• アブドル・ラティフ・アル・サイード准将は、この1年以上の間にアルカイダとの戦いで死亡した中で最高位の将校だった

サイード・アル・バタティ

アル・ムッカラー（イエメン）：10年以上にわたって国内でテロリストグループとの戦いの最前線に立っていたイエメン軍指揮官が10日、イエメン南部でアルカイダが仕掛けた爆破装置の爆発によって殺害された。

アビヤン州セキュリティーベルト隊の司令官だったアブドル・ラティフ・アル・サイード准将は、この1年以上の間にアルカイダとの戦いで死亡した中で最高位の将校だった。 

アル・サイード准将と彼の部隊員3名は、オマラン渓谷にアルカイダが設置した即席爆発装置によって車両を破壊され、死亡した。

同イエメン軍指揮官は、アルカイダの武装勢力を拠点から追い出すため、アビヤンのムディア地区で山岳地帯に派遣された部隊を視察していた。

南部暫定評議会に忠実なさまざまな軍隊と治安部隊が支援する分離独立派のセキュリティーベルトは、1年前に南部のアビヤン州とシャブワ州で攻撃を開始した。標的としたのは、2つの州の農村部と遠隔の山岳地帯を隠れ家に利用していたアルカイダ戦闘員である。

前進する軍隊に対して、アルカイダは、地雷や路傍爆弾を設置したり奇襲攻撃を実行したりなど、多大な被害をもたらすゲリラ戦術をとった。

この攻撃により、現地指揮官を含む100名以上の兵士が死亡した。

独立派南部軍のモハメッド・アル・ナキーブ報道官は、アラブニュースに対し、アルカイダに対する軍の作戦が、アル・サイード准将の死によって阻止されることはないと語った。

「どんな犠牲を払おうと、テロとの戦いから撤退することはありません。司令官が殉死の栄誉を受け取るたびに、我々の地上部隊は大きく前進します」と彼は述べた。

アル・ナキーブ報道官によると、南部軍は過去3日間でアビヤンの山岳地帯へと侵攻し、アルジャナン渓谷にあるアルカイダの拠点を占領したという。

アル・サイード氏は1972年にアビヤンのカンファール地域で生まれ、2012年に亡命するまでアルカイダの構成員だった。テロ集団に関する知識を活かし、アル・サイード氏はアビヤンで武装集団を結成して軍の戦闘を支援した。 

2015年初頭、フーシ派が南部に侵攻した際、アル・サイード氏は自団の戦闘員をアビアンからアデンに移動させて武装勢力を撃退した。

アルカイダは、10回以上にわたってアル・サイード氏の殺害を試みてきた。また、降伏を強いるために彼の親族数名を処刑している。

治安当局と軍当局では戦闘の続行を断言しているが、国内外のテロ専門家らは、アル・サイード氏の死が対アルカイダ軍事作戦に深刻な影響を及ぼすと考えている。

「彼の死は、特にアデンとアビヤンで、テロとの闘いに壊滅的な後退をもたらしています」と、アデン・アルガッド紙の編集者であるファテヒ・ビン・ラゼルク氏はアラブニュースに語った。

アル・サイード氏の存在意義は「治安当局者としての役割をはるかに超えていました。そのため、彼の死からは大きな波紋が広がるでしょう」とラゼルク氏は述べた。

2015年7月にアデンがフーシ派から解放された後、アル・サイード氏はアデン全域と隣接するアビヤン州での軍事作戦に参加し、混乱に乗じて両州を支配したアルカイダとダーイシュの武装集団を追放した。

英国ケンブリッジ大学ガートン・カレッジで女性校長を務め、テロ専門家でもあるエリザベス・ケンダル氏はアラブニュースに対し、アル・サイード氏の殺害は、アルカイダ軍に対する深刻な後退に加えて、イエメンを拠点とするアラビア半島のアルカイダ（AQAPとして知られている）にとって大きな勝利を意味していると語った。AQAPは長年にわたりアル・サイード氏を狙っていた。

「実務面では、（アル・サイード氏は）AQAPにとって最も手強い敵の1人でした。象徴的には、AQAPはおよそ10年間、彼の暗殺を試みていました。それをとうとう達成し、特にアビヤンのAQAPにとっては大きな弾みになったことでしょう」と彼女は述べた。

「彼の暗殺によって、最も有能かつ意欲的なAQAPの敵の1人が南部の部隊から消えました。これは、AQAPの士気を高めるでしょう」