


アラブニュース
バグダッド/ジェッダ:トルコが20日にクルド人自治区の村を砲撃し、少なくとも9人の民間人が死亡したとイラク当局が発表した。
イラクの国営メディアによると、犠牲者はザーホー地区山間部のパラク村にある公園を訪れていた観光客で、子供2人が含まれるという。
この攻撃で、イラクのムスタファ・アル・カディミ首相は直ちに異例の強い非難声明を出した。
首相は、「トルコ軍がまたしてもイラクの主権を非道に侵害した」と述べ、「イラク国民の生命と安全」に及ぼした危害を非難し、イラクによる反撃もあり得るとした。
「イラクにはこうした攻撃に報復する権利があり、国民を守るために必要なあらゆる措置をとる」とカディミ首相は述べた。首相は、フアード・フセイン外相を代表とする調査団を現地に派遣し、攻撃を調査するよう命じた。
トルコは20日、責任を否定し、非難を控えるようイラクのメディアに促した。
イラクの国営テレビによると、死者が出たほかにも少なくとも23人が負傷し、ドホーク県のビダル病院に運ばれたという。
クルド人自治区の保健相は声明で、死者には1歳児を含む子供もいたが、全員が病院に到着する前に亡くなったと発表した。
「斜面へ向かうと、そこが攻撃されました。滝へ向かうと、そこも攻撃されました。こちら側へ行けば、そこも攻撃されるという具合でした」と、攻撃発生時に友人と現場のリゾート地にいたムスタファ・アーラさん(24歳)は述べた。
「私たちは滝の周囲にあった柵を引き上げました。内側から見ていると、子供たちが地面に倒れていました……人生で一度も見たことがない光景でした」とアーラさんは付け加えた。
夏のピーク時には、数百人のイラク人観光客が南部から気候の涼しいクルド自治区を訪れる。「私たちはバビロン県からやって来ました」と生存者のハッサン・タフシンさんは述べた。観光客らがゆったりと過ごしていた公園や水辺の施設に4発の砲撃が着弾し、辺りに火災が広がる中、運よく生き延びたのだとタフシンさんは語った。
「我々を無差別に攻撃し、水の中には遺体がありました」と彼は述べた。「若い人々がなくなりました。子供たちも亡くなりました。誰を頼ればいいのでしょう。私たちには神しかいません」
トルコ外務省は、今回の攻撃で犠牲者が出たと聞いて悲痛な思いでいると述べ、トルコは、クルディスタン労働者党(PKK)などの非合法な武装勢力に対する反テロリズム作戦において、民間人の犠牲や歴史的・文化的史跡への損傷を避けるべく最大限の注意を払っていると付け加えた。
「トルコは、真実を解き明かすためにあらゆる手段を尽くす用意がある」と同外務省は声明で述べ、トルコの軍事作戦は国際法に則ったものであることを付け加えた。
「我々はイラク政府に対し、凶悪なテロ組織のレトリックやプロパガンダの影響を受けた発言を控えるよう要請し、この残虐な行為の加害者を突き止めるための協力を求める」と同声明は、PKKによる犯行を示唆しながら述べた。
トルコは、クルド人組織PKKやシリアのクルド人組織YPGに対してイラクやシリアで長期にわたり実施している軍事行動の一環として、イラク北部で定期的に空爆を行っており、これまでにも攻撃をサポートする奇襲部隊を送り込んできた。トルコは両組織をテロ集団とみなしている。
PKKは、1984年にトルコへの戦闘を開始した。
4万人以上が殺害されてきたこの紛争は、過去には主に、PKKが民族国家樹立を目指していたトルコ南東部に集中していた。
国連イラク担当特別代表は、ツイッター上に投稿した声明文で20日の攻撃を非難し、調査するよう求めた。
一方、米国務省のネッド・プライス報道官は、米国は砲撃後の状況を注視していると述べた。
プライス報道官は定例記者会見で、イラクでの軍事行動はイラクの主権と領土の安全が尊重されるべきとの米国の立場を改めて繰り返し、「民間人が確実に守られていることが重要だ」と強調した。
(ロイターとの共同)