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米国、中国とUAEのフロント企業への制裁でイランに圧力

米国は、イランの石油化学メーカーに新たな制裁を科した。(AFP)
米国は、イランの石油化学メーカーに新たな制裁を科した。(AFP)
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18 Jun 2022 05:06:50 GMT9
18 Jun 2022 05:06:50 GMT9
  • 米国は、イランの石油化学メーカーに新たな制裁を科した。

米国は木曜日、中国とアラブ首長国連邦のフロント企業、およびイランの石油化学製品の輸出を支援するイラン企業のネットワークに制裁を科した。2015年の核合意の復活に向けてイランへの圧力を高める可能性がある措置だ。

米財務相は、香港の2社、イランの3社、UAEの4社のフロント企業、および中国国民のジンフェン・ガオ氏とインド国籍のモハメド・シャヒード・ルクヌードディン・ボーレ氏に制裁を科したと発表した。

ブライアン・ネルソン・テロ・金融情報担当財務次官は声明で 、2015年の核合意に触れながら、「米国は、包括的共同行動計画の遵守への相互復帰を達成するため、有意義な外交への道を進んでいる」と述べた。

核合意のもとでイランは核開発を制限することになり、同国の石油依存経済を窒息させていた米国、EU、国連からの制裁の緩和と引き換えに、核武装が困難になった。

ドナルド・トランプ大統領(当時)は2018年に核合意から撤退し米国からの制裁を復活させたことで、約1年後にイランが核開発制限の違反を開始するのを促した。核合意の復活に向けた協議はこれまでのところ失敗に終わっている。

「合意がない限り、制裁権限を駆使してイランからの石油、石油製品、石油化学製品の輸出を制限し続ける 」とネルソン財務次官は述べた。

テヘランでは経済外交担当外務副大臣が、新たな制裁には効果がないと切り捨てた。

メフディ・サファリ外務次官はイラン国営テレビに対し、「我が国の石油化学産業とその製品は長い間制裁を受けているが、様々なルートで販売を継続しており、今後も継続するだろう」と述べた。

ユーラシア・グループの研究副主幹であるヘンリー・ローム氏は、イランへの圧力を高めることと、ジョー・バイデン大統領がイランの核開発の阻止に失敗したと主張する米国国内の批判者を黙らせることが今回の制裁の狙いと見る。 

「米国政府は、合意なしのシナリオが継続した場合のイランのコストを高めることを狙いつつ、イランの政策の継続を許しているという国内外からの批判を逸らそうともしている可能性が高い」とローム氏は語る。ただ、広範な戦略なしの単発の制裁ではイランや中国の考えを変えられる可能性は低いという。

「実際、原油市場と世界的インフレ圧力という現状のもとでは、イランのエネルギー輸出をトランプ時代の水準にまで下げるための(米国の)協調作戦は当面は実施されないと、イランは計算している可能性がある」とローム氏は続ける。

3月には核合意が復活するかに見えたが、イスラム革命防衛隊を米国の外国テロ組織リストから削除するかどうかについての食い違いが一因となって、協議は決裂した。イスラム革命防衛隊は、米国が世界的なテロ作戦を行っているとして非難している武装・諜報部隊を統制している。

米財務相は制裁の対象となった企業を明らかにした。香港の企業はキーン・ウェル・インターナショナルLTDとティームフォード・エンタープライズLTD、イランの企業はファナバラン石油化学カンパニーとカルグ石油化学カンパニーLTDとマルン石油化学カンパニーだという。

香港の2社とガオ氏にはすぐには連絡が取れずコメントを得られなかった。
イランでは週末にあたる木曜日の遅い時間だったため、カルグ石油化学とは連絡が取れずコメントを得られなかった。ファナバラン石油化学とマルン石油化学にはコメントを求めるメールを送ったが、すぐには返信がなかった。

米財務相はUAEの4社も明らかにした。フューチャー・ゲート燃料石油化学トレーディングLLC、GXシッピングFZE、スカイ・ゾーン・トレーディングFZE、ユーケム・ジェネラル・トレーディングFZEだという。

米国の権限の下にあるこれらの企業の資産・権益は全て凍結される。これらの企業と取引する者も状況次第では制裁や刑罰を受ける可能性がある。

ロイター

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