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レバノン、ダーイシュの容疑者を拘禁中に死亡させたとして国家安全保障局員4人を逮捕

集合する陸軍兵士たち。2022年8月11日、レバノンの首都ベイルート。(AFP)
集合する陸軍兵士たち。2022年8月11日、レバノンの首都ベイルート。(AFP)
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04 Sep 2022 05:09:10 GMT9
04 Sep 2022 05:09:10 GMT9
  • 政治家は被拘禁者が死亡した事件を非難し、調査を求めている

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノン当局は土曜日、シリア人被拘禁者を拷問し死に至らしめた疑いで国家安全保障局員4人を逮捕した。

今回の逮捕は、政府の軍事裁判所委員を務めるファディ・アキキ氏の命令によるものだ。同氏は、バシャル・アブデル・サウド容疑者が拘禁中に死亡した先月の事件についての調査を命じた。

レバノン南部で発生したこの死亡事件は人々の怒りを掻き立てた。活動家らは、拷問の痕跡がある同容疑者の遺体の写真をシェアした。

国家安全保障局は先に、ビント・ジュベイル地域でダーイシュの下部組織を逮捕したと発表していた。彼らはシリアで殺人を犯したとされていた。

国家安全保障局によると、アブデル・サウド容疑者はダーイシュで指導的立場にあり、捜査官に対して攻撃を試みたという。

局員がアブデル・サウド容疑者を落ち着かせるために拘禁したが、同容疑者は心臓発作を起こして搬送先の病院で死亡したと、同局は述べている。

この事件についての調査が開始され、アキキ氏は同局局員1人とダーイシュ捜査を担当していた捜査官3人の逮捕を決定した。

同容疑者の遺体を検視した法医学者は、心臓発作による死亡説を否定する報告書を出した。

報告書によると、遺体には痣、深い傷、火傷、身体的虐待の痕跡があった。

政治家らがSNS上でこの死亡事件を非難したため、国家安全保障局の関係者は、事件の背景状況を明らかにするための調査が進行中だと発表した。

この関係者は、死亡した容疑者および他の被拘禁者らはダーイシュ関係者であると言い添えた。

国家安全保障局は司法当局の命令により、ダーイシュとの関係についての容疑者らの自白の記録を公表する予定だという。

ナセル・ヤシン暫定環境相は、拷問の禁止と加害者の処罰を規定している国家人権委員会の規則を承認する時がきたと述べた。

また、このシリア人の身に起こったことは人権を侵害する犯罪だと述べた。

さらに、検察は軍事司法ではなく民事司法による本格的な調査を行い、拷問犯罪についての調査の原則を尊重する必要があると述べた。

国会の人権委員会の委員長を務めるミシェル・ムーサ議員は、「犠牲者の国籍や所属組織に関係なく、これは一人の人間に対する凶悪な犯罪だ」と述べた。

また、権力を乱用し法律を侵した者全員の責任を追求するよう求めた。

さらに、国連総会で採択された拷問等禁止条約と後の選択議定書をレバノンは批准しており、「拷問および他の残虐で非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰」に関する2017年の法律第65号も承認していることを指摘した。

ムーサ議員は、レバノンは国家人権委員会も設置しており、それには拷問禁止委員会も含まれていると述べた。

しかし、同委員会が活動を開始するために必要な全てのものを当局が提供していないと、同議員は指摘した。

元弁護士協会会長のメルヘム・ハラフ議員は、「我々は、刑事訴訟法第47条の改正に向けて努力し、予備捜査の際の弁護士の立ち会いを義務付けた。我々の目的の一つは捜査中の拷問を防止することだった」と述べた。

ミシェル・ドゥアイヒ議員は、事件に関わった者らの責任を追求し、拷問の問題に対処しない限り、この事件を見過ごすことはできないと述べた。

また、委員長に対し、内相と国家安全保障局長官を次回会合に召喚したうえで、調査を行い加害者に対する必要な措置を取るよう求めた。

人権活動団体「ジャスティス・パイオニアーズ・グループ」の法務部門は、犠牲者の死因は心臓発作ではないと述べた。

犠牲者が拷問を受け首を骨折したと信じるに足る情報を得ているとして、犯罪的な殺害意図があったと指摘した。

また、予備調査や証拠探索を行う際に法的原則を尊重すべきにもかかわらず、国家安全保障局の局員・捜査官らが「残酷な行動」を示したと主張した。

同団体はまた、捜査官らが法律や義務、特に刑事訴訟法第41条の規定に違反したと主張した。

第41条の規定では、捜査官が容疑者を尋問することができるのは、後者が事実を十分に知ったうえで強制されることなく自由意志による発言を行う場合に限るとされている。容疑者が黙秘を決めた場合には発言を強制されてはならない。

 

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