
ハゼム・バロウシャ
ガザ市:イスラエルが二人のパレスチナ人受刑者の釈放を拒否したことで、パレスチナでは緊張が高まり、再び衝突が激化するのではと懸念されている。
二人の受刑者とは、150日以上ハンガーストライキを行っているハリル・アワウダ氏と、イスラム聖戦の指導者、バサム・アル・サアディ氏である。
イスラム聖戦は、もっとも最近のガザでの3日間にわたる戦闘中、エジプトの仲介による停戦に、アル・サアディとアワウダ両氏の釈放を条件に合意していた。
だが、イスラエルの最高裁は日曜日、アワウダ氏の行政拘禁の取り消しを求める申し立てを却下した。
オファーの軍事法廷は、アワウダ氏の入院中は、氏を釈放はしないものの、行政拘禁を凍結していた。
イスラエルの法律では、ハンガーストライキを行っている受刑者の行政拘禁は、受刑者の健康が回復して退院が認められると、再び執行されることになっている。
一方、アル・サアディ氏の拘禁はさらに5日間延長された。期間延長は、3回目になる。
イスラエルが二人の受刑者に対して取った措置は、エジプト代表団がイスラエル側と協議の上で彼らの釈放を保証したという経緯から、報道によるとエジプト政府の怒りを招いている。エジプトは、この点に関する尽力をイスラム聖戦との停戦宣言に明記していた。
多くの報道が示唆するのは、エジプトとイスラエルの間に外交上の危機が生じつつあることだ。原因は一つではないが、パレスチナ人受刑者の苦境が二国間の亀裂を深めている。
イスラエルのベニー・ガンツ防衛相は月曜日、今月ガザで起きた戦闘をめぐって、ここ数日でエジプトとの間に外交上の危機が生じていることを認めた。
しかし、ガンツ氏は両国政府の関係は数日内には回復するとの見通しを述べた。
ガンツ氏はカン・ベイト・ラジオ局のインタビューの中で、以下のように語った。「友好的な関係であっても、浮き沈みはあるものです。…何らかの問題に発展することはありません。関係安定化への方策は見つかるでしょう。それが双方の利益にかなうのですから。…小さな危機を一つ一つ取り上げて、大げさにする必要はありません」
週末のハアレツ紙の報道では、エジプトとの外交上の緊張は、イスラエルが8月初旬、イスラム聖戦との停戦条件となっていたヨルダン川西岸地区での軍事行動の縮小を拒否したことから始まった。
イスラエルのカン・チャンネルによると、あるエジプト政府高官は月曜日、日曜夜にカイロに到着したイスラエル公安庁トップ、ローネン・バー氏がエジプト諜報機関長官アッバス・カメル少将に二人の受刑者の釈放の日時を伝える予定だと語った。
同チャンネルによれば、バー氏はカメル少将に、イスラエル当局が努力の末に1967年の中東戦争中にエルサレム近郊で20人のエジプト軍兵士が埋葬された集団墓地を特定した件についても報告する予定である。
カン・チャンネルはエジプトとイスラエルの関係はここ最近、停戦条件をめぐる意見の相違から悪化しており、予定されていたカメル氏のイスラエル訪問も中止されたと指摘している。
報道によると、エジプト側はすべての当事者が満足する形で迅速に停戦を実現するため、急いで停戦の合意文書を準備せざるをえなかったが、イスラエル側で二人の受刑者の処遇に関して、何らかの解決策を見いだすものと考えていた。
しかし、イスラエルの姿勢はエジプトの期待に沿うものではなく、両国間には緊張が生じた。
政治ライター、ムスタファ・イブラヒム氏は、パレスチナはこの問題をめぐる緊張で揺れており、この問題一つで紛争が再燃する恐れがあると言う。
イブラヒム氏はアラブニュースに、エジプトの発起による停戦合意の条件に関してはまだ何の進展も見られず、問題は結局振り出しに戻ってしまったと説明した。
イブラヒム氏によると、イスラエルとエジプトの外交関係は「戦略的なもので、対立はこれ以上の悪化はせず、現在の危機には何らかの解決策が見いだされるだろう」