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日本の有名作曲家が人気ビデオゲーム向けの音楽を制作

ブレイブウェーブプロダクションの創設メンバーでもあり、最近の作品には他の有名音楽家と共同で取り組んだ『ベア・ナックルIV』の音楽の作曲がある。(Supplied)
ブレイブウェーブプロダクションの創設メンバーでもあり、最近の作品には他の有名音楽家と共同で取り組んだ『ベア・ナックルIV』の音楽の作曲がある。(Supplied)
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10 Jul 2021 03:07:40 GMT9
10 Jul 2021 03:07:40 GMT9

アミン・アッバス

山岸継司氏はファミコンの『忍者龍剣伝』『テクモボウル』『キャプテン翼I&II』など、レトロなビデオゲーム向けの作品で知られる日本のビデオゲーム作曲家だ。

ブレイブウェーブプロダクションの創設メンバーでもあり、最近の作品には他の有名音楽家と共同で取り組んだ『ベア・ナックルIV』の音楽の作曲がある。

ブレイブウェーブプロダクションの創設メンバーでもあり、最近の作品には他の有名音楽家と共同で取り組んだ『ベア・ナックルIV』の音楽の作曲がある。(Supplied)

アラブニュースジャパンの独占インタビューで、山岸氏はビデオゲームのインスピレーションについて語ってくれた。「私の場合、ビデオゲーム音楽のインスピレーションの源はゲームそのものです。ゲームプランナーと話をして、音楽に何を求めているかを探り、それからビジュアルを見てアイデアを考案します。アクションゲームでは、キャラクターの動きや背景のスクロールスピードが重要で、テンポやビートをそれに合わせるようにします」

お気に入りのゲームについて山岸氏は、「一番プレイしたゲームは『ファイナルファンタジー』シリーズだったと思います。ただし、お気に入りの音楽は任天堂ファミコンの『MOTHER』(欧米では『EarthBound Beginnings』)です」と述べた。

ビデオゲーム作曲家としての自身のキャリアを確立したいきさつについては、次のように述べた。「大学生の時に友人とロックバンドをやっていたのですが、その時分から作曲をしています。ただし、キャリアとして作曲を始めたのはテクモに入社してからです。テクモで働き始めたころは深く考えもせず、ただ音楽を作曲すれば給料をもらえると理解していただけでした。仕事は気に入っていたのですが、そのうち多くの問題に直面しました」

「テクモ入社後に最初に取り組んだのは、アーケードゲームの『スターフォース』を任天堂ファミコンに移植することでした。最初の作曲の仕事はファミコン用の『つっぱり大相撲』でした」と続けた。

山岸氏は、データ容量の不足から要素を切り捨てる必要があるといった問題について話してくれた。「最近はもう見られませんが、ファミコン時代は制作はデータ容量との闘いでした。これを表現したいと考えていたものでも、切り捨てざるを得ないことが多々ありました」と、いきさつを手短に説明してくれた。

「また、ゲーム制作では多くの部門の方が携わり、それぞれが自分の意見をもっていて、プロジェクトの調整や説得して前に進めていく上で、非常に難しいものがありました」と続けた。

山岸氏はファミコンのオリジナルの『忍者龍剣伝』ビデオゲームのメインの作曲家として知られており、その時の経験についてアラブニュースジャパンに語ってくれた。「もともと、最初に『忍者龍剣伝』のファミコンバージョンに取り組むことになっていました。ところが、私が入社したタイミングでサウンドエンジニアが1人退職して、そのため『スターフォース』と『つっぱり大相撲』の仕事を割り当てられました。その仕事では、シニアエンジニアは1人いましたが、それ以外では私がただ1人のサウンドエンジニアでした。私たちは与えられた仕事をこなすだけでした。自分の意思で『忍者龍剣伝』プロジェクトに参加しようとはなりませんでした」

山岸氏はファミコンのビデオゲーム『キャプテン翼』IとIIのメインの作曲家としても知られており、シリーズの音楽を担当する役割をものにした。 

「『キャプテン翼』の仕事も自分から選んだわけではありませんでした。この仕事も割り当てられたのです。とはいえ、漫画で知っていましたから、世界観はわかりました。それで滞りなく取り掛かることができました。『キャプテン翼II』の場合は前作の続きになるので、このプロジェクトには積極的に参加しました。これらのゲーム用音楽を作曲するプロセスは楽しいものでした」とアラブニュースジャパンに語った。 

山岸氏は昨年さまざまなゲーム機でリリースされた『ベア・ナックルIV』の音楽にも取り組んだ。セガの『ベア・ナックル』シリーズの最新版の音楽担当者としての選抜の事情については、「フランスのゲーム制作会社が私のソロアルバム『The Retro-Active Experience』を聴いて、気に入ってくれて、それで私が参加することになりました。古代さんの音楽としてよく知られているプロジェクトに参加して働けるのは光栄でした」と述べた。

山岸氏は春、夏、秋、冬という日本の四季やその自然の移り変わりがどのように着想を与えてくれるかについても触れた。

山岸氏は日本文化の影響も受けており、菊池俊輔や冬木透の音楽から大きな影響を受けていることも認めた。

山岸氏は、中東ではエジプトとヨルダンを訪れたことがあると明かしてくれた。ヨルダンのペトラと、ワディ・ラムの満天の星空が「とりわけ素晴らしかった」と強調した。「出会った人々は温厚で人なつこく、いつかまた行ってみたいと思っています」と述べた。

「2019年にクウェートのゲームイベントに招待され、たいへん温かい歓迎を受けました。ものすごい数のゲーマーの方たちが私のことを知ってくれていて、驚きでした。日本ではゲームファンにそれほど知られていないのです。私の音楽を気に入ってくれている方たちがそんなにもたくさんいることが分かって、狂喜しました」と続けた。

今後のプロジェクトについては、山岸氏は、「取り掛かっていた作品があったのですが、さまざまな事情から最近キャンセルになってしまいました。だから、今はどんなプロジェクトでも、私の音楽を必要としてくれるものなら、対応できます」

野心に燃える作曲家には、他の人との違いを際立たせるコミュニケーションスキルなどの「資質が、音楽の才能に加えて大切になる」とアドバイスしている、と山岸氏は語った。

また、未来の作曲家は芸術家としてよりも職人として仕事をするという思いが必要になる、と強く訴える。 

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