

ナジャ・フーサリ&フィラス・ヘイダー
ベイルートで11日、経済崩壊後に凍結された預金を引き出せないことに怒り、銀行員を数時間にわたって人質に取った武装した客を、集まった人々が賞賛した。
レバノンの首都の銀行で起きた人質事件は、人質全員の解放と引き換えに、銃を持つ男が凍結資金の一部を引き出すことに当局が同意し、終結した。
容疑者(42歳のバサム・アル・シェイク・フセイン氏)は、引き出しを制限されている20万ドル以上の預金のうち、3万ドルを引き出すことに銀行が同意した。
A citizen is detaining citizens and employees at gunpoint in a bank in #Hamra Street… and the army is surrounds the place!#Lebanon #Beirut pic.twitter.com/vxudP6zgF0
— Khaled Iskef خالد اسكيف (@khalediskef) August 11, 2022
アル・シェイク・フセイン氏はベイルートのハムラ地区にある連邦銀行で、8人以上の行員を人質に取った。
彼は床にガソリンをまき、ショットガンを行員たちに向けて、2019年の中央銀行による全銀行宛ての回覧に沿って凍結された預金から、2000ドルを引き出すことを要求した。
ベイルート・アメリカン大学と同医療センターに通じる、最も繁華な通りの1つに位置するこの銀行を、陸軍兵士たちと国内治安維持部隊の将校が包囲した。
銃を持つ男と銀行経営陣の間で交渉が始まり、レバノン預金者協会のハッサン・ムグニェ会長が最初に指揮を取った。
その後、国内治安維持部隊の情報部門が交渉に加わった。
バサム・マウラヴィ暫定内務大臣のメディアオフィスは、情報部門と連邦銀行の間の交渉を国内治安維持部隊の作戦室から見守っていると発表した。
アル・シェイク・フセイン氏の映像は、まずソーシャルメディアのプラットフォームに流れた。銃を持つ男が叫び、預金の引き出しを要求している。
彼は銀行員に、病院で治療中の父親の医療費を支払うためにお金が必要だ、と言った。
行員の1人がその様子を撮影しており、散弾銃を持つ男が映っている。
この預金者は午前11時ごろ銀行に来店し、行員たちとハッサン・ハラウィ支店長を建物内に閉じ込め、同時に、来店客たちには退去するよう求めた。
客のうち2人は偶然行内にとどまり、行員の1人は銀行の外で業務していたため人質とはならなかった。この行員はアラブニュースに対し、銀行に戻ると軍と国内治安維持部隊が取り囲んでいたので驚いたと語った。
人質となった客のうち1人は外に出され、必要に応じて医療処置を施すために待機していた赤十字に引き渡されたが、もう1人の客は 「武装した男と連帯して」中に留まると主張した。
武装した預金者との交渉を指揮したムグニェ氏は、銀行の閉じられた門の金属製のバーの後ろから交渉していたと、アラブニュースに語った。
ムグニェ氏によると、武装した男はとても落ち着いていて、危害を加えないとの保証を警備会社から得ていたという。
「彼は椅子に座っていました。ガソリンのそばでタバコを吸う神経は信じられません」
ムグニェ氏はさらに、この預金者は当初、アル・ザラ病院に入院中の父親の医療費にあてるため、2000ドルを引き出すことを要求していたと語った。
ムグニェ氏は、経営陣とコンタクトを取る銀行の支店長と連携し、彼(預金者)に1万ドルの引き出しを提案したが、武装した預金者はそれを拒否し、21万ドルの預金全額の引き出しを要求したと語った。
Lebanon : Armed man takes hostages to free his money#Lebanon #لبنان pic.twitter.com/mBuMNWp9N3
— Podcast.1 بودكاست (@Hashtagelyoum) August 11, 2022
「武装した男と個人的に面識はありませんが、交渉中に彼が支店長を窓から放り出すと言ったので、脅迫は深刻だと思いました。結局、人質に危害が及ぶことはありませんでした」とムグニェ氏は付け加えた。
野次馬がまず銀行近くに集まり、その後、銀行員の家族たちが不安そうにやってきた。
さらに、ベイルートにいるアル・シェイク・フセイン氏の家族も加わり、和解交渉を始めた。
ムグニェ氏は次のように述べた。「家族は国内治安維持部隊に、息子を攻撃しないとの確約書を求めました。そして、要求額を引き下げて、引き出し額を適切なものにする用意があると言いました」
ムグニェ氏によると、銀行側がまず1万ドルを提案し、武装した男が預金全額の引き出しを主張すると、支店長と中央経営陣との間でそれ以上のやり取りはなかったという。
#Breaking
— Nada Homsi (@NadaOHomsi) August 11, 2022
The scene at Federal Bank in Hamra, Beirut, where a man has taken a group of employees & others hostage, demanding his money.
Lebanon’s commercial banks imposed informal capital controls in 2019, preventing depositors from withdrawing the full dollar value of savings. pic.twitter.com/9ort1YAT3N
他の預金者、市民、弁護士たちが銀行の周りに集結し、武装した預金者を支持して、2019年の大規模デモのスローガンの1つ、「銀行による支配をぶっつぶせ」を連呼した。
活動家の弁護士、ヘイサム・アッツォ氏はアラブニュースの取材に対し、「我々は今回の事件を追跡調査しています。銀行による不当手続きの結果としてこうしたことが起きる可能性をかねてから指摘していました。弁護士として、我々はアル・シェイク・フセイン氏を無料で弁護する用意があります」と語った。
アッツォ氏は、「我々が今日目にしたもの」によって、銀行が国家の安全を損なっていることが証明されたと述べた。
さらに次のように付け加えた。「我々は必要な時に預金を引き出すことを求めましたが、銀行は拒否したのです」
レバノンの銀行従業員シンジケート連盟のジョージ・アル・ハジ会長は、この事件の平和的解決を望むと述べた。
「ストライキに訴えるつもりはありません。無駄だからです」
預金者協会は声明を発表し、11日の事件の責任は、銀行のオーナー、政府、議会、中央銀行にあると述べた。
同協会は、「預金者から強奪し、貯蓄を盗むことは、さらなる予測不能な事態を招く」と述べた。
さらに、「虐げられた預金者への不当な扱いと攻撃」を頑として擁護する司法当局は、路上や銀行で生じる暴力行為に責任を負っていると述べた。
預金者による銀行での手続きを踏まえた、銀行に対する司法当局の扱いに抗議するストライキが8日に行われ、10日にレバノンの銀行が業務を再開した後、ベイルートでは緊迫した状況が生じた。
レバノン銀行協会は10日の総会で、金融市場裁判所と同様の、銀行裁判所の設立を求めた。
同協会はまた、国際通貨基金の要求に留意し、復興計画に関する法律の可決を急ぐよう要求した。