
アラブニュース
ロンドン: イランが軍事用ドローンの生産を強化しており、その技術を中東全域の武装勢力、およびベネズエラやスーダンなどの国々に提供していると、米国が警告を発した。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は、イランの報道、衛星画像、米国の防衛専門家などの情報を引き合いに出し、テヘランがドローン市場における影響力を高めようとしていることを示唆した。
先週、イランの国営メディアが軍のトップであるキウマース・ヘイダリ准将の発言を引用して伝えたところによれば、テヘランは「武器や軍事装備を友好国に輸出する準備ができて」おり、同国のドローンはすでに「国境を越え、遠く離れた場所で運用されている」という。
ドローン専門家で防衛アナリストのセス・フランツマン氏は、NYTに対し次のように語った。「イランはドローン輸出に関して、ますます世界的なプレーヤーになりつつある。モハジャー6(航続距離約125マイルのイラン製軍事用ドローン)のような最新のドローンが、『アフリカの角』のような場所で見られるようになった事実は、各国がドローンをゲームチェンジャーになり得る存在と見なしていることを示す」
イランのドローン計画は、地域のライバル国の懸念をますます高めている。制裁措置にもかかわらず、テヘランは偵察と攻撃の両作戦に使えるさまざまなマシンの生産ができており、イスラエルにとっては、イランのドローン製造施設を標的に妨害工作を行ったほど、心配の種になっている。
しかし、イランはまだ、ドローンの生産においてトルコなどの国々に遅れをとっている。アンカラの「ベイラクターTB2」は近年、アゼルバイジャンからエチオピアにかけての戦場で、決定的な成果を上げている。
しかし、2020年8月、イランに課せられていた武器売買に関する国連の禁輸措置が失効し、イランがドローン市場でプレーヤーとしての存在感を高めることが容易になった。
7月21日、米国防総省は、カタールで最近開催された地域安全保障会議の重要なテーマが、イランのドローン計画だったことを明らかにした。
禁輸措置が解除されて以来、イラン製ドローンはさまざまな軍事現場で目撃されている。例えばエチオピアの内戦では、軍事基地を訪問中のアビイ・アーメド首相の映像の背後に、空対地ミサイルで武装したモハジャー6が映っていた。
2月には、イスラエルのベニー・ガンツ国防相が、2020年に撮影された、モハジャー6の横に立つニコラス・マドゥロ大統領の映像を引き合いに出し、モハジャー6がベネズエラに販売されていることを確認した。
ベネズエラ国防省はその後、国連の武器禁輸措置が課せられた2007年から、初期モデルのモハジャー2を購入していたことを認めた。
スーダンも武器禁輸措置の対象となっているにもかかわらず、イランは同国にもドローンを供給してきた。
「イスラム共和国は、軍事偵察機や自爆ドローンを含むさまざまなドローンの生産において、ずいぶん前から大量生産レベルに達しており、今では非常に多くの在庫を持っている」と、イランの軍事アナリストであるホセイン・ダリリアン氏はNYTに話した。
テヘランはこれまでも、イエメンやレバノンなど、西側諸国の勢力圏外にある国家や代理勢力の間に、顧客ネットワークを構築することができていた。
同国の政策には、生産をベネズエラやタジキスタンなどの他国へ移すことも含まれていた。
イラン軍の最高司令官であるモハマド・バゲリ将軍は、5月にタジキスタンを訪れ、「アバビール2」ドローンを製造する工場を落成させた。この施設は、海外初のイラン製ドローン指定工場となる。
テヘランのドローンは、サウジアラビア、UAE、イエメン、イスラエルに対する攻撃の他、昨年10月に行われたシリアの米軍基地への攻撃など、広範囲に使用されている。
ワシントン研究所でアソシエイトフェローを務める軍事アナリストのファージン・ナディミ氏は、NYTに対し次のように語っている。「彼ら(イラン)はこのように実行可能なドローン生産能力を作り出したのだから、他の国々がその技術の入手に関心を持つのは当然のことだ。イランのドローンは兵器として真剣に受け止めるべきである」