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アルホルキャンプから帰還したシリア人が負う、ダーイシュとの関係をめぐるスティグマ

クルド人勢力が運営するアルホルキャンプの元収容者であるヌーラ・アル・ハリフさん。シリアのラッカの自宅にて。(ロイター)
クルド人勢力が運営するアルホルキャンプの元収容者であるヌーラ・アル・ハリフさん。シリアのラッカの自宅にて。(ロイター)
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16 Jun 2022 08:06:11 GMT9
16 Jun 2022 08:06:11 GMT9
  • クルド人勢力が支配する北東部にあるアルホルには現在も約5万6000人が住んでいるが、その大半はシリア人とイラク人だ

ラッカ、シリア:ヌーラ・アル・ハリフさんはダーイシュ支持者と結婚した後、夫と離れて、多くの人が「イスラム帝国」の最後の生存場所とみなしているシリアのキャンプに入ることになった。

31才のこの女性は、北部の都市ラッカ郊外にある故郷に3年前に帰ってきたが、アルホルキャンプに住んでいたというスティグマを振り払うのに苦労している。

「近所の人のほとんどは私のことをダーイシュ支持者と呼んでいます」と、彼女はAFPに対し、現在2人の子供と住んでいるラッカ近郊の父親の家から語った。

「忘れたいのに、周りの人がしつこく引きずり戻します。アルホルを去って以来、経済的にも精神的にも楽になったことがありません」

クルド人勢力が支配する北東部にあるアルホルには現在も約5万6000人が住んでいるが、その大半はシリア人とイラク人で、ダーイシュとのつながりを維持している人もいる。

約1万人は外国人で、ダーイシュ戦闘員の親族も含まれる。一時的な収容施設のはずだったこのキャンプがジハード主義者の温床となりつつあることを、観測筋はますます懸念している。

アルホルの住民の大半は、2019年初頭にダーイシュの自称「イスラム帝国」が壊滅しつつあった時期に逃げるか投降するかした人々だ。

最後までアルホルにいた人は、自らの意志か否かにかかわらず、狂信的なダーイシュ支持者とみなされる。しかし、キャンプ住民の中にはダーイシュとの戦いによって土地を追われた民間人もいるのだ。

バグズからアルホルに来たハリフさんにとって、このスティグマが障害となっている。バグズは、米国が支援するクルド人勢力がダーイシュを決定的に打ち破ったと宣言した川沿いの村だ。

「アルホルキャンプはラッカよりも私たちに情けがありました。子供たちとその教育のためにキャンプを去りましたが、ここの暮らしの方が良いということはありません」と彼女は言う。

ハリフさんは2014年にジハード主義者と結婚し、いくつかのダーイシュ支配地域で彼と暮らしたが、二人は戦闘によって引き離された。

夫から最後に連絡があったのは、2019年に彼女がアルホルに向けて出発した時だ。

アルホルキャンプに住み始めて数ヶ月経った頃、キャンプを監督するクルド人勢力当局とシリアの部族長たちとの間で結ばれた協定のもと、ハリフさんたち数百人のシリア人に退去の許可が与えられた。イギリスを拠点とするシリア人権監視団によると、それ以降、キャンプからシリア人を追い出すことを目的とした同様の協定により、9000人以上が退去を許可された。

ハリフさんの帰郷は心地よいものとは程遠かった。家々の掃除をしてなんとか生活を成り立たせているが、常に疑いの目にさらされていると彼女は言う。

「ニカブ(顔を覆うベール)を着けているという理由や、ダーイシュ支持者だろうという理由で、家の掃除をさせてくれない家族もいる」と彼女は言う。

ラッカの部族の長老であるトゥルキ・アル・スアーン氏は、アルホルから24家族を解放して地域社会への再統合を促進する手配をしたが、それは簡単なことではないと認めた。

「彼ら家族のことは知っている。皆この地域の出身だ。それでも地域社会が彼らに対して不寛容なのは、ダーイシュがこの地域を支配中に民間人に対して行った迫害への反応なのだ」と彼は言う。

ラッカに住むサラ・イブラヒムさんは、アルホルからラッカに帰った人々、大半が女性や子供である彼らにスティグマを負わせることは危険だと警告する。

「ラッカの家族の多くは彼らと関わることを拒否している。このことは…将来的に彼らを過激な方向へ向かわせかねない」と彼女は言う。

7ヶ月前にアルホルからラッカに来たアマルさんは、偏見を恐れて目立たないようにしている。

50才の祖母である彼女とその家族は、 ダーイシュが最後の抵抗をした場所であるバグズから追い立てられた最後の人々の中にいた。

「ラッカでは、近所の人たちは私がアルホルキャンプにいたことは知りません。そうだと知られたら悪く思われるのではないかと恐れています」と、ニカブで顔を覆った彼女は言う。

AFP

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