
モハメッド・ナジブ
ラマッラー:パレスチナ人らは9月1日の新年度開始を前に、イスラエル当局が東エルサレムのパレスチナ人学校とカリキュラムに「戦争」を仕掛けていると非難した。
イスラエル当局は、パレスチナの6つの学校にイスラエルのカリキュラムを押し付けようとしている。
生徒たちの親は、子どもたちにパレスチナのカリキュラムで教えることを望んでおり、この動きに反発している。
親たちは、イスラエル当局によるエルサレムの学校に対する「攻撃」は、一連の決定、手続き、パレスチナ人の生徒にイスラエルの教育方針を押し付けるという脅迫を通してエスカレートしていると述べている。学校側が従わなければ学校を閉鎖、もしくは生徒たちが教育サービスを受けられなくなるなどの罰則が与えられるという。
イスラエルの教育省は、エルサレムにある6校の永久認可を取り消した。そのうち5校はアルエマン校、1校はアブラハムカレッジの附属学校だ。パレスチナのカリキュラムで教えることを断念させ、イスラエルのカリキュラムに置き換えるよう圧力をかけようと、1年間の暫定認可に変更したのである。
今回の認可取り消しは、認可の取り消しと学校の永久的閉校を意味するのか、それとも同省からの資金と配分の削減のみなのか、はっきりしていない。
イスラエル教育省は最近、市内の複数の学校に 「東エルサレムの学校における扇動的な内容を含む教科書」と題した書簡を送付した。「教育機関が扇動的な内容を含む教科書で教えていることが判明した場合、認可を取り消す」と脅迫したのだ。
過去数年間、イスラエル当局は東エルサレムにある学校の教育に制約を課そうとしてきた。その中で最も顕著だったのは、「附属学校においては歪曲されたパレスチナのカリキュラムで教える」というもので、このカリキュラムは一見パレスチナのカリキュラムと全く同じように見えた。しかし、そこから多くの内容、ページ、記号が削除された。それでも、学校や生徒たちの親は我慢することができた。
対象となった学校の生徒の親たちは土曜日、歪曲されていないパレスチナのカリキュラムを生徒に配布し、生徒がそれで学ぶ権利があることを確認した。
イスラエルのエルサレム市とイスラエル教育省管轄の学校では、約5万人の生徒が学んでおり、そのうち1万3,000人がイスラエルのカリキュラムで学び、3万7,000人が歪曲されたパレスチナのカリキュラムで学んでいる。
また、エルサレムの私立学校では、4万2,000人の生徒がパレスチナのカリキュラムで学んでいるが、彼らも対象となり、歪曲されたパレスチナのカリキュラムを課せられている。
アブラハム大学親委員会は、パレスチナのカリキュラムに対してイスラエル当局が行ったこの歪曲は、パレスチナ自治区とイスラエルの間で署名されたオスロ合意と矛盾する動きであり、生徒とその家族がカリキュラムを選択する権利の明らかな侵害であると指摘した。
イスラエルは長年、国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校に加え、東エルサレムの学校、あるいはヨルダン川西岸地区の公立・私立学校で教えられているパレスチナの教育カリキュラムに対して、ユダヤ国家に対する内容で扇動を行っていると非難し、抗議を行ってきた。同時にイスラエルは、EUに対しパレスチナ自治政府(PA)を訴え、EUは 「扇動的な内容」を削除するよう要求し、同自治体への数百万米ドルの資金援助の支払いを停止した。PAはイスラエルの主張を完全に否定している。
生徒の親たちは、エルサレムの学校に対するイスラエルの措置と脅迫を危惧しており、この動きは、将来これらの学校でイスラエル側の全カリキュラムを強要するための前段階であると考えている。
親たちは、「こうした動きをとることで、イスラエルはパレスチナ人のアイデンティティを傷つけ、人々を彼らの歴史やイデオロギーから引き離そうと考えている」と述べた。
PAエルサレム省は、エルサレムの生徒、親、学校管理者は、本来のパレスチナのカリキュラムを遵守し、イスラエルのカリキュラムと歪曲されたカリキュラムを拒否するよう要求した。
同省は以下のよう通達した。「アブラハムカレッジスクールの生徒と親による包括的な交流は、占領に対する明確なメッセージである。占領によりパレスチナ人のアイデンティティを消し去ろうとする、イスラエルのカリキュラムと歪曲されたカリキュラムを拒絶する」
エルサレムとエルサレムを支援するイスラム・キリスト教委員会は、パレスチナのカリキュラムを遵守することは、エルサレム市民が自分たちの民族的アイデンティティを堅持し、エルサレムの教育をユダヤ化する計画を阻止する決意があるという、占領軍への明確なメッセージとなると述べた。
パレスチナ政府のスポークスマンであるイブラヒム・メルヘム氏は、イスラエルが恐喝によって東エルサレムの学校を支配しようとしていると、アラブニュースに語った。
「これは挑戦であり、我々は脅迫に屈しない。パレスチナ自治区は、これらの学校に資金を提供し、その揺るがない姿勢を支援・強化し、イスラエルの脅迫に立ち向かう」と述べた。