
ナジャ・フーサリ
ベイルート:アメリカン・タスクフォース・フォー・レバノン(ATFL)の代表団は、「手遅れになる前に社会経済的なプログラムを確立する」ことの重要性を強調した。
この要求が出されたのは、アメリカのドロシー・シア駐レバノン大使とともに訪れた代表団が月曜日に複数のレバノン高官と会合を持った後であった。
ATFLの代表であるエドワード・ガブリエル氏は次のように語った。「時間はどんどん過ぎていきます。政府が法や政策を速やかに制定し、要請されている改革を行い、市民の要求に応えてIMFとの交渉を進めるために、必要な施策を採らなければなりません。パートナーなしに私たちは動けませんが、そのパートナーとは政府であり、政府が必要とされている事柄を素早く実行しなければならないのです」
ガブリエル氏はまた、アメリカは昨年、レバノンに7億ドル以上相当の援助を行ったこと、ジョー・バイデン大統領が中東訪問中も「レバノンのことを忘れていなかった」ことを付け加えた。
バイデン大統領は会談の中で、レバノンに影響するいくつかの問題に言及し、レバノンの領土の完全性を強調した。
アメリカの要求は、公的機関で起きていたストライキに、月曜日に司法補佐員たちが加わったことでレバノンの裁判所が機能停止に陥るという状況で出された。
公的機関の職員は、昇給と交通費の支給額の引き上げを求めて約1か月にわたってストライキを続けている。
司法補佐員たちは、緊急の事態であれ公訴案件であれ、例外なく職務の遂行を無期限に停止し、公共部門や裁判所のために通達を出すこともしないと表明している。
司法補佐員の委員会のメンバー、ジョセフ・タリ氏は次のように話す。「2019年に危機が始まってから、司法補佐員たちは人々の生活がいかに不幸なものになったかを見てきましたが、今や自分たちがその人々と同じように、日々の生活に不自由しています。家族の食糧、まっとうな教育、医療を賄うことさえできなくなったのです」
「公平、平等、正義、公正が存在しない司法の場で、どうして働けるでしょうか。仕事をして子供たちとまともな暮らしをするか、家にいて餓えや病気で死ぬか。二つに一つです」
月曜日の朝には、同様の要求を持った退役軍人がレバノン中央銀行のバールベック支店前で座り込みを行い、従業員の出勤を妨害した。
彼らの主張では、昇給は退役・現役軍人も含めたすべての職員に必要なものである。
レバノンポンドの価値は、2019年以来95%下落した。
闇市場でのレートでは、1ドルは2万9千500レバノンポンドで、金融破綻以前は、444ドル相当だった最低賃金額は現在では23ドル相当になる。
燃料や医薬品の補助金が徐々に撤廃され、医療・社会保障制度では公務員の入院費用をカバーできない状況で、職員たちは最低限の生活水準も保てないとしてストライキに出た。
退役軍人を代表して、イマド・アワダ氏は次のように語る。「福利厚生の改善に加えて、1ドル8千レバノンポンドのレートに基づいて判事の給与額を修正する決定が撤回されるか、すべての公務員、特に退役・現役軍人がこの決定に含まれるまで、様々な地域で抗議行動が続くでしょう」
進行中のストライキは、レバノンのほとんどの公的機関、とりわけ財務省と不動産関連の部門を麻痺させている。
これらのストを受けて、公共施設の運営を任務とする閣僚委員会は、暫定首相で次期首相に指名されているナジーブ・ミカティ氏の招集で会合を開き、この問題への対策を協議した。
議会の委員会が、IMFが要求している改革の枠組みに収まるような法案を承認し、5月中旬から続いている政府の機能停止状態を考慮して、後日立法議会に提出して審議にかけるために開かれてきた。
金融・予算委員会の委員長、イブラヒム・カナアン議員は脱税を防ぎ、腐敗や金融テロ、不正蓄財と闘うために銀行秘密を修正する法律の採用を発表した。
金融・予算委員会はまだ2022年度予算の検討を終えていないが、カナアン氏によると、これには「政府が為替レート統一の検討案を提示する」必要がある。「判事の給与を例外として、税金や各種料金、給与は1ドル1507レバノンポンドのレートを基に計算されているのですから」
もう一つ別の不満が、首都ベイルート議会をキリスト教徒居住地域とそれ以外で分割するべきだという要求をめぐっても高まっている。
自由愛国運動の議員たちが、この市の分割に関する法案を提出した。レバノン軍団党とファランヘ党の議員たちは、この提案は「すべてのベイルート地域を平等に扱う」ことに寄与すると主張している。
しかしながら、この案には反対意見も多い。
レバノンのイスラム教指導者、シャイフ・アブデル・ラティフ・デリアン氏は次のように言う。「あってはならないことです。ベイルートが東西に分かれていた時代に逆戻りすることになります。私たちが何としても守ってきた、そしてこれからも守ろうとしているイスラム教徒とキリスト教徒の共存を脅かすもので、到底受け入れることはできません。公的機関が崩壊し、麻痺しているのですから、できるだけ早期に政府を発足させることが望まれます」
デリアン氏は高官たちが自分の義務を果たし、この窮地からの打開策として組閣を行うべきだと主張する。氏によれば、他に新大統領を選出し、改革を実行し、腐敗と闘う術はない。
ベイルート選出の議員、イブラヒム・ムネイムネー氏は、ベイルート分割案について以下のようにコメントしている。
「ベイルートほどの規模と重要性を持つ都市が必要とするのは、統治と決定の能力のある、選挙で選ばれた行政府であって、市全体の利益よりも狭い派閥の利益を優先するような、分割された市政機関ではありません。人気集めを目的とした提案では、危機に対応できないばかりか、さらに深刻化させるだけでしょう」