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ニューヨークで刺された作家のサルマン・ラシュディ氏、人工呼吸器に繋がれる

12日、ニューヨーク州ショトーカのショトーカ・インスティテュートにて講演中に襲われ、介抱される作家のサルマン・ラシュディ氏。(AP)
12日、ニューヨーク州ショトーカのショトーカ・インスティテュートにて講演中に襲われ、介抱される作家のサルマン・ラシュディ氏。(AP)
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13 Aug 2022 10:08:19 GMT9
13 Aug 2022 10:08:19 GMT9

数人がステージに駆けつけ、容疑者を地面に押し倒した後、会場にいた警察官が逮捕した

– 犯行の動機は未だ不明

ニューヨーク:イランの「ファトワ」(イスラム教の法学者が宗教的な立場から出す勧告や判断)が殺害を命じたことにより、何年も公に出ていなかったサルマン・ラシュディ氏が12日、ニューヨークの文学イベントで刺され、現在人工呼吸器に繋がれており、片目を失う恐れがある。

一部のイスラム教徒の怒りを買った『悪魔の詩』を執筆した英国人作家は、襲撃後、緊急手術のためにヘリコプターで病院に搬送された。

ニューヨーク州警察は、この襲撃を行ったのはニュージャージー州フェアフィールド出身の24歳、ハディ・マタール容疑者であると特定し、彼はラシュディ氏の首と腹部を刺したと付け加えた。

アル・アラビーヤが報じたところによれば、地元当局はマタール容疑者がレバノン出身で、南部のヤルーンという町の出身であることを確認した。

彼の代理人は、ニューヨーク・タイムズが入手した声明の中で、「この知らせは良いものではない」と述べている。

「サルマンは片目を失うことになりそうだ。彼の腕の神経は切断され、肝臓は刺されて損傷している」と、代理人のアンドリュー・ワイリー氏は述べ、ラシュディ氏は話すことができない状態であると付け加えた。

文学イベントに参加していたアメリカン大学政治学教授のカール・ルヴァン氏はAFPに対し、容疑者はラシュディ氏が座っていたステージに突進し、「彼を繰り返し、悪意を持って刺した」と語った。

数人がステージに駆け寄り、容疑者を地面に押し倒した後、会場にいた警察官が容疑者を逮捕した。救急隊が到着するまで、聴衆の中にいた医師が手当てを行った。

犯行の動機は未だ不明である。

ステージ上にいた司会者のラルフ・ヘンリー・リース氏(73歳)も顔に怪我を負ったが、すでに退院したと警察は発表している。

この事件は、バッファロー市から南に70マイル(110キロ)離れた静かな湖畔の町で、芸術プログラムを主催しているショトーカ・インスティテュートにて起こった。

「今日、私たちの多くが目撃したものは、私たちを芯まで揺さぶるほどの憎しみの、暴力的な発露だった」と、ショトーカ・インスティテュートは声明の中で述べた。

ショトーカ・インスティテュートのイベントの常連であるルヴァン氏は、容疑者が「取り押さえられる前に、できるだけ何度も刺そうとしていた」と述べ、この男はラシュディ氏を「殺そうとした」と考えていると付け加えた。

「群衆は恐怖とパニックからはっと息をのんでいた」と、同教授は述べた。

ラシュディ氏は、1981年に発表した彼の2作目である『真夜中の子供たち』で一躍脚光を浴び、独立後のインドを描いた同作は国際的な賞賛と英国の権威ある文学賞の1つであるブッカー賞を獲得した。

しかし、1988年に発表した『悪魔の詩』は、イランの初代最高指導者ホメイニ師がファトワ(宗教令)を発し、彼の殺害を命じたことから、彼の人生を大きく変えるものになった。

この小説は一部のイスラム教徒から、イスラム教と預言者ムハンマドを軽んじているとみなされたのだ。

インドに生まれ、宗教活動を実践しないイスラム教徒の家に育ち、現在は無神論者を自称しているラシュディ氏は、自身の首に懸賞金がかけられたことから、公の場に出ない事を余儀なくされ、そしてそれは今日まで続いている。

彼の本の翻訳者や出版社が殺害されたり未遂にあう事件があったため、通っていた学校や自宅とする場所があった英国の政府から、彼は警察の保護を受けることになった。

彼は10年近く潜伏し、何度も家を移し、自分の子供たちにも居場所を教えることはできなかった。

1998年にイランがラシュディ氏の暗殺を支持しないと表明した後、彼は1990年代後半になってようやく身を隠す生活から脱却し始めた。

現在ニューヨークに住む彼は、言論の自由の擁護者であり、特に2015年にパリでフランスの風刺雑誌「シャルリー・エブド」の社員がイスラム教徒によって銃殺された後、同誌を強力に擁護する姿勢を打ち出した。

同誌は預言者ムハンマドの絵を掲載し、世界中のイスラム教徒から猛反発を招いていた。

世界中の指導者たちはラシュディ氏への攻撃に怒りの声を上げ、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、同作家は「自由を体現していた」と述べ、「彼の戦いは我々のものであり、普遍的なものだ」と述べた。

一方、英国のボリス・ジョンソン首相は「愕然とした」と述べ、ラシュディ氏の愛する人々を気遣いながら、「我々が決して守ることをやめてはならない権利を行使していた」と、同作家を賞賛した。

AFP

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