
ウィーン:イランは、フォルドウの地下プラントにある、より簡単に濃縮レベルを変更できるように設定された高度な機械を利用して、ウラン濃縮をさらにエスカレートさせていると、国連の原子力監視機関が、ロイターが確認した9日の報告書の中で述べた。
欧米の外交官らは、この遠心分離機のカスケード、またはクラスターに搭載されている装置に関して、長く懸念を表明してきた。
これらのいわゆる改良型サブヘッダを使用することは、イランがより高い純度の濃縮に、より迅速かつ容易に切り替えられるようになることを意味する。
イランはこのような切り替えについて、国際原子力機関(IAEA)への報告を求められているが、もし報告しないことを選択した場合には、イランの濃縮とIAEA査察官による製造物の確認には現在、時間差があるため、しばらくの間は発覚を逃れる可能性がある。
「2022年7月7日、イランは同日、IAEAに対し、U-235を5%まで濃縮したUF6を前述のカスケードに供給し始めた」と、IAEA加盟国に向けた極秘の報告書は述べた。
UF6とは六フッ化ウランガスを指し、遠心分離機に供給され、濃縮させる。
ロイター通信が確認した6月20日の報告書では、IAEAは、イランはカスケードを使用する意思を同機関に伝えて数ヵ月後に、濃縮前の工程である不動態化を行うため、UF6の供給を開始したと述べた。
IAEAは7月6日に、不動態化が終了したことを確認したと、9日の報告書は述べた。
「2022年7月9日、IAEAは、イランが、U-235を20%まで濃縮したUF6を製造するという、同国が宣言した目的のために、改良型サブヘッダを搭載した166台のIR-6遠心分離機のカスケードに、U-235を5%まで濃縮したUF6を供給し始めたことを確認した」と、報告書には記載された。
イランは既に他の場所で最大60%までの濃縮を行っており、その濃縮レベルを3.67%に制限した主要国との2015年の合意以前に製造した最大20%の水準を大きく上回っているものの、核兵器級の約90%にはまだ達していない。
この動きは、2015年の核合意がイランの核活動に課した制限を何度も破り、それを大きく超えた、また新たなステップとなった。これは、この合意再建に向けた協議が行き詰まり、西側諸国が合意に達するための時間がなくなってきていることに警鐘を鳴らしている中での出来事だ。
米国は2018年、当時のドナルド・トランプ大統領の下で合意から離脱し、核合意で解除されていたイラン政府に対する制裁を再発動した。
その1年後、イランは核合意の制限を破ることにより、報復を開始した。
ロイター