
ガザ/エルサレム:イスラエルは6日、空爆を行い、ガザの住宅を破壊した。イスラエル南部へのロケット弾による一斉攻撃は続いている。ガザで少なくとも15人が死亡したこの紛争がエスカレートする恐れが高まっている。
今回の戦闘は、イスラエルが5日にパレスチナの過激派組織「イスラム聖戦」の上級司令官を波状空爆で殺害したことから始まった。その空爆は差し迫った攻撃を防ぐためのものだった、とイスラエルは発表した。その空爆による死者には、5歳の少女と女性2人が含まれていた。
これまでのところ、ガザを支配している大規模な過激派組織であるハマスは、この紛争の激しさをある程度抑えながら、紛争を傍観しているようだ。イスラエルとハマスが交戦したのはたった1年前だが、あれはこの15年間に起きた4つの大規模な紛争といくつかの小規模な戦闘のうちの1つであり、貧しいガザに住む200万人のパレスチナ人住民に膨大なコストを強いた。
ロケット攻撃が着実に続く中、ハマスが戦闘に関わらずにいられるかどうかは、部分的にはイスラエルがガザにどれほどの罰を加えるかによって決まりそうだ。
6日午後、イスラエルの戦闘機は攻撃を強化した。ガザ市の住宅4棟が攻撃されたが、いずれもイスラム聖戦の戦闘員と関係があると見られる場所だった。この破壊は、人口が密集したガザで現在行われている交戦の中で最も激しいものだったが、犠牲者が出たという報告はなかった。いずれにせよ、イスラエル軍は空爆を行う前に住民に警告していた。
6日に行われた別の空爆は車に直撃した。75歳の女性が死亡し、他の6人は負傷した。
警告の後に行われた空爆の1つでは、戦闘機がイスラム聖戦のメンバーの家に2個の爆弾を投下した。爆風で2階建ての家は破壊され、瓦礫でいっぱいの大きなクレーターができ、周囲の家屋にも大きな被害が出た。
女性や子供は急いでその地区から出て行った。
「私たちに警告した? 彼らはロケット弾で警告して、私たちは何も持たずに逃げました」と、隣に住むフダ・シャマラフさんは話した。「標的になった家には15人が住んでいました」
ガザにある唯一の発電所は6日正午、燃料不足で停止した。イスラエルが2日からガザに入るための検問所を閉鎖しているからだ。この新たな停電のせいで、ガザの住民は1日に4時間しか電力を得られなくなり、自家発電機への依存度が高まっている。夏の暑さがピークに達する中、ガザの慢性的な電力危機が深まっている。
ガザの戦闘員らは終日、イスラエル南部に定期的にロケット弾を多数発射したが、犠牲者が出たという報告はなかった。ロケット弾のほとんどは、イスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」に迎撃され、無人の場所に着弾したり、到達しなかったりした。ロケットの破片がスデロット市の住宅の屋根に損傷を与えたが、住民はシェルターの中にいた。
5日夜、イスラエルのヤイール・ラピード首相はテレビ演説で「イスラエルはガザでのより広範な紛争に関心はないが、紛争を避けるつもりもない」と述べた。
「イスラエル政府は、ガザからイスラエルの領土へのあらゆる種類のいかなる攻撃の試みに対しても、ゼロトレランス方針を採っている」と同氏は述べた。「イスラエルは、イスラエルの民間人に危害を加えようとする者を黙って見ていることはない」
この紛争は、11月の選挙の前に暫定首相の役割を引き受け、首相の座を守りたいラピード氏に突きつけられた最初の試練だ。
中道派のテレビ番組司会者・作家だったラピード氏は、前政権で外相を務めており、外交の経験はあるが、安全保障の経歴は乏しい。ガザとの紛争によって同氏の地位に磨きがかかり、ハマスとの4回の戦争のうち3回の戦争で国を率いた、安全保障ではタカ派のベンヤミン・ネタニヤフ元首相との対決に自信を持つかもしれない。
ハマスもまた、広範な破壊をもたらした前回の戦争のわずか1年後に新たな戦闘に参加するかどうかを決めるというジレンマに直面している。あれ以来、復興はほとんど進んでおらず、孤立したガザは貧困にあえいでいる。失業率は50%前後だ。イスラエルとエジプトは、ハマスが2007年にガザの支配を確立して以来、ガザに対する厳しい封鎖を維持している。
エジプトは6日、ハマスを戦闘に参加させなくするために、イスラエル、パレスチナ、米国と連絡を取り、紛争の激化を防ぐための努力を強化した。エジプトの情報機関の職員が明らかにした。その職員は、メディアへの発言を許可されていないため、匿名を条件に話した。
パレスチナ保健省は、死者数は15人、負傷者数は80人以上だと発表した。同省は民間人と過激派を区別していない。イスラエル軍は、初期の推計では戦闘員の死者数は約15人だと発表した。
イスラエル・ガザ紛争の最新ラウンドは、今週初め、ヨルダン川西岸地区でイスラム聖戦の幹部が逮捕されたことに端を発している。それは、同地区での1カ月にわたるイスラエルの軍事作戦の一環だった。イスラム聖戦の10代のメンバーも銃撃戦で死亡した。
イスラエルはその後、ガザ周辺の道路を閉鎖し、国境に増援部隊を派遣し、報復の警告をした。5日にはガザ市のアパートを攻撃し、ガザ北部を担当するイスラム聖戦のタイシール・アル・ジャバリ司令官を殺害した。
イスラエル軍の報道官は、今回の空爆は対戦車ミサイルで武装した2つの過激派部隊からの「差し迫った脅威」に対応するものだと述べた。
夜通し行われている他のイスラエルの空爆は主に、ガザ市郊外や農村部を攻撃し、イスラエルが言うところのロケット弾発射装置やロケット弾製造施設、イスラム聖戦のキャンプなどを標的にしている。
イスラエルメディアは夜通し、イスラエル南部・中部の上空がロケット弾やイスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」が発射した迎撃ミサイルで照らされる様子を伝えた。
トル・ウェネスランド国連特使は次のように述べた。「ロケット弾の発射を直ちに止めるべきです。私は全ての当事者に対し、紛争がこれ以上激化するのを避けるよう求めます」
ベニー・ガンツ国防相は、必要に応じて2万5000人の予備役軍人を召集する命令を承認した。イスラエル軍は、国境から80キロ(50マイル)以内の地域では学校を閉鎖し、活動を制限するという銃後の「特殊状況」を発表した。
ハマスがパレスチナの敵対勢力からガザの支配権を奪取したのは、イスラエルがガザから撤退した2年後の2007年だった。ハマスとイスラエルの直近の戦争は2021年5月だった。イスラエル国内での相次ぐ攻撃、ヨルダン川西岸地区での連日の軍事作戦、対立の火種となっている聖地エルサレムでの緊張の後、今年初めに再び緊張が高まった。
イランが支援するイスラム聖戦はハマスより小規模だが、イデオロギーはほとんど同じだ。どちらもイスラエルの存在に反対しており、イスラエルへのロケット弾発射など、長年にわたって多数の破壊的攻撃を行ってきた。
AP