
ナジャ・フーサリ
レバノン:この度レバノンの首相に再指名されたナジブ・ミカティ氏は、相違点を脇に置き国の復興への道を進もうと国民に呼びかけた。
現時点では暫定首相を務めているミカティ氏は、拘束力のある議会での協議を経て、木曜日にミシェル・アウン大統領によって首相に指名された。
億万長者であり、既に首相を3回務めたことがある同氏は、128人の国会議員のうち54人の支持を得た。
しかし、ミシェル・アウン大統領の任期が終了する10月31日までの4ヶ月間に新政府を組閣できなければ、その間は行政的な決定を行うことができない。
一方、25人の議員は元レバノン国連大使で現在は国際司法裁判所判事のナワフ・サラム氏を支持した。ジハド・アル・サマド議員1人が、「ハリーリ氏はレバノンのスンニ派コミュニティーのトップの代表だ」と主張して元首相のサアド・ハリーリ氏を支持した。
レバノン軍や自由愛国運動(FPM)党に近しいキリスト教徒議員を含む46人の議員と、一部の改革派議員は、特定の候補の支持を控えた。
ミカティ氏は月曜日か火曜日までに拘束力のない議会での協議を開催して議員の意見を求め、新政府が国を統一できる政府になるかどうかを見極める見込みだ。
拘束力のある議会での協議の後、多数の議員が政府組閣の重要性を強調した。
レバノン・カターイブ党の党首であるサミー・ジェマイエル 議員はこう述べた。「議員たちには、大統領選挙の前には政府はできないだろうなどと言うのをやめてもらいたい。この国は待てない。国民も経済も国の通貨もだ。レバノンはこのような状態であと4ヶ月も持ちこたえられない」
野党のミシェル・モアワド議員は、変革の力を結集して野党勢力を形成することを呼びかけ、「野党の分散は、変化を実現する力にとって大きな障害だ」と述べた。
「野党には重要なマイルストーンに合意する集団的責任がある。そうしなければ、国で起きていることに対する責任を負うことになる」
ヒズボラは政府への参加における立場を表明しなかったが、ミカティ氏による組閣を支持した。
民主的集会ブロックのビラル・アブダラ議員は、アラブニュースに対しこう語った。「政府の組閣に関しては、今回は前回とは違う。前回我々はミカティ氏を支持してその政府に参加したが、今回は違うアプローチを取る。野党の政治的立場を統一することを呼びかけたが、誰もその呼びかけに答えなかった。多数派は依然として分裂している」
アブダラ議員によると、前回FPMはミカティ氏を支持しなかったが、同氏の政府内のキリスト教徒閣僚は全員FPMの主張により入閣した。
「今回もそうなるだろうか。FPMが大統領選挙を妨害しようとするなら、その要求が通ることは一層不可能になるだろう。彼らが政治の動きを妨害するのは見慣れている。大統領選挙が予定通りに行われることを彼らが望んでいるなんて信じられるはずはない。思い通りにするために常に政府を妨害してきたのに。『妨害』が彼らのミドルネームだ」
一方、FPMはレバノン中央銀行のリアド・サラメ総裁に反対する運動を続けており、アウン大統領の任期終了までに総裁を交代させようとしている。
物議を醸しているレバノン判事であり山岳レバノン県の検事であるガーダ・アウン氏は、市民団体「改革を求める国民運動」が提出した、サラメ総裁、および、不正蓄財、マネーロンダリング、偽造、模造、詐欺に関与したと調査によって示された人物に対する訴状をもとに、サラメ総裁、彼の元副官4人、元財務省長官のアラン・ビファニー氏、中央銀行職員数人に対する新たな訴えを起こした。
FPMに近しいアウン氏は、この件を山岳レバノン県の第一捜査判事に持ち込み、サラメ総裁らの逮捕と山岳レバノン県刑事裁判所への差し向けを要請する一方、サラメ総裁に対する渡航禁止令は維持した。
これに先立ち、アウン氏はラビエ地区にあるサラメ総裁の自宅への襲撃を自ら指揮していた。
国家安全保障局員が総裁の自宅を捜索し金庫を開けたが、この物件が放棄されていることと、金庫にいくつかの書類が入っていることが分かっただけだった。書類は没収された。