Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • リビア東部の議会建物にデモ隊が突入

リビア東部の議会建物にデモ隊が突入

2022年7月1日、リビア市民が首都トリポリの殉教者広場に集まり、政治状況や劣悪な生活環境に抗議した。(AFP)
2022年7月1日、リビア市民が首都トリポリの殉教者広場に集まり、政治状況や劣悪な生活環境に抗議した。(AFP)
Short Url:
02 Jul 2022 04:07:34 GMT9
02 Jul 2022 04:07:34 GMT9

ベンガジ、リビア:分裂したリビアを選挙実施に向けて立て直す試みが失敗し、ここ数ヵ月間にわたって国内で抗議運動が続く中、リビア東部の都市トブルクで、この地域を拠点とする代表議会が入った建物に1日、デモ隊が押し入り、建物の一部に火を放った。

目撃者の一人であるタヘル・アマイジグさんは、現在の政権を解体し、選挙を実施するよう求めて市民数千人が議事堂に向かうデモ隊に加わったと話した。アマイジグさんによると、警備隊が建物への侵入を阻止しようとする中、デモ参加者の1人が銃で脚を撃たれ、続いて他の参加者たちが建物の内部に押し入った。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、無数のデモ参加者たちが隊列を組んで突き進む様子が映し出されていた。1日はリビアの週末の休日の初日にあたるため、デモ隊の突入時、建物には人がいなかったとみられる。デモ隊がこの建物を標的にした意図は明確ではない。

この日の早い時間、リビアでは他のいくつかの都市でも、選挙を求める抗議デモが行われた。

トブルクでのデモの前日には、リビアの対立する政治勢力の代表が国連の仲介の下、ジュネーブで協議を行ったが、国政選挙のための憲法の枠組みについて合意に達することができず、物別れに終わっていた。この勢力は、一つはリビア東部、もう一つはリビア西部を拠点としている。

10年以上にわたる内戦の後、国は再び対立する政権の間で分裂。ここ1年間、統一に向けた手順を少しずつ進めてきたにもかかわらず、状況はかえって悪化してきている。

石油資源に恵まれたリビアでは、北大西洋条約機構(NATO)を後ろ盾とする2011年の暴動により、長年独裁者として君臨したムアンマル・アル・カダフィ氏が失脚し、殺害された。それ以降、リビアは紛争によって疲弊し、対立する複数の政権が勢力を伸ばすこととなった。国内東部を拠点とする政権は、軍司令官のハリファ・ハフタル氏が支援し、一方の首都トリポリを拠点とする政権は、国連が支援している。各政権は、互いに異なる武装勢力と国外勢力によって支援されている。

リビアの代表議会(代議院)の本拠地であるトブルクは長い間、ハフタル氏と同盟を組んできた。最近、同議会はファティ・バシャガ氏を首相に選任し、対立するトリポリを本拠地とする政権に対抗した。かつて大きな権力を握る内務相だったバシャガ氏は現在、スルト市を拠点に別個の政権を運営する。

リビアでは昨年12月24日に総選挙が計画されていたが、トリポリを拠点とし、アブドルハミド・ドベイバ首相が率いる暫定政権が投票を実施できなかったため、計画は頓挫してしまった。この失敗は、リビアで10年間続いた混乱を終息させるための国際的な努力に大きな打撃を与えた。

1日に発生した抗議運動は、悪化の一途を辿るリビアの経済状況も一因となった。その日の早い時間、トリポリでは、政治的危機に抗議するだけではなく、電力不足、そして燃料やパンの価格高騰にも怒りを募らせた数百人の市民がデモに参加した。

AP

topics
特に人気
オススメ

return to top