
テヘラン:バイデン米大統領がサウジアラビアとイスラエルへの訪問を終えた翌日の17日、イラン政府はアメリカ政府に対し、中東での緊張を高めているとして非難した。
「(アメリカ政府は)再び、イラン恐怖症の失敗政策の挙に出ることで、アラブ地域の緊張と危機を作り出そうとしている」。イラン外務省のナセル・カナニ報道官は声明でこのように述べた。
この発言は、バイデン氏が16日、米国は「いかなる国に対しても、軍備増強、侵略または威嚇を通して、この地域の他国を支配しようとする試みを容認しない」と、明らかにイランを引き合いに出しながら宣言した後に発せられたものだ。
このバイデン氏による初の中東訪問から数日後の今月19日には、ロシアのプーチン大統領がテヘラン入りすることになっている。
バイデン氏は、サウジアラビアのジェッダで開かれた湾岸協力会議加盟6ヵ国とエジプト、ヨルダン、イラクが参加した首脳会議で演説し、アラブ地域の首脳に対し、アメリカ政府が中東情勢に完全に関与し続けることを確約した。
バイデン氏は「我々は、中国、ロシア、イランが埋めに来るような空白を残し、この地を立ち去ることはない」と述べた。会議の後、各国首脳は共同声明を出し、「地域の安全保障と安定を維持する」ことを誓約した。
また、声明では、イランの核開発を阻止するための外交努力についても強調し、特に無人航空機(ドローン)による「脅威の増大」に対する共同抑止力の強化を求めた。これは、イラン政府が15日、武装ドローンを搭載できる船舶と潜水艦を公開したことに言及したものとみられる。
イラン政府は核兵器製造疑惑を否定しており、17日、ジェッダでのバイデン氏の発言を一蹴した。
「このような誤った疑惑は、アラブ地域におけるアメリカ政府の扇動的な政策に沿ったものだ」と、カナニ氏は述べた。
バイデン氏は、アラブ地域の歴訪を13日のイスラエルを皮切りに開始し、その後パレスチナ自治区を訪れ、さらに飛行機でサウジアラビア入りした。
イスラエルでバイデン氏は、対イラン共同防衛を強化する安全保障協定に署名。同氏は、アメリカの「あらゆる力」を使って、イランの核兵器保有を阻止することを誓った。
一方、カナニ氏は、この協定はアメリカの「欺瞞と偽善の重大な象徴」であると述べ、その理由として、「彼らはシオニスト政権の国イスラエルが、この地域で最大の核兵器保有国であることに目をつぶっているからだ」とした。
イスラエルは、中東で唯一、未申告の核兵器を保有していると広く信じられている。
制裁緩和と引き換えにイランの核開発プログラムを抑制させるという画期的なイラン核合意は、2018年のドナルド・トランプ前米大統領によるアメリカの離脱によって大きく損なわれ、イランは合意内容の約束を反故にし始めた。
この核合意を復活させる試みも、今年3月から停滞した状態となっている。
AFP