
ベイルート:レバノンは、国連や人権団体の反対を押し切って、数ヵ月以内に数万人のシリア人難民を送り返し始める計画を立てていると、同国の大臣が7日にインタビューで語った。
レバノンは、国民1人当たりの難民受け入れ数が世界で最も多い国の一つであり、現在、10年来の内戦から逃れてきたシリア人100万人以上を受け入れている。難民の流入は何十億ドルものコストがかかり、ただでさえ財政破綻で機能不全に陥っている同国のインフラが、さらなる打撃を受けていると同国の政府関係者は言う。
「我々はこの計画の実施を真剣に考えており、数ヵ月以内に実行に移すつもりだ」とレバノンのイッサム・シャラフェディン難民担当大臣は述べた。「これは、人道、名誉、愛国心、経済などの側面から見ても、レバノンにとっては必要な計画だ」
レバノン政府のこの計画では、毎月1万5000人のシリア難民を送り返すことになる。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や人権団体は、シリアへの強制送還を実行すれば、帰還した難民を危険にさらすことになるとして反対している。
UNHCRは、難民の帰還に関するレバノン政府やシリア政府との交渉には関与していないと否定する報道声明を出した。
「UNHCRは、引き続きレバノン政府に対し、自発的かつ安全で尊厳をもって帰還する難民の基本的人権を尊重するよう呼び掛けている」と声明には書かれている。
国連の推計では、シリア難民世帯の90%が極度な貧困の中で生活しているという。しかし2019年末以来、レバノンが経済破綻の危機に苦しみ続ける中、シリア人だけでなくレバノン人も困窮化している。通貨暴落と相まって燃料価格が高騰し、今や多くの生活必需品に手が届かなくなっている。
シャラフェディン大臣は4日、ミシェル・アウン大統領に計画について伝えた。ナジーブ・ミカティ暫定首相、シャラフェディン大臣、およびその他6名の閣僚、そして国家安全総局からなる委員会が、約150万人のシリア難民をレバノンから徐々に帰還させる提議について3月から取り組んできた。
シャラフェディン大臣は来週、シリアを訪れ、フセイン・マクローフ地方行政環境相と会談する予定だ。
彼は、シリア難民を毎月1万5000人帰還させる計画の具体的スケジュールについて合意に至ることを期待している。マクローフ大臣は彼に対し、シリア政府は「完全に安全な」地域に帰還難民の一時的な避難所を提供することができると述べたという。
「我々は、難民の氏名、居住地、出身地などに関する資料を内務省から受け取っており、難民たちを地域別で返すつもりだ」とシャラフェディン大臣は述べた。シリア政府が、「この先の段階で」難民の受け取りが可能であれば、レバノン政府はより大人数で難民を帰還させる用意があると大臣は語った。
シリア政府は、元敵対戦闘員や政治的敵対者に対する告訴の取り下げに同意しているとシャラフェディン大臣は述べた。
AP