ラバト:欧州委員会は、「新しい、極めて暴力的な方法」を用いる密入国請負業者と闘うため、モロッコとの協力を強化すると公約した。この動きが起きる2週間前、モロッコとスペイン領メリリャとの国境で23人が死亡した。
欧州委員会のイルバ・ヨハンソン委員(内務担当)、スペインのフェルナンド・グランデマルラスカ内相、モロッコのアブデルワフィ・ラフティト内相がラバトで会談し、6月24日に起きた事件について話し合った。その事件では、サハラ以南の移住者・亡命希望者数百人がメリリャ側に移ろうと、国境検問所を突破し、国境フェンスによじ登ろうとした。
死者が出たことに加え、モロッコ、スペインの警官約200人と民間人70人以上が負傷した。
「我々は、密入国請負業者との闘いにおける協力を強化する方法について話し合ってきた。2週間前に見たような暴力的で危険な状況を防ぐのが目的だ」。ヨハンソン氏は会議後、ビデオメッセージでそう述べた。
密入国請負業者が用いている新しい暴力的方法の具体的内容についてはそれ以上明らかにされなかったが、欧州委員会は、モロッコの警察との連携を強化し、共同捜査などを行うと発表した。
モロッコ政府のムスタファ・バイタス報道官は7日、モロッコのナドールとスペイン領メリリャとの国境で起きた事件は、国境を越えてスペイン領になだれ込もうとする他の企てとは異なる方法で「計画的かつ組織的に」起こされたと述べた。
当時、モロッコ当局は、移住者らは殺到した結果死亡したと発表した。
しかし複数の人権団体は死因の独自調査を要求し、国境の両側の当局が過大な武力を行使していると非難している。
モロッコ人権協会によると、死亡した移住者は27人で、モロッコ当局の報告より4人多い。
犠牲者の多くはスーダン人とみられる、と同協会はツイッターに投稿した。
EU委員会は声明で「ヨハンソン委員と両大臣は、モロッコ国家人権評議会が設置した事実調査委員会を歓迎した」と発表した。スペインの検察も先週、6月24日の事件の調査を開始したと発表した。
動画に映っていたのは、その日、モロッコ人警官に見張られながら、無数の黒人男性が地面に横たわり、数人が身動きせずに血を流している様子だった。
AP