
モハメド・ナジブ
ラマッラー:イスラエルは新たな特別軍事旅団を編制し、ヨルダン川西岸地区の分離壁を警備し、ジェニン南部に数キロメートルの分離壁を再建する任務に当たらせること、そしてパレスチナ人の侵入者に対しては射殺政策をとることを、イスラエル軍幹部の情報筋が今週明らかにした。
この「分離壁旅団」は、人員2100人からなる6つの大隊で構成されており、2週間前に活動を開始した。
ジェニン南部からヨルダン川西岸地区の境界に沿って建設される全長60キロ、高さ7メートルのコンクリート壁には、1億ドルの予算が充てられた。
旅団司令部は、ラマッラー西のイスラエルとの国境に近いニリン村付近の、マカビム地域にある。
「分離壁旅団を新設するに至ったのは、3月と4月に、ヨルダン川西岸地区からのイスラエルに対する襲撃が相次いだことによる」と、イスラエル国防省高官の情報筋は述べた。
新設された旅団の任務は、既存の分離壁エリアを警備して安全を確保し、ジェニンに新設する分離壁の建設作業を監督し、破壊された部分を修復してパレスチナ人がイスラエルに不法侵入できないようにすることだと高官は付け加えた。
パレスチナ国家イニシアチブ党のムスタファ・バルグーティ事務局長は、次のようにアラブニュースに語った。「こうした命令は、パレスチナ人の殺害・虐待を意図しています。今年に入ってから、子ども16人と労働者数人を含む70人以上のパレスチナ人が殺害されており、犠牲者はすべて、非武装でイスラエル人に生命の危険を及ぼすことのない民間人でした。
分離壁は国境ではなく、イスラエル軍がヨルダン川西岸地区とイスラエルとを隔てるためにパレスチナ側の土地に設置した軍事的境界です。これがイスラエルにとっての国境であると主張するのは、単なる言葉上の屁理屈に過ぎません」
分離壁旅団の設置に伴って、イスラエル軍はこの壁を公式な国境とみなし、パレスチナ人侵入者に対する射撃の原則を変更した。
「射撃指示が変更され、イスラエル兵は、分離壁を超えてイスラエルに入ろうとする者を誰であれ射撃することが許されるようになりました」
「調整役」として知られるイスラエル民生局は、SNSの自サイトを通じて警告を発し、イスラエルで働くパレスチナ人は、18万人の合法労働者も2万4000人の違法労働者も含め、正式な検問所から入国しなければならず、違法入国者には許可を停止するとしている。
ラマッラーのパレスチナ治安当局のある高官は、次のようにアラブニュースに語った。「分離壁に近づこうとした容疑でパレスチナ人を殺害するのは、パレスチナ人の生命を軽視し続けることになります。身の危険を感じたら直ちにパレスチナ人を殺害しろと占領軍兵士に指示する命令と変わりません。
国際的な国境警備の基準では、侵入者が非武装であれば、威嚇射撃をしてから足元を狙うのは許されますが、射殺は許容されません。それなのにイスラエルは、パレスチナ人の生命をないがしろにする自分たちの横柄な法律を適用するのです」
6月19日、カルキルヤの南のナブルス出身の53歳のパキスタン労働者、ナビル・ガニム氏が、ヨルダン川西岸地区から分離壁を超えてイスラエルに入ろうとしてイスラエル軍に殺害された。
新設旅団の兵士たちには、イスラエル国内の侵入者を追跡したり、さまざまな場所の分離壁を24時間体制で警備したりすることができるように、最新の暗視装置、GPS発信機、高速装甲車、ドローンなどが与えられている。
分離壁旅団の設立前には、イスラエルは国境警備員、正規軍、予備兵などから成る交換可能な部隊に依存していた。
イスラエル軍と警備部隊は、3月から5月にかけてイスラエルで勃発した襲撃の際に、武装者の不法入国があったと主張している。