日、共同でチュニジアのカイス・サイード大統領が多数の判事の解任を命じたことを「司法の独立への大きな打撃」として非難した。
6月1日付の大統領命令はサイード大統領に判事を解任する権限を与え、これに従って57名の判事が解任された。昨年7月に大統領が内閣を解散させ、選出議会の活動を一時停止したことに始まる権力掌握がさらに強化された。
大統領が3月に議会を解散したことで、2011年の「アラブの春」後も持続的な民主体制を保ってきたチュニジアが独裁体制に逆戻りするのではないかという懸念が高まった。
「大統領に判事を即決で解任する権限を与えることは、法の支配を真っ向から攻撃することです」10の人権団体は共同で声明を出して、サイード氏が「司法の独立への大きな打撃」を与えたと非難した。
「この大統領命令は、チュニジアに残っていた司法制度の自律性を完全に奪うものです」共同声明に加わった団体の1つ、ヒューマン・ライツ・ウォッチのチュニジア事務所長サルサビル・チェラリ氏は話した。
声明にはアムネスティ・インターナショナルおよび国境なき弁護団も参加しており、サイード大統領に「即座に」命令を撤回して判事を再任するよう求めている。
チュニジアの判事たちは、解任に抗議して今週ストライキを行った。
サイード大統領は一連の権力掌握の動きが始まって1周年に当たる7月25日に新憲法についての国民投票を、12月に議会選挙を予定している。
新憲法起草のための国民コンサルテーションが実施されたものの、市民の参加を広く呼び起こすことには成功しておらず、新憲法の内容はいまだ明らかになっていない。
もっとも、サイード大統領のここ1年の動きを歓迎するチュニジア人もいる。2011年の独裁者ザイン・アル・アービディーン・ベン・アリー氏の追放後に作られた、大統領制と議員内閣制の混在する政治システムが上手く機能しておらず、大きな不満が広がっているためである。
サイード大統領が最新の政令を出した後、アメリカ当局筋は氏が独立機関に逆らって行動するという「危険な傾向」を示していると述べている。
AFP